2016春ドラマ寸評
王道ラブコメ「世界一難しい恋」
スカッとする「重版出来!」
当コラムは、HUSTLE PRESS編集長個人が感じた春ドラマの寸評になります。少しでも皆さまの参考になれば幸いです。
◎=絶対に最終回まで見る
○=なんとか最終回まで見る
▲=とりあえず見る
△=余裕があれば見る
-=タイミングが合えば見る
「ラヴソング」(フジテレビ・毎週月曜日21:00~)△
福山雅治の3年ぶりの連ドラ出演が話題となるも、題材が重い。〝月9〟帯にはうけないこと必至。藤原さくらに関しては、すでにアーティストとして活動をしている訳ですが、演技もなかなかで期待感はあり。ただ、難しい役柄だけにイメージが沸かない。夏帆に至っては、こういう金髪キャラが板についてきてしまったんですね……。音楽を通して心を通わせるあたり、最近どこかで感じたような……。映画「心が叫びたがってるんだ。」か。
「僕のヤバイ妻」(フジテレビ・毎週火曜日22:00~)○
安定の関テレ枠。今回はオトナたちのドロドロ劇。イケる。伊藤英明と木村佳乃の一見誰もが羨む美男美女の夫婦。しかしながら、それは偽りの夫婦。木村佳乃が怖い怖い。男性目線だと、美しく完ぺきな望月真理亜(木村)よりも、不倫相手の北里杏南(相武紗季)の方が〝落ちつく気持ち〟は痛いほど分かります。刑事の佐藤隆太がいい。佐藤隆太はどんな役でもこなす最高の役者だと痛感。美少女系キャストはいませんが、心理サスペンス好きな人にはオススメの作品です。とはいえ、展開上1回見逃すとついていけなくなる作品構成なので、きちんと腰を据えて観ないといけない作品です。
「重版出来!」(TBS・毎週火曜日22:00~)◎
黒木華主演。「真田丸」の梅が死んでしまったこのタイミングから、再度の黒木華! それもスポ根新入社員役! それも斜陽な産業となりつつある出版業界に喝を入れる息吹となる。松田奈緒子の同名漫画のドラマ化。出版社に身を置いていた自分にとっては身につまされる思いになる。とにかく個性豊かなキャラクターがいい。バイブス編集部の社員たちが、松重豊、オダギリジョー、荒川良々、安田顕。もう最高じゃないですか。漫画家陣も濃い。要潤、永山絢斗、小日向文世、滝藤賢一、そしてアシスタントでムロツヨシ。元柔道部のチームメイト役で武田梨奈。滝藤賢一の彼女役で最上もがも出演しているところは押さえておきたい。スカッとしたい人には超オススメの1本。ただ、現実の出版業界はもっと厳しい状況であることを経験者としてお伝えしておきます。このドラマを観て、出版業界に憧れだけをもって入社志望するのだけはやめておいた方がよいと思われます。それにしても15年間、出版社に身を置いていたにも関わらず「重版出来(じゅうはんしゅったい)」と言う単語を知らなかった自分って……恥ずかしい。
「世界一難しい恋」(日本テレビ・毎週水曜日22:00~)◎
金子茂樹のオリジナル脚本。はっきり言って、超絶おもしろい! ホテルチェーン「鮫島ホテルズ」の社長・鮫島零治役に大野智。この社長がくせ者。世界一のホテルチェーンを目指しているところまではかっこいいのだが、とにかく極端。ライバルの「ステイゴールドホテル」に勝とうと奮闘している姿がまず面白い。さらに恋愛オンチなところ。34歳で結婚していないという状況下、なんとか2か月で婚約者を見つけるという突飛な行動が面白い。大野智がかわいい!中途採用で入社してきた新入社員・柴山美咲役の波瑠に結局、恋をするところが面白い。とにかく全部が面白いです。超オススメの1本。新入社員同期役で清水富美加も出演。OL姿もなかなか。それにしても小池栄子って、グラビアアイドルからいい女優になりましたねぇ。
「グッドパートナー 無敵の弁護士」(テレビ朝日・毎週木曜日21:00~) △
企業問題を専門に扱う弁護士事務所が舞台。竹野内豊と松雪泰子が元夫婦役でもあり、職場(神宮寺法律事務所)の同僚でもあり、キャストは骨太な布陣。重たい題材を扱うからなのか、全体的にゆるい演出が中途半端になされている点が不満。ホームドラマ的な要素とか要らなかった気がする。もっと重厚感に満ち溢れた演出だったら良かったのにと思ってしまう。神宮寺法律事務所のパラリーガル役で岡本あずさ。竹野内豊と松雪泰子の娘役に松風理咲。その家庭教師役に宮﨑香蓮。咲坂家のシーンになったときの〝美少女感〟には注目しておきたい。
「早子先生、結婚するって本当ですか?」(フジテレビ・毎週木曜日22:00~)-
原作は立木早子著「早子先生、婚活の時間です」「早子先生、結婚はまだですか?」「早子先生、結婚するって本当ですか?」。どうしても松下奈緒が役にはまっていない気がしてならない……。美人が故の問題なのだが、34歳で独身の小学校教師という役が共感できない。他の先生たちはしっくりきているので、やっぱり〝早子先生=松下奈緒〟という部分が非常に浮いている気になってしまう。平和町小学校の同僚教師たちに、貫地谷しほり、小芝風花が出演。地味目な役柄ですが、いい味は出していると思います。松下奈緒の妹役で川栄李奈が〝既婚〟の役で出演しているのも見どころ。
「ドクターカー」(日本テレビ・毎週木曜日23:59~)-
救命救急センターから救急現場に医師が赴く〝ドクターカーチーム〟に配属された天童一花を剛力彩芽が演じる。「ドクターヘリ」の車版みたいなものですが。剛力彩芽が子持ち役を演じるようになったことがびっくりです。彼女、まだ23歳ですよね……。あと数年は子持ち役ではなくても引っぱれたのでは。イメチェンなら、むしろロングヘアーにしてみた方が良かった気が。
「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」(TBS・毎週金曜日22:00~)◎
水野敬也著「スパルタ婚活塾」を原案にした恋愛マニュアルドラマ。これまた最高に面白い。10年前に「アラサー」だった人種が今、そのまま「アラフォー」になっている現状が生々しく描かれるとともに、〝私 結婚できないんじゃなくて、しないんです〟と言い張っていた中谷美紀演じる橘みやび(39)が、結婚したくなる様がなんともリアル。恋愛スパルタ教育をしていく十倉誠司役の藤木直人がいい。もう〝ふむふむ〟〝そうそう〟の連続。橘みやびが経営する「青山美容皮フ科クリニック」で働く看護師で大政絢、平田薫、緑友利恵。高校時代回想シーンの橘みやびに松井珠理奈(SKE48)。そして東李苑(SKE48)もメガネをかけて高校時代の親友役として登場。金曜日の夜はやっぱり、この手の笑って観られて勉強にもなる作品がいいですよ。オススメ!
