PICK UP ACTRESS 萩原みのり
PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志
実写ドラマ化された「I”s」に出演
積極的に恋のアプローチを仕掛ける役
――みのりさんは「I”s」以前は、ガッツリ恋愛の作品はあまり出てなかったですよね?
「『放課後グルーヴ』や『表参道高校合唱部!』で恋愛の部分はあったんですけど、片想いがメインの役は『I”s』が初めてでした」。
――好きなジャンルではあるんですか?
「高校生の頃は恋愛マンガを読んでましたけど、最近は読まなくなりましたね。小説を中心に読むようになってからはジャンルは問わなくなったので、恋愛モノが特に好きということはないです」。
――「I”s」で演じる磯崎泉は、主人公の瀬戸一貴に積極的にアプローチしていく役。オーディションで決まったんですか?
「そうです。他の子はいくつかの役を受けたみたいですけど、私は泉役のみのオーディションでした。しかも、みんなは何人かずつで受けたそうなんですけど、私は1人で演技をしました。たぶん制作の方たちの中で『萩原みのりは泉』という方向で見てくださったんだと思います」。
――一貴をめぐるヒロインは4人いますが、自分でも泉が一番ハマる気がしましたか?
「私は正直、『I”s』の原作を読んで、泉役には受からないだろうと思ってました。と言うのは、私はかわいさがベースになる女の子の役をやってこなかったし、そこを求められたこともなかったので。それと私は顔がキツく見られがちで、ちゃんと恋愛している子に見えない気がしたので、泉ちゃんをできるか怖かったんです」。
――インスタに「こんなにプッシャーを感じたのは初めて」とありましたが、それは今出たような意味で?
「そうですね。あと、私自身が原作のファンになってしまったから、自分でハードルを上げたというか、『こんな大好きなマンガの実写を自分がやるのか……』って、どんどん重みを感じました。『I”s』のファンの方って熱がすごいんです。世界観のすべてを愛している人が多いから、そういう人たちに失礼のないように実写化しないといけないプレッシャーはすごかったです」。
――みのりさんは「I”s」のどんなところに惹かれたんですか?
「もう全部です。キャラクターの1人1人が魅力的だし、ストーリーも面白い。『(少年)ジャンプ』で連載されているので、男性目線で描かれているはずなのに、女性はちゃんとヒロイン目線で読めるんですよね。それは女子キャストの間で共通していて、『誰の目線で読んだ?』という話になると、誰も一貴目線ではなかったです。順番に替わっていくヒロインそれぞれの目線で読んで、こんなに共感した作品は初めてでした」。
――最初に出た“泉を演じる上での不安要素”は、どう解消していきました?
「初めて体重をかなり落としました。現場に入る前、女子キャスト4人が集まってリハーサルをしたとき、『この子たちと対等に並べないと、一貴が4人の間で揺れるところにいけない』と思ったんです。だから、ちゃんとかわいく見えるようにならないといけないと思いました」。
――そこは別に、いつものみのりさんのままでも成立した気がしますが……。
「私的には、泉ちゃんの顔の輪郭がすごく印象的だったんです。横顔のラインがすごくきれいなんですよね。そこはちゃんと出さなきゃと思いました。単行本の表紙で泉ちゃんの輪郭がよくわかる絵があったので、そこを目指して携帯の待受けにして、毎日鏡で自分の顔のラインを確認してました」。
――役作りのために体重を落とす話は聞きますけど、顔の輪郭まで変えるとは……。
「周りからも言われますけど、私はもともと丸顔なんです。でも、泉ちゃんは丸顔ではないから、ちゃんと近づけないとダメだと思いました」。
――そのために、どんなことをしたんですか?
「相当いろいろやりました。運動してジムにも行って、ヨガとかキックボクシングとかをやりながら、食事制限もかなりしました。リハーサルが始まってから撮影が終わるまで、トータルで半年くらいあったのかな? 結構長い期間、毎日もう必死でしたね」。
原作マンガと見た目を近づけて
表情も越えないといけなくて……
――そうした泉の外見面に加えて、一貴にグイグイ迫っていく部分でも考えたことはありました?
「常に一貴先輩の反応をうかがって、楽しんでいました。(岡山)天音くんが演じる一貴のその都度出る表情を受け取った上で、また次のいたずらを仕掛けるところはすごく意識しています。泉が1人でいたずらしているだけだと、うっとうしくも見えるので。一貴先輩を好きだからこそ、楽しんでほしくてやっているのが伝わるようにしないといけないと思いました」。
――原作を実写で再現するために、演技面でも工夫をしたんですね。
「桂(正和)先生は『原作は意識しなくていい』と言ってくださったんです。ただ、大前提として見た目は近づけておきたかったのと、やっぱり自分が原作を好きになったから、マンガの泉の印象的な表情が頭に焼き付きすぎて、それを越えないといけないところでは、かなり悩みました」。
――そういう場面が随所に?
