PICK UP TALENT 神部美咲
PHOTO=草刈雅之 INTERVIEW=斉藤貴志
競馬番組「馬好王国」でレギュラーMC
スペシャルドラマでキャバクラ嬢役も
――“神部”と書いて“じんぶ”と読む名字は珍しいですね。
「そうなんです。“かんべ”は結構いますけど、“じんぶ”は家族以外では出会ったことがないですね」。
――クラス替えすると、なかなか正しく読んでもらえなかったり?
「あいうえお順で佐藤さんの次でも“かんべ”さんと呼ばれて『戻るんだ……』という学生時代を過ごしていました(笑)」。
――神部さんが活躍して、“じんぶ”が浸透しつつあります。
「『馬好王国~UmazuKingdom~』でも“じんぶちゃん”と呼んでもらっているので、読まれることが増えたらいいなと思ってます」。
――「馬好王国」に出演する前は、競馬に馴染みはなかったんですよね?
「父親がずっと競馬をやっていて、子どもの頃は難しそうなイメージがあって。『馬好王国』にゲストで出させてもらったとき、ロケで初めて馬を見たくらいです。まさか自分がレギュラーになるとは思いもしませんでした」。
――ゲストで出てから、プライベートでも馬券を買ったそうですね。
「時間があるときに『やってみようかな』って気になりました。100円が240円になって、すごく喜びました」。
――番組でも、いきなり当てていました。
「レギュラーになって1回目の大阪杯で、わかりやすいビギナーズラックがあって(笑)。何にもわからないまま、ラッキーライラックという馬を『ラッキーが起こりそう』と思って選んだら、当たったからビックリしました」。
――その後、万馬券も取って。
「まさかのミラクルが起きました。5頭ボックスで買ったら、4着まで入っていて」。
――もともとビンゴ大会とかでも当てるタイプでした?
「全然です。ビンゴ大会も商店街のガラガラも、当たったことは1回もありません。競馬は意外と向いているんじゃないかと、最近勝手に思っています(笑)。もっと早く始めていれば良かったかも。でも、この年齢になったから、競馬の面白さがわかったのかもしれません」。
――今はプライベートでものめり込んでいたり?
「当たることに快感を覚えているので、お金はそんなに使いません。『トリガミ(馬券は当たっても損をしている状態)になったらダメだよ』というのも教えてもらいました」。
――予想はデータ重視ですか? 勘ですか?
「半々ですね。私の買い方は6頭くらい選んで、3頭は堅いのを入れておいて、あとは勘とか、ジョッキーが好きとか、前に当てさせてもらったとか。何番人気とかはあまり気にしません。最後は女の勘です。それは鋭いはず……なので(笑)」
――仕事的にも運が回ってきた感じはします?
「勢いに乗っている感じは、自分の中であります。今までやってきたことがお仕事に繋がったと、自負を持てたのが大きくて。嫌なことやつらいことがあっても『無駄じゃない。何かに活きるはず』と切り替えられることが増えました」。
――「馬好王国」でセレクトセール(サラブレッドのせり市場)を取り上げたとき、「今まで私をオーディションで落としてきた奴を見返します」と発言していましたが、落ち続けていた時期もあったんですか?
「8割か9割は落ちていたと思います。受けたら全部受かった時期もありましたけど、そんなのは本当に奇跡で、1カ月も持たなくて。最初は書類選考も通らず、面接に呼ばれても残らない。『これが獲れたら本当に大きい』というCMやスポーツ番組のキャスターに最後の2人にまで残って、結局『ダメでした』とか。そういう時期は長かったです」。
――最終で落ちたら、ショックは大きいですよね。
「泣きながら帰ることは結構ありました。焼肉やパスタをやけ食いして太っちゃったこともあります」。
――自分が落ちた番組とかは観ました?
「最初は全然観られなかったです。『この人に何が負けてるの?』と思っちゃったりして。『私はこういうことができなかった』と現実を見られるようになるまでには、ちょっと時間がかかりました」。
――生活が厳しい時期もあったとか。
「仕事が全然なくて、電車賃も払えないから真夏に3駅分を歩いたり、ガスが止まって真冬に水風呂を浴びて仕事に行ったこともあります。バイト先でおにぎりを作ってもらったり、余ったロケ弁を持ち帰ったりもしていました」。
――そういう状況をどう打開したんですか?
