PICK UP ACTRESS emma

PICK UP ACTRESS emma

PHOTO=草刈雅之 HAIR&MAKE=福岡玲衣(TRON)
STYLING=二宮ちえ INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

人気モデルが映画「妖怪人間ベラ」でヒロイン
クールな美貌で周りの人間を狂わせる女子高生に

 
 

――昭和の名作アニメ「妖怪人間ベム」をリブートした「妖怪人間ベラ」でヒロインを演じていますが、映画は初出演になるんでしたっけ?

「名前の付いた本格的な役は初めてです」。

――モデル中心に活動しながら、女優業にも意欲はあったんですか?

「長年モデルのお仕事をしてきて、演技は違う畑のイメージでした。でも、3年前に『A-Studio』のアシスタントを1年間やらせていただいて、ゲストでいらっしゃった俳優さんが演技論や現場のお話をされることも多くて、『こういう世界があるんだな』と。自分の新たな表現ができたら面白いと感じていました」。

――「A-Studio」にゲスト出演した俳優さんの中でも、特に印象に残った人というと?

「たくさんいらっしゃいますけど、内藤剛志さんが演技のことをいろいろお話しされたり、『ベラ』でご一緒した六角精児さんも来てくださって。モデルだけやっていたら、なかなかお会いできない方たちなので、すごく刺激的でした」。

――自分で映画はよく観ますか?

「はい、観ます。わりと海外の昔の映画が好きで、『パルプ・フィクション』とかのタランティーノ作品や『レオン』は何回も繰り返し観ました。ファッション性にも富んでいる映画に影響を受けたりします」。


――「妖怪人間ベラ」では女子高生という設定のベラ役ですが、自分に何が求められているか、聞いたり考えたりはしました?

「ベラは周りと違う一目置かれる存在で、凛としてきれいで……ということは、お話をいただいたときに監督から聞きました。モデルも非現実的な部分があるお仕事だと思うので、そこは今までやってきたことと通じるのかなと。あと、私は誌面で見ると『クールそう』と言われることが多くて、良い方向で結び付いたと思いました」。

――確かにemmaさんは誌面ではクールなイメージですが、「A-Studio」のときもこうしてお話をうかがっていても、むしろフランクで明るい印象ですよね。自分の中でスイッチを切り替えている感じですか?

「別に怖く見せようとはしてませんけど(笑)、モデルのお仕事だとカッコイイ服を着させていただくことが多くて、自然にそういうスイッチが入るみたいです」。

――では、ベラも役に入れば、自然にミステリアスな感じに?

「動いて演技をするとなると、そこは手探りでした。今までもファッション系のムービーやMVで、声を発さない演技みたいなことは何回かやらせてもらいましたけど、ここまでしっかり役になって、アクションもあったり歌ったりもするのは、慣れてなくて」。

――現場に入ったら、あまり話さないようにしていたり?

「そういうわけでもなかったです。ホラー映画でも現場は和気あいあいとしてましたし、私は演技に限らず、性格的にカメラ前に立つギリギリまで、作ることはできなくて。それをやると、たぶん役に引っ張られすぎてしまうんです。普段の仕事でも終わったら終わりで、引きずりません。カットがかかった後やカメラが回ってない時間は、一切私のままでした」。


――英勉監督も明るい方だそうですね。

「そうなんです。すごく面白い方で現場を盛り上げてくださいました。毎日、撮影前にメイクルームにいらっしゃって、『今日はどう?』みたいな感じで、よく会話をしてくれて。主演の森崎ウィンくんも同じ事務所で仲良くさせていただいたので、変に緊張せず撮影に臨めました。それでカメラの前に立てば、自然とベラになれた感じです」。

――ベラの冷たい目線とかも、意識して作ったわけではなく?

「そこはベラを演じている最中は、常に考えていました。監督に言われたベラ像と私の考えたベラ像の共通項を探しながら」。

――emmaさんはどんなベラ像を描いていたんですか?

「台本を読む前の段階だと、やっぱりアニメのベラの印象があったのと、何年か前の実写版で杏さんが演じられたのが思い浮かびました。クールビューティーな感じで、普通にしゃべって感情も出すイメージでしたけど、今回の台本を読むと台詞数が多くなくて」。

――むしろ前半はほとんどしゃべってませんよね。

「そうなんです。大事なポイントでボソッと、パンチラインみたいに言う役でした。監督が考えていたベラとすごくずれていたことはなくて、『こういう感じだよね』と話し合って咀嚼していきました」。


――50年前のアニメの「妖怪人間ベム」も観たんですか?

「私の母と叔母が子どもの頃にリアルタイムで観ていたみたいで、まずその世代的にどうだったか聞いたら、『アニメだけど、すごく怖かった』と言われました。私も実際に観てみて、確かに普通の子ども向けアニメとは違っていて。今回の映画の中にもアニメのシーンが出てきて、なかなか衝撃的で怖いと思いました」。

――前半の台詞がない場面はやりやすかったですか? 逆に難しかった感じ?

「台詞がない上に表情もあまり変わらない役なので、所作でどう見せたらいいか、すごく探りました。かと言って、所作が激しいわけでもないんですよね。ベラはちょっとシュールな部分もあって、誰よりも速く走ったり、みんなが驚くところで驚かなかったり、普通の人間とは感覚が違う。そこで変に違和感がないようにすることも、意識しました」。

 
 

森を逃げるシーンで感情を爆発させて
寒くて転んで心身ともに大変でした

 
 

――特に悩んだシーンというと?

