PICK UP ACTRESS 吉川愛

PICK UP ACTRESS 吉川愛

PHOTO=河野英喜 HAIR=MOE MUKAI(Perle) MAKEUP=Maki IHARA(Perle)
STYLING=入江陽子(Tron) INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

渋谷が舞台の映画「転がるビー玉」に主演
女子3人で共同生活をしながら夢を追う

 
 

――3人の女の子がシェアハウスをしている映画「転がるビー玉」で、同じ名前の愛という役で主演しましたが、役柄的にも近いところはありました?

「シェアハウスは、私は1人の空間も欲しいので向いてないと思いますけど(笑)、自分と似てるところが多かったですね。私も誰かが家に来たら面倒を見たくなるし、悩みやつらさをあまり人に打ち明けられないのも一緒。逆に、自分と違うところがあまりなかったです」。


――ただ、モデルの愛はオーディションに落ち続けていましたが、愛さんは子どもの頃から、いろいろな作品に出演してきました。

「でも、私も何度もオーディションに落ちて『もうイヤだ!』となったこともありますし、仕事について葛藤した時期もありました。だから、愛の気持ちはわかります」。

――「悩みやつらさを打ち明けない」という部分では、確かに愛は感情を口に出さない役でした。

「そうでしたね。最後だけ、爆発してましたけど(笑)」。

――言葉にしない気持ちも考えつつの演技でした?

「それは考えました。愛は周りに迷惑をかけたくないのと、言いづらいのと、恥ずかしさがあって、言えないように感じました。だから、家に帰ってきて『オーディションどうだった?』と聞かれて、全然ダメだったのに『いい感じだったよ』と言ってたり。そういうプライドか何かはあるんだと思いました」。

――そうした気持ちが、台詞にはなくても表情に出てました。

「でも、愛がどういう気持ちかは考えても、現場ではそのときに生まれた感情を出せばいいかなと思ってました。それによって表情が全然違ってくるので、自然にやりました」。


――人気モデルのテテ(大野いと)に「こっちは死ぬ気でやってるの。本気じゃないならやめたら?」と言われるシーンもありました。

「あれは一番きつかったですね。リアルにウーッときて、何でかわからないけど『そうだよな……』と思わされました」。

――愛もストイックにダイエットをしていたり、本気でないようには見えませんでした。

「本気でやっているのに、テテには勝てない。そりゃ『こんなに努力しているのに、なんでそんなふうに言われなきゃいけないの!』と思うよな……というのはありました。でも、あのシーンで泣きたくはなかったんです。泣いたら負けた気がするから」。

――愛さん自身が、人から痛いところを突かれる言葉を掛けられたことはありますか?

「あまり覚えてないので、たぶん言われてないかもしれません。それか私がスッと忘れてしまうのか(笑)、どちらかです」。


 
 

爆発するシーンは冷めないように
役の感情をずっと口にしてました

 
 

――愛がポテチをむさぼり食べて「もうどうしたらいいかわからない」と爆発するシーンは、撮る前に緊張しました?

「緊張します。私は本番で『よーい、スタート!』と言われた瞬間、感情がパッと冷めちゃうことがたまにあるんです。そうなるのが不安で、そのときの役の感情をずっと口ずさむようにしています。殴られたり蹴られたりした『ボイス』のときなら、『怖い、怖い……』と繰り返し言ってたり」。

――「転がるビー玉」のそのシーンでは、何て言ってたんですか?

「それは覚えてないんですけど、そのときに本当に思っていた言葉をずっと繰り返して、自分を追い込んでました」。

――愛さんは煮詰まって、あんなふうに爆発してしまうことはありませんか?

「好きなパンを食べて止まらなくなることはあります(笑)。あと、親友にすごく会いたくなったりします」。


――ブログにも登場する方ですね。

「そうです。とにかく私、地元が好きなので、何かあったら地元に帰って、その親友と会ってリフレッシュします。それから、お風呂に何時間も入ることもあります。音楽を聴きながら、ボーッとしてます」。

――愛はダイエットのために走るシーンもありました。

「多かったですね。私ももともと体幹を鍛えようとして走っていたんですけど、ちょっと脚の筋肉が付きすぎたので、やめていた時期に、この映画の撮影に入りました(笑)。走るシーンは1日で全部まとめて撮影して、長く走るシーンを何テイクも撮ったりもして、体力が落ちていたから疲れ果ててしまいました(笑)」。


――ベッドでビー玉を見つめているシーンは、何か意味合いを考えましたか?