「心が折れてひねくれちゃったり、オーディションを受けても『どうせまた落ちる』と思っていた時期もありました。でも、『もういいや。そんなことを考えるのはやめよう』と開き直ったときの私は結構強くて(笑)、だんだん受かるようになったんです。ありのままの自分をいかに出すかが一番大事だと思うようになりました」。
――もともとショップ店員をしていて表舞台を目指したそうですが、最初はモデル志向だったんですか?
「芸能界=モデル、みたいなザックリしたイメージしかなくて、何がやりたいか聞かれたら『モデルです』と言ってました。でも、方向性とか漠然としていて『それじゃ仕事をもらえないよ』と今になると思います(笑)。いろいろやらせていただくうちに、『バラエティで頑張っていきたい』と見えてきました」。
――バラエティを観るのは好きだったんですか?
「大阪出身なので、大好きでした。子どもの頃だと『水10!』の『ココリコミラクルタイプ』とか『エンタの神様』とか、めっちゃ観てました」。
――神部さんは「ゴッドタン」で下ネタを連発して話題になりました。
「抵抗は全然なかったです。面白いものは面白い、という。最初に振られるワードがあって、普段から気にしてないと何も出てこないので、面白そうだと思った下ネタはメモしてました(笑)」。
――今も黒歴史にするつもりはなく(笑)?
「全然ないです。『ゴッドタン』のおかげで自分がゲラだと気づかせてもらって、ただ面白くて笑っていただけだったのが、よく笑うことが武器になると引き出してもらいました。むしろ消したくない大きなきっかけです」。
バラエティでは自分が楽しむことが一番で
ブレずにありのまま飾らずにいたいです
――バラエティの世界でのし上がるために、やっていることはありますか?
「一番大事なのは自分が楽しんでやることだと、最近思っています。無理して発言しているように見えたら良くない。でも、ありのままで飾らずにいるのは難しくて。アンガールズの田中(卓志)さんにも、私の武器はよく笑ったり驚いたりするリアクションだと言われたので、そこがブレないように昔の映像を観ることは多いです」。
――仕事が増えてきただけに、変に慣れが出ないように?
「そうですね。『あのときにできていたことが最近できてない』と気付いたりします。あと、バラエティを観ながら『この間に入っていけるのはすごい』とかメモするようになりました。売れている女性タレントさんを見て、『この人の良さはどこだろう?』と勉強しています」。
――「馬好王国」などのプロデューサーさんや共演者が、神部さんについて「勘がいい」とコメントしています。
「嬉しいです。でも、自覚はありません。1人で突っ走っていけるタイプではないので、『どう思いますか?』と相談したり、収録後に『あそこはどうでした?』とよく聞いちゃいます。『良かった』と言われて『よしよし』となったり、『今日はできなかったな。こうしたほうが良かった……』というテンションになったり。わりと細かい性格かもしれません」。
――おしゃべりは普通に好きなんですか?
「好きです。でも、この前、母親に『昔は寡黙な子だったのに、よくこんな仕事を選んだね』と言われました。小学校までは本当に口数が多くなくて、大人になってもそんな感じで、このお仕事を始めて、さらにバラエティでやっていくようになってから、いろいろしゃべるようになりました」。
――一方、10月放送のスペシャルドラマ「誉田哲也サスペンス ドンナビアンカ~刑事 魚住久江~」にNo.1キャバ嬢役で出演します。
「バラエティとはまったく別物でした。現場の雰囲気も全然違います。カメラを向けられて台詞を言う緊張感がすごくて、久々に張り詰めた仕事になって、家に帰ってきたらボーッとなりました。女優さんはすごいと思います」。
――キャバ嬢の役は合うと思いました?
「キャバ嬢の出てくるドラマをネットで探して、いろいろ観ましたけど、どう役作りをしたらいいかわからなくて。普段はメイクはナチュラルですけど、アイラインを強めにしてもらったり、自分に見えないくらい濃くしました。髪もいつもはそんなに巻かないのをグリッグリにしたり、見た目は結構相談させてもらいました」。
――振る舞いとかで意識したことも?
