PICK UP ACTRESS 夏緒
PHOTO=石垣星児(BLOCKBUSTER) INTERVIEW=小山内凛
ドラマ「小さな巨人」で初の刑事役を熱演
石川県の民宿を舞台にしたハートフルな映画「ゆらり」に出演
――「小さな巨人」芝署編では、所轄内で紅一点の刑事役を演じました。
「連ドラのレギュラー出演はそれこそ5年前の『GTO』以来だったので、お話をいただいた時はすごくうれしかったです。でもその反面、あまりにも久しぶりすぎて大丈夫かなっていう不安もありました」。
――ブランクがあって心配だったんですね。
「はい。あと、ちょうどお話を頂いたタイミングで髪の毛がめちゃくちゃ明るい茶髪だったので、このままで大丈夫なのかなって(笑)。案の定、黒髪に戻すことになりました」。
――刑事役のドラマは初めてですか?
「初めてです。女優や俳優の仕事って、役を通していろんな職業を体験できるってよく言われるけど、まさにそれでした。撮影の時はちゃんと警察の方が来て、敬礼のやり方などを教えてくださって……。新鮮でしたね」。
――刑事役ならではの大変だったことは?
「署内のセットの時は一日通しでの撮影だったんですけど、さっき朝イチのシーンを撮って次は徹夜のシーンを撮るみたいなこともあり、時間の感覚がわからなくなって大変でした。昼間なのに急に徹夜感とか徹夜中の疲労感を出したりとか、難しかったです」。
――印象に残っているシーンはあります?
「台本に沿って演じていく中で、例えば監視カメラのDVDの映像をひたすら見漁りながらみんなで証拠を探しているシーンとかで、最終的に証拠が見つかった時は本当にうれしいなって感じました。台本通りではあるけど、そうやって努力が実って結果につながる展開の時に、『よかった〜』って感情移入しちゃうシーンが多かったです」。
――感情が豊かなんですね。
「いや、豊かではないです(笑)」。
――じゃあ喜怒哀楽とかはあまり表に出ない?
「けっこう顔に出やすいんですけど、それは家にいる時くらいですかね」。
――普段から意識しているんですか?
「うーん、特別そこに関して意識しているわけではないけど、ちゃんとしなきゃいけないとは常に思っています。あと、気にしぃっていうのはあるかもしれないですね。今目の前にいる人が何を考えているかとか、人からどう思われているかとか、いつも考えちゃいます。こういう取材でも、『言っちゃいけないことを言ってないかな……』とか『怒られないかな……』とか(笑)。質問されたことに対して簡潔に答えられないタイプなので、ちゃんと答えられているかどうか心配したりもします」。
――以前にそれで怒られた経験があるとか?
「いえ、全然そんなことはないんですけど、ただそうした方がいいのかなって……」。
――マジメですね。
「マイナス思考なだけです。自分のことに対しては本当に心配性で、常にダメな方ダメな方に考えちゃうんですよ。クセです。よかった時のことは考えられない。『いいことだけを考えていた方が人生楽しいよ』ってよく言われます。私も絶対にそっちの方がいいと思うんです。なれるものならそうなりたい。でも、そう簡単になれるものじゃないみたいで……。人に対してはポジティブなんですけどね。『もっとこうした方がいいよ!』とか『それは考えすぎだよ!』とか、いい方向にアドバイスしてあげたりできるんです」。
――ネガティブな性格の人がいきなりポジティブになるのって、なかなか難しいですよね。さて、秋に公開の映画「ゆらり」にも出演されるということですが、こちらはどんなお話になっていますか?
「三部構成の映画で、その最初のお話に出演するんですけど、家族で経営している石川県の民宿で起こるさまざまな家族間の問題を描いたハートフルな作品になっています。私はその民宿に泊まりに来て、問題を目の当たりにする女のコの役です」。
――コナンくんみたいですね(笑)。
「そんな感じです(笑)。狂言誘拐が起こったりして、でもその民宿を経営している家族がそれをまったく隠そうとしないんですよ。ご飯を食べている時にその夫婦間で話し始めたり……。だから、否が応でも巻き込まれちゃうっていう感じですね」。
――石川県でのロケはどうでした?
「自然に囲まれていて、海の民宿って感じで楽しく撮影できました。もう本当に、森! 海! 以上! でした。ご飯は毎日お魚で、すごくおいしかったです」。
――役柄的にはどんな女のコですか?
