PICK UP ACTRESS 傳谷英里香
PHOTO=松下茜 INTERVIEW=斉藤貴志
「未満警察 ミッドナイトランナー」に出演中
髪を30㎝切り警察学校の学生で子どももいる役に
――外出自粛中のおうち時間は、どう過ごしてました?
「普段やらないことをしようと思って、手間のかかる料理を作っていました。1日仕込んで2日間かけた豚の角煮とか、ホワイトソースから作るグラタンとか。あとは、朝まで映画を観たりもしました」。
――掘り出し物の映画とか、ありましたか?
「何度か観た作品ですけど、改めてグッときたのは『しあわせの隠れ場所』です。実話を元にした、複雑な境遇の少年がアメフトの選手になるのを支えた里親の物語で、すごく感動しました。それから、同じく実話が元になっている韓国映画の『タクシー運転手』を観て、同じ国民同士で戦うのが、なんて悲しいんだと思いました」。
――光州事件を題材にした作品でした。
「あの事件がどういうものだったのか、その後どうなったのかも調べましたし、このご時世で差別問題のこともいろいろ考えました。とても胸に刺さる映画でした」。
――現在、2本目の連続ドラマとなる「未満警察 ミッドナイトランナー」に出演中ですが、自分が好きだったドラマはありますか?
「小さい頃に観たのだと、最初の『ウォーターボーイズ』とか『ごくせん』とか。学園モノで夢を目指していくのに、子どもながら感動した記憶があります」。
――アイドル時代から女優志向はあったんですか?
「グループに入ると同時にワークショップで演技を勉強する機会があって、『こんなに面白いものなんだ』と刺激になりました。そのときからお芝居をやりたい気持ちはありましたけど、グループにすべてを捧げるように集中していたんです。でも、ワークショップは長く受けていて、お芝居をしたい思いはずっとありました」。
――傳谷さんにとってのお芝居の面白さとは?
「自分と違う人生を体験できますし、何より自分の実際の経験によって演じ方が変わる面白さがあります。悲しい経験をしたとしても、お芝居に活かせたらプラスになったと思える。そこも魅力的なところですね」。
――好きな女優さんはいますか?
「宮﨑あおいさんがすごく好きです。作品を観ていると引き込まれるので、出演していらっしゃると、ついつい見入ってしまいます」。
――宮﨑さんの作品の中でも、特に好きなのは?
「迷いますけど、『怒り』ですかね。豪華キャストで皆さんがメインのようではありましたけど、やっぱり宮﨑さんの存在感はすごかったです」。
――「未満警察」で演じている鷹木真琴は警察学校の学生。傳谷さんは警察官になりたいと思ったことはありました?
「自分がなりたいと思ったことはないですね。でも交番は身近にあって、お財布を落としちゃったときとかに行くと、すごく丁寧に対応してくださって。やさしかったですし、街の人々を守るのはカッコイイ職業だと思っていました」。
――自分に警察官に向いている資質があると思います? たとえば、街で困っている人がいたりしたら……。
「向いているのかはわかりませんが、そういうシチュエーションになったら、見て見ぬふりはできないような気がします。『手伝いましょうか?』とか声を掛けると思います」。
――正義感もあるんでしょうね。
「困っている人がいたら、助けてあげられるような人でありたいです」。
――今回の役のために、長かった髪を30㎝切ったそうですが、どんな感覚になりました?
「切ったあとはすごくスッキリしました。役で切れるなんて本望。ずっとロングだったのを13年ぶりにショートにして、さわやかな気持ちになって、何となく明るくなったと思います」。
――生活の中で変わったこともありますか?
「お風呂の時間が短くなりました。ドライヤーがこんなに楽なものかと驚きましたね(笑)。ロングだとずーっと乾かしてないといけないけど、短くしたらブーッとやれば乾くので、全然違います」。
――使うシャンプーの量も変わったのでは?
「そうなんです。でも、ずっとロングだったから、癖で3プッシュとかしちゃうんですよ。めちゃくちゃ泡立ってモッコモコになります(笑)」。
――真琴はあざとさを持つキャラクターのようですが、その部分の演じ方も考えました?
「研究しました。なぜ『あざとい』と言われるのか? どういうことをしたら『あざとい』と思われるのか? たとえば上目づかいとか、女性らしい仕草みたいなものを調べて、いわゆるあざといと言われる女性の映像も観ました」。
――演技に役立ちましたか?
「ちょっと声のキーを上げたり、肩が入ったり(笑)、そういうことはしています」。
――傳谷さんにもともとあった部分も?
「テンションが上がると声が高くなるのは誰でもあると思いますが、私はわりと男っぽい性格なので、内面的に当てはまる部分はなかったですね」。
シングルマザーの生活の大変さも調べつつ
明るさも忘れず温度差を楽しんでもらえたら
――一方で警察モノということで、シリアスな部分もあるでしょうね。
「そうですね。真琴によってちょっと柔らかくなる場面も、少しアクセントが付く場面もあるので、温度差を楽しんでいただけると思います」。
――では、真琴を演じる上で、あざとさの他に肝にしたことはありますか?