「グラスを持つシーンが多くて、持ち方が雑にならないように『こうかな?』とか考えてやりました。でも、キャバ嬢の知り合いはいないし、行ったこともないので、全部イメージです」。
――撮影で特に覚えていることというと?
「むしろ何も覚えてません(笑)。求められたことをちゃんとやらなきゃいけない思いが強すぎて、周りをあまり見られなくて。バラエティでは『ああいうふうにすればいいんだ』とか見ながらやることが多いんですけど、そんな余裕は1ミリもなくて(笑)。いい緊張感でしたけど、疲れました」。
――女優業には基本どんなスタンスですか?
「今は目の前のお仕事を1個1個頑張っていく感じで、女優のお仕事もいただければもちろん頑張りますし、次の日がバラエティなら、またバラエティのモードに入ります」。
――自分でドラマや映画を観たりは?
「観ます。私、『古畑任三郎』がめっちゃ好きで、全シリーズ観ました。ドラマでもバラエティでもない『古畑任三郎』というカテゴリーな感じがして、ああいう世界観を作れるのはすごいなと思っています」。
――小さい頃に観ていたんですか?
「最近なんですよ。今年の初めくらいから観ました。友だちと、『古畑任三郎』をちゃんと観たことがない、という話になったんです。再放送でざっくり知っていたり、モノマネは見るけど、どういう流れでああいうドラマになっていったのかは知らなくて。それで大人になって観たら、めちゃめちゃ面白かったです」。
――映画で好きな作品はありますか?
「あまり映画館には行かなくて、家でダラダラしながら配信で観るのが好きですけど、何回も観ているのは『トイ・ストーリー』です。大人になってからも観ました。あと、『プラダを着た悪魔』も女性の強さが出ていて、自分が何をしていきたいか迷ったときに観たりします」。
――これからも仕事の幅は広がっていくと思いますが、自分で特にやりたいことはありますか?
「街ブラロケをすごくやりたいです。のほほんとしたお仕事をしたくて(笑)。タカトシ(タカアンドトシ)さんと温水(洋一)さんの『路線バスの旅』とか、有吉(弘行)さんの『正直さんぽ』とか、ハライチ澤部さんの『なりゆき街道旅』とか、出られたら最高です」。
――普段も散歩好きなんですか?
「インドア派です(笑)。でも、私はお仕事がきっかけで趣味になることが多いので、番組でいろいろなところに行ってみたいです」。
――家では何をしていることが多いですか?
「最近はやっぱり『あつ森(あつまれ どうぶつの森)』です。自粛中はSwitchが手に入らなくて、実家から妹が使っていたのを持ってきたんですけど、すごくハマっています。バラエティを観て勉強もしないといけないから、お風呂に入っている時間だけ『あつ森』をやるルーティンができました。飲み物も用意して湯船でやっていたら、汗もかけるから効率がいいと思って(笑)」。
――ちなみに、島の名前は?
「『しま島』です(笑)。平仮名と漢字で“しましま”。『大喜利か?』と思いながら、ちょっとダサいくらいがいいかなと」。
――仕事以外での将来の夢はありますか?
「3歳からピアノをやっていて、幼稚園の頃から『グランドピアノを置ける家に住みたい』という夢があります。それだけはなぜか、ずーっと変わらなくて。実家にあるのはアップライトで、一度グランドピアノを買う話も出たんですけど、私が18歳で上京したので叶わなくて。自分でお金持ちになって、グランドピアノとそれを置ける家を買うのを目標に、お仕事を頑張っていきます(笑)」。
神部美咲(じんぶ・みさき)
生年月日:1994年8月20日(26歳)
出身地:大阪府
血液型:A型
【CHECK IT】
2015年から芸能活動を開始。「馬好王国~UmazuKingdom~」(フジテレビ/土曜25:15~)、「恋んトスseason10」(Paraviにて配信)にMCで出演。「週刊プレイボーイ」(集英社)や「FLASH」(光文社)などのグラビアに出演。10月1日(木)からスタートの「青春しか勝たん」(BSテレ東/24:30~)でメインMCを担当。10月5日(月)に放送のドラマ「誉田哲也サスペンス ドンナビアンカ~刑事 魚住久江~」(テレビ東京系/20時~)に出演。
詳しい情報は公式HPへ