「愛たちが手に入れたのは、宝石ではなくてビー玉だったけど、そのビー玉がキラキラしているのを見て、元気をもらっているのかなと思いながら演じました」。

――実際にビー玉を見て、そういう気持ちになりました?

「なりました。最初はなんでビー玉をベッドで見るのか、わからなかったんですけど、いろいろ考えていくうちに、自分なりに納得できました。でも、ビー玉を見たのは小学生以来でした(笑)」。

――ルームシェアをしている瑞穂(萩原みのり)、恵梨香(今泉佑唯)と3人のシーンは、すごく楽しそうでした。

「楽しかったですね。停電、スイカ割り、コンビニのシーンと、全部アドリブで自由にやらせていただきました」。

――屋上でのスイカ割りでグルグル回ったのも素で?

「そうです。私が生まれて初めてのスイカ割りを全力で楽しんでいるのが映画で流れていて、面白かったです。あれは本当に私がスイカを割ったんですよ。奇跡的で、『自分はスイカ割り名人かもしれない』と思いました(笑)」。


――萩原みのりさん、今泉佑唯さんとは、すぐ役のような距離感になれました?

「すぐにはなれませんでした。みのりちゃんと私は人見知りで、佑唯ちゃんはマイペースでドコドコ行くような子。3人で初めて会ったときは緊張しましたし、クランクインしたときも全然話せなくて。でも、佑唯ちゃんがムードメーカーになってくれて、みのりちゃんと私の壁もなくなっていって、3人で毎日一緒にいたら、距離がどんどん縮まりました。無言でも気にせずにいられる関係になりました」。

――萩原みのりさんとは共に人見知りとのことですが、観る人の心を震わす演技も愛さんと通じるところがあって、刺激になったのでは?

「みのりちゃんのことはもともと知っていて、演技も見ていて、『怖いな』と思ってました(笑)」。

――今までの役柄のイメージから?

「そうではなくて、見た目からでもなくて、一緒に演技するのが怖いなと最初は思っていたんです。でも、掛け合いをしていくとキャッチボールができて、だんだん信頼感に変わりました」。

――では最後に、愛さんにはテテが言う「死ぬ気でやってる」ようなことはありますか?

「犬の世話ですかね(笑)。愛犬2匹の世話は頑張ってます。1匹が赤ちゃん、1匹がおばあちゃんで、本当に大変。でも、ちゃんとやってます」。

――どんなことが大変なんでしょう?

「毎日散歩に行くのも大変だし、おいてけぼりにできないからお泊まりができません。何かあったときも、絶対に犬だけは守ろうと思ってます。だから、犬の避難用セットを用意してます」。


――緊急時に必要なものをまとめてあると?

「はい。自分の避難のことより、まず犬のことを考えていて(笑)。毎日トイレを掃除したり、足を洗ったり、大変なことは多くても、それを楽しみながらやってます」。

 
 


 
 

吉川愛(よしかわ・あい)

生年月日:1999年10月28日(20歳)
出身地:東京都
血液型:B型

 
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2006年にドラマ「対岸の彼女」(WOWOW)で女優デビュー。近年の主な出演作はドラマ「愛してたって、秘密はある。」(日本テレビ系)、「初めて恋をした日に読む話」(TBS系)、「いだてん~東京オリムピック噺~」(NHK)、映画「虹色デイズ」、「十二人の死にたい子どもたち」など。ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系/火曜22:00~)に出演中。映画「転がるビー玉」は1月31日(金)よりホワイト シネクイントにて先行公開、2月7日(金)より全国順次ロードショー。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「転がるビー玉」

配給:パルコ
詳しい情報は「転がるビー玉」公式HPへ
 

 

 

©映画『転がるビー玉』製作委員会
 
 
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