「はい。泉だけではなく他の女の子たちの表情も、今でも思い出せるところがいっぱいありますから。それを人間が体現したら、どれだけできるのか? 原作の1コマのインパクトがすごいので、そこは意識しました」。
――特にハードルが高かったシーンは?
「泉が最後にホテルで振り返えるシーンです。そのときの表情は、一貴先輩に『本当に傷つけてしまったんだ……』と思われないといけなかったので。マンガであの表情のカットを見たときは、そこからページがめくれなくなるくらい刺さりました。だから、そのシーンを撮影する何日か前から、ずーっと気に掛かっていて、当日は朝から『今日だな』と緊張しました」。
――泉は一貴より二つ後輩の高1ですが、若々しさみたいなことも意識しました?
「私は女子キャストの中で実年齢だと一番上だったので、『どう映るんだろう?』というのはありました。でも、そこはどうしようもないし、ヘンに若さを意識してやり過ぎても良くないから、それほど意識はしませんでした。周りの方が『私服だとまた違うけど、制服を着ているときはちゃんと年下に見える』と言ってくれたので、それを信じるしかなかったですね」。
――フレッシュ感は出ていたと思います。みのりさんは泉と似ていると思いますか?
「ひとつのことに対して真っすぐになる部分は自分と似ていると思いますけど、私はあそこまで強くはいられません。憧れの存在ですね」。
――好きな人がいても普通はあんなに積極的には行けないと思いますが、みのりさんも恋愛はともかく、基本積極的なタイプなのでは?
「どうなんだろう? わりと慎重かもしれません。ビビリなので(笑)」。
――一貴との出会いは夏の海でしたが、みのりさんは海で泳いだりは?
「ないです、ないです。自分のビキニは許せない派で(笑)、絶対一生着ないつもりでいたら、今回の撮影で初めて着ました。でも、もう二度と着ないと思います(笑)」。
――そういうことも含めて、「I”s」で殻を破った感覚はありますか?
「今までやってこなかったことがいろいろ詰まっていましたが、ヘンにセーブはかけたくなかったです。一貴の妄想シーンとか際どいところもありますけど、原作を相当好きになったからこそ『泉ちゃん役をやらせてもらえるならやります』という気持ちになれました。できないなら他の人がやったほうがいいと思うくらい、泉ちゃんに対する想いが強かったので、今回はいろいろできました」。
――恋愛ドラマならではの楽しいこともありました?
「はい。普通にお芝居していたらないくらい、喜怒哀楽が激しい役だったので、本当に楽しかったです。しかも1シーンが長いから、1コ1コのシーンでも感情の起伏がつけられるので、演じていてすごく面白く感じました」。
――ちなみに、泉があそこまで一貴に惹かれた心情は理解できました?
「泉目線で見れば一貴先輩は魅力的だと思いますけど、客観的に見たら『オイ、オイ、揺れ過ぎだろう!』と思います(笑)。女の子の立場としては、あんな目に遭いたくないです(笑)」。
――では最後に、HUSTLE PRESSでみのりさんを取材させていただいたのは1年以上ぶりになりますが、その間にご自分に何か変化はありました?
「お出かけをするようになりました。昔は引きこもりだったのが、人と会うようになって、長野までドライブに行ったり、星を見に行ったり、今はアクティブに動いてます。お誘いにもなるべく乗るようにして、ごはんにも行くようになって、去年はなんか人とよく会う年になりました」。
――何かあったんですか?
「人を好きになったんです。以前はずっと自分がどう見られているのかが怖くて、人と会うのが苦手でした。でも、家族みたいに仲の良い10人くらいのグループができて、連絡すれば誰かに会えるようになりました。辛いときに『辛いです』と言える場所ができたんです。自分がオフになれる場所が東京にできたことは、すごく大きかったと思います」。
萩原みのり(はぎわら・みのり)
生年月日:1997年3月6日(21歳)
出身地:愛知県
血液型:B型
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2013年にドラマ「放課後グルーヴ」(TBS系)で女優デビュー。主な出演作はドラマ「さよなら私」(NHK)、「表参道高校合唱部!」(TBS系)、「幕末グルメ ブシメシ ! 2」(NHK BSプレミアム)、映画「64 -ロクヨン-」、「昼顔」、「ハローグッバイ」、「ゆらり」、「お嬢ちゃん」など。ドラマ「I”s」(BSスカパー!/金曜21:00~)に出演。
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「I”s」
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©桂正和/集英社・スカパー!2018