「ベラは周りの人間を狂わせていく存在なので、前半はそれほどなかったです。後半で森を逃げ回る回想シーンがあって、ベラが初めて感情を爆発させるんですけど、そこは真冬ですごく寒かったこととも相まって、尾を引きました。自分の中ではクライマックス。今までベラは全然感情を出さなかった中で、どこに沸点を持っていくか、すごく考えましたし、転んだりして細かい傷もいっぱい作って、心身ともに大変でした。でも、アドレナリンがすごく出ました」。

――ああいうふうに叫ぶことは、日常ではないですよね?

「役に入っていたので叫べましたけど、この年齢で感情が爆発することは、なかなかないじゃないですか。あの場面は人間だったらすごい状況で、精神的にもヤバイなと。一番大変なシーンだったかもしれません」。

――emmaさん自身は、叫ばないまでも感情が大きく波打つことはありますか?

「怒ることはあまりないというか、怒らないようにしています。嫌いなものは嫌い、好きなものは好きとハッキリしている性格で、嫌いなら最初から一切関わらないので、怒らないんです。基本的に平和主義で、よほど理不尽なことが起こらない限り、みんなで仲良くしていたいです」。


――同級生の牧野沙織(桜田ひより)の口を手で押さえたり威圧するシーンも、緊迫感がありました。

「あの撮影の日はめちゃくちゃ緊張しました。映画の中でベラが初めてしゃべるシーンで、監督からは『バーッと勢いよく、言葉責めみたいに』と言われました。短い台詞でしたけど、すごく早口で、確か最初に噛んでしまったんです。それで余計に緊張してしまって。いつも和気あいあいとしている現場もその日は緊迫してました。私が勝手に緊張していただけかもしれませんけど(笑)」。

――緊張すると、どうなるんですか?

「体には出ませんけど、ただただ手汗をかいて(笑)、『どうしよう、どうしよう。でも、やるしかない!』という。人の口を押えるとか、生きていて初めてやりました(笑)」。

――今回のベラは女子高生で、体育のシーンでは速く走らないといけなかったんですよね?

「はい。ベラは他の人間とは違うので。吉田凜音ちゃんが演じた綾瀬が学校で一番運動もできる子だったのを、転校してきたベラがスイスイ抜かしていくから、足は速く見えないといけませんでした。あのシーンはとにかく走ったんです。私は学生時代は徒競走は得意なほうでしたけど、最近は全然走ってなくて。でも、息切れを見せたらダメなので、顔も心も無にしていました(笑)」。

――制服を着たのは久しぶりだったのでは?

「本当に久しぶりすぎて、衣装合わせのときは、ちょっと恥ずかしかったです(笑)。一度お仕事で制服ふうの衣装を着たことはありましたけど、リアルなセーラー服は高校卒業以来で、最初は照れました。でも、実はすごく楽しみにしていて(笑)」。

――女子として?

「そうです。ひよりちゃんは現役ですごく似合っていて、私は大丈夫かなと思っていたら、『違和感ない』と言われたので良かったです(笑)」。


――そんなこんなありつつ、試写でベラはイメージ通りになっていました?

「撮ったのが2年前で、試写は去年観させていただきました。私は文化服装学院というファッションの学校に通っていたので、クリエイター的な部分や裏方のお仕事にも興味がありまして。今回はCGも結構あったから、現場では想像でやっていた部分を初号で観たときは『こういうふうになったんだ』と、何とも言えない嬉しい気持ちになりました。客観的にはわからないところもあるので、早く第三者の方に観ていただきたいです。感想をもらったら、映画に出演した実感が湧くかなと」。

――今後も女優業は続けていくんですか?

「また機会をいただければ。日本の歴史や平和の大切さを伝えることができる作品に、いつか出てみたい気持ちがあります。小さい頃に観た『さとうきび畑の唄』に大きな影響を受けました。私はハーフなので出方が難しいかもしれませんが、ご縁があれば、そういう作品に参加してみたいです」。

――emmaさんのような若い方がそういう想いを持つことは大事ですよね。プライベートでは新たに始めたいことはありますか?

「ステイホーム期間に自炊に取り組んだんです。もともと料理は好きでしたけど、お仕事中心の生活で、簡単に作れてパッと食べられるものしかできなくて。だから、たとえばスパイスや調味料にこだわって、普段はできないものをいろいろ作ってみました。それをこれからも、健康管理も考えて続けていきたいです!」。
 
 


 
 

emma(えま)

生年月日:1994年4月1日(26歳)
出身地:北海道
血液型:O型
 
【CHECK IT】
イギリスと日本のハーフ。2013年に「装苑」(文化出版局)で表紙を飾りモデルデビュー。その後も多くのファッション誌の表紙やカタログでモデルを務め、ファッションショーにも参加。2014年より「ViVi」(講談社)の専属モデルに。2017年3月から「A-Studio」(TBS系)で9代目サブMCを務めた。映画「妖怪人間ベラ」は9月11日(金)より池袋HUMAXシネマズ、渋谷HUMAXシネマほか全国順次ロードショー。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「妖怪人間ベラ」

詳しい情報は「妖怪人間ベラ」公式サイトへ
 
 

 

 

©2020映画「妖怪人間ベラ」製作委員会
 
 
映画の前日談となる連続ドラマ「妖怪人間ベラ~Episode0(ゼロ)~」が配信中。
詳しい情報は「妖怪人間ベラ~Episode0(ゼロ)~」公式サイトへ
 
 

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