PICK UP ACTRESS 浜辺美波
PHOTO=厚地健太郎 INTERVIEW=斉藤貴志
映画化された「キミスイ」でヒロイン
病を患い笑顔を絶やさぬ役で涙を誘う
――「君の膵臓をたべたい」は随所で涙が出る作品ですが、演じていた美波さんが自分で観ると、どんな気持ちになりました?
「私も普通にひとつの作品として観ました。『撮影のときは大変だったな』とか思わず、お話として観させていただいて、自分でもボロボロに泣きました」。
――特にどの辺のシーンできましたか?
「最初のほうからちょっとウルウルきていて、泣きどころというか、好きなシーンでは全部涙がこぼれました。大人パートももちろん大好きですし、桜良の日記が私の声で読まれるところも、自分で泣きました(笑)」。
――桜良は膵臓の病気を抱えながら、常に微笑を浮かべてました。あの笑顔は美波さんの普段そのままですか? 桜良としての笑顔を意識しました?
「桜良として笑ってました。人のために笑顔になれるのが、桜良ちゃんのかわいらしくて良いところで、まっすぐなところも出ていたので……。人に心配させないように、自分をだますためにもカッと笑うのが、私の好きな桜良ちゃん。精一杯演じさせていただきました」。
――映画を観ているときは、普通に桜良を朗らかで愛らしい子だと思いましたが、月川翔監督は“嫌な子”や“ぶりっ子”に見えないことを気に掛けられていたそうですね。言われてみると、一歩間違えるとそうなりかねない役で、難しさも感じました?
「そうですね。【僕】との関係性も言葉にできないようなものでしたし、桜良ちゃんはずるいところやあざといところもかわいらしさのひとつだったりするので、どこまで天真爛