「不機嫌な果実」(テレビ朝日・毎週金曜日23:15~)▲
あの林真理子の小説「不機嫌な果実」が再度ドラマになって帰ってきた。妻の不倫ありきの物語。現代はセックスレスが深刻な問題として認識されるようになってきた流れもあり、1995年に衝撃作だった同小説のインパクトはない。ただ「夫だけでは満たされない」というキャッチに男性の僕でも納得してもまうから、時代が変わったのかもしれない。栗山千明、高梨臨、橋本マナミの大人の色気もさることながら、やっぱり水越麻也子(栗山)の働く法律事務所で働くフレッシュな藤本泉に目がいってしまう。男とはそういうものなのかもしれません。浮気推奨派では断じてありませんが、〝浮気〟の訳を思い知らされる作品。
「お迎えデス。」(日本テレビ・毎週土曜日21:00~)○
原作は田中メカのコミック「お迎えです。」。尾崎将也の脚本が冴え渡る。1話ずつ豪華なゲストが出るのも見どころの一つだが、地味カワの代表格・土屋太鳳が原色系の衣装を身にまとい演じる阿熊幸が新鮮。堤円役の福士蒼汰との相性も抜群で、Sの土屋太鳳、Mの福士蒼汰という構図に萌える。ストーリーも1話完結で、成仏できなかった霊が見える2人(阿熊幸と堤円)が、その霊を四十九日までに成仏させるという分かりやすい展開。堤円に憑依するところも面白い。堤円の妹・堤さやか役で大友花恋が。阿熊幸の友人役に松川星、小林璃央が出演。
「火の粉」(フジテレビ・毎週土曜日23:40~)◎
雫井脩介の同名原作をドラマ化。元殺人事件(一家惨殺)の容疑者だった武内真伍(ユースケ・サンタマリア)。その容疑者に無罪を求刑した元裁判官の梶間勲(伊武雅刀)。武内が梶間の家の隣に引っ越してくるところから物語は始まる。いつもは温厚な性格の武内なのだが……。梶間家の中に渦巻く〝懐疑心〟と〝恐怖心〟が見事に描かれた心理サスペンス作品。武内がバウムクーヘンを焼く時の火の粉が怖い!優香がいつの間にか女優の貫録を醸し出しているところも見逃せない。優香のママ友役で木南晴夏。佐藤隆太がまたいい味を出している。1話見逃すとついていけなくなる作品だがオススメ。
「99・9-刑事専門弁護士-」(TBS・毎週日曜日21:00~)○
松本潤がくせのある弁護士役に挑戦している話題作。相棒の弁護士役に榮倉奈々。刑事事件専門ということで、ドラマタイトル「99.9」は刑事事件で起訴された案件の99.9%が有罪になるというところから来ているよう。1話ごとにゲストが登場するパターンであり、1話完結で観やすさもある。美少女出演はほぼないが、落ち着いて視聴できるドラマ。オトナ向け。
「OUR HOUSE」(フジテレビ・毎週日曜日21:00~)-
ものすごい化学反応が起こるかもと期待していた作品。シャーロット・ケイト・フォックスと芦田愛菜。そして脚本が野島伸司。なんてことないヒューマンドラマで、再婚相手が外国人というだけの作品でした。赤尾拓真役の高山善廣がなかなかの演技をみせている点と、その高山と不倫しそうな看護師役に藤本泉が。この辺りが見どころです。
「ゆとりですがなにか」(日本テレビ・毎週日曜日22:30~)△
「ゆとり第一世代」とくくられてしまう30歳手前の男子3人のドタバタ劇。脚本は宮藤官九郎。食品メーカー勤務の坂間正和役に岡田将生。小学校教師の山路一豊役に松坂桃李。客引きではあるが毎年センター試験を受け続けている道上まりぶ役に柳楽優弥。全部が惜しい……。理不尽な世の中って、ゆとり世代でなくてもいつの時代もあった訳だし、〝ゆとり世代〟に着眼した点がイマイチ解らない。主人公の妹の名前がゆとりというのも狙いすぎ感が。ちなみにゆとり役は島崎遥香が演じている。出番が多いのですが、テロップに「(AKB48)」っていれなきゃダメなんですかね?