「監督が言っていたのは、森ガール。仕事で休みがとれたのでちょっと田舎に旅行しようっていうノリでやって来た女のコです。特に演じ方の指示はされなかったので、台本を読んでストーリーが展開していく中で、わりと自由に自分で考えながら演じました」。
――普段の役づくりはどうやってしています?
「台本を読んでどういう人かを自分で考えて、やっていく中でしっくり来るように微調整していく方法です。どうしてもやっていかないとつかめない部分って多いし、メインの役どころになってくるとある程度キャラ設定があって演じやすいんですけど、今回くらいの役だと特にキャラ設定がなかったりするから、どう演じればいいのかわからなくてちょっと難しかったりするかな?」。
――じゃあ、今回も役づくりは難しかったですか?
「今回は、自分なりに考えたことを監督に伝えて、すんなり『それでいいよ』って感じでした。外見的にも特に何も言われなかったです。『小さな巨人』の時は髪色のほかに『もうちょっと太ってください』って言われました(笑)」。
――華奢ですもんね。
「ドラマの撮影が始まるまでがんばってたくさん食べるようにしたんですけど、結局見た目は全然変わらなかったです。2キロ増えたくらいでした」。
極端な話、頭がおかしいくらい
狂気的な人の方が演じやすい
――もともとこのお仕事を始めたきっかけは?
「幼稚園の頃にスカウトされました。当時は雑誌のお仕事が多かったです」。
――幼稚園の頃のお仕事のことは覚えていますか?
「ドラマとか、あとは『マクドナルド』のCMに出たことがあります! あんまり覚えてないんですけど、ハッピーセットのCMで、同い年くらいの子供がたくさんいる現場だったなぁっていう記憶だけがあります(笑)」。
――ちっちゃい頃はどんな女のコでした?
「わがまま。特に親に対して、本当に言うことを聞かないコだったそうです。買い物へ行ってもひとりでどこかへ行っちゃったり……。迷子になったこともあるみたい。おばあちゃんっコで、絶対に母親の味方をしないみたいだったから、『手のかかるコだった』ってよく言われますね。『ゴメンなさい』って感じです(笑)。小学校に入ってもそれは変わらずで、親子何組かでご飯を食べに行ったりしても、友達は『これおいしいからママも食べてみて!』みたいなのがあるけど、私は絶対にそういうのがなかったらしいです。全然覚えてないんですけどね(笑)」。
――学校ではどんな感じでした?
「小学校の頃はおとなしかったですね。中学に上がってからは、反抗期がちょっとあったかもしれないです(笑)。校則が厳しかったので、その反動ですかね?」。
――このお仕事に専念しようと思ったきっかけは?
「『龍が如く』とか『感染列島』のお仕事をしていた時からずっと、撮影している時はどちらかというと『大変!』っていう感情が大きいんですけど、ひとつの作品を作り上げるのに何十人、何百人の人が関わる中で、その作品が出来上がった時に達成感をすごく感じるんです。撮影が終わった時もそうだし、出来上がった作品が公開されたり放送される時も。この仕事をしていてよかったなって思えるポイントです。それを何度も積み重ねていくことで、私の中でこのお仕事をしたいっていう思いがどんどん強くなっていきました」。
――演じることも好きですか?
「好きです。人が何を考えているのかを考えたり、深層心理を読み取るのが好きなので、台本を読んで、『この人はこういう人なんだろうな』っていうのを考えながら演技をするのが好きなんですよ」。
――自分と違う人の役を演じるのと、自分と似たような人の役を演じるのだと、どちらが好きですか?
「自分と違う方がいいですね。逆に、自分と同じようなコを演じるのは難しいです。極端な話、頭がおかしいくらい狂気的な人の方が正解が見えるので演じやすいです。どこにでもいるような普通の女のコをやる方がよっぽど大変です。普通にしているだけだと何も考えずに演じているように見えちゃうから、そうじゃなくてちゃんと演じているっていうのを伝えなきゃいけないので、それはすごく難しいですね」。
――最後に、理想の女優像があれば教えてください。
「ひとつの役のイメージをつけさせないように、いろんな役をやっても違和感がないようなオールマイティーに演じられる女優になれたらいいなって思います」。
夏緒(なつお)
生年月日:1995年8月9日(21歳)
出身地:東京都
血液型:A型
【CHECK IT】
’07年、映画「龍が如く 劇場版」にてヒロインの少女役でデビュー。その後、’09年には映画「感染列島」、’12年にはドラマ「GTO」などに出演。’17年4月クールのドラマ「小さな巨人」にもレギュラー出演。’17年11月公開予定の映画「ゆらり」に出演。
詳しい情報は公式HPへ