「『警察官になりたい』というのには、相当な意志の強さがあると思うんです。なぜ目指したのか? その想いがある上で、なぜあざといのか? 真琴の過去やきっかけを自分で埋めることは大切にしています」。
――2話ではシングルマザーだったことも明かされました。そこに関しても、いろいろ考えました?
「はい。私には年がひと回り離れた姉がいて、仕事と子育てに追われるのを身近に見てきましたけど、さらにシングルマザーだったら、どれだけ不安で、どれだけ大変なんだろうと考えました」。
――実際のシングルマザーの状況を調べたりも?
「それも調べました。生活にお金がどのくらい掛かるのか、保育園はいくらするのか、子どもと過ごす時間がどれだけあるのか、ちゃんと面倒を見てあげられるのか……。家族か誰かの支えがないと無理だと感じました。仮に今、自分がパートナーのいない状態で子育てをするとしたら、すさまじい経験になるだろうなと。真琴は明るくあざとい女性ですけど、そういう現実的な状況を踏まえて演じていこうと心掛けています」。
――たくさんの要素がある役ですね。
「たまに口が悪かったり、いろいろなギャップがある子なので、そういう意味では大変ですね」。
――子どもとのシーンも出てくるんですよね?
「あるんです。真琴の息子、かわいいんですよ~」。
――子役さんに懐かれているんですか?
「最初はすごく人見知りでしたけど、『おいで』って一緒に遊んだら、打ち解けてくれました。たぶん私も普段、甥っ子と遊んでいるので、その経験が活きて、すぐ仲良くなれました」。
――普通に子ども好きでもあるんですか?
「大好きです~。かわいいので、いつまでも遊んでいられますね。街中で子どもがいたら、もうニコーッとしちゃいます。目が合ったら『バァーッ』とやったりして、お母さんとも目が合うと、『あっ、すいません』となります(笑)」。
――他に「未満警察」のこれまでの撮影で、印象的だったことはありますか?
「基本的に楽しく撮影は進んでいます。ただ、トレーニングのシーンでは実際の教官の方がいらっしゃって訓練するので、厳しい部分もありました。敬礼の仕方も細かく指導していただきました」。
――敬礼って、ただ手を額に持っていくだけではないんですね。
「角度的に親指が見えたらいけないとか、指をどれくらい顔に付けるとか、帽子を脱いだりかぶったりする速さとか、いろいろあります。“右向け右”もただブーンと回るのではなく、キレや軸を意識してやっています」。
――道場で稽古するシーンもあるんですか?
「それは私たちはないんですけど、外で筋トレしたり走るシーンは、みんなとしっかりやりました」。
――傳谷さんの身体能力の高さが発揮されました?
「体力的に疲れることはありませんけど、真琴は運動神経がいい役ではないので、特に活かせてはいないです。でも、走るなら何本でもいけるぞ、という感じです(笑)」。
――普段から運動はしているんですか?
「最近だと、1人でマスクをしてランニングしています。私は筋肉が付きやすい体質なので、筋トレはほどほどにやんわりやっています(笑)」。
――警察学校の他の学生役のキャストとはすぐ馴染みました?
「仲良くなるのはわりと早かったかもしれません。竹内愛紗ちゃんは若いので『かわいいな』と思いながら話していて、大幡しえりちゃんとは食べ物の話で盛り上がって、楽しい時間を過ごしています」。
――撮影を見合わせた期間があって、夏ドラマの形になりましたが、個人的には今年の夏はどう過ごしますか?
「本来なら海に行きたいと思っていました。スキューバダイビングの資格を3年くらい前に取って以来、潜れてないので。でも今年は難しそうだから、おうちでできることを考えると、食で夏を楽しみたいです。流しそうめんやスイカを食べて、テンションが上がったら、かき氷機も買っちゃおうかなと思っています(笑)」。
傳谷英里香(でんや・えりか)
生年月日:1995年11月2日(24歳)
出身地:千葉県
血液型:B型
【CHECK IT】
2012年からアイドルグループ・ベイビーレイズJAPANで活動。2018年に解散後、女優活動を本格的に開始。主な出演作はドラマ「ランウェイ24」(テレビ朝日・ABC)、舞台「新・罪と罰」、「Fumiko」など。ドラマ「未来警察 ミッドナイトランナー」(日本テレビ系/土曜22:00~)に出演中。「炎の体育会TV」(TBS系/土曜19:00~)にレギュラー出演。
詳しい情報は公式HPへ
「未来警察 ミッドナイトランナー」
詳しい情報は「未来警察 ミッドナイトランナー」公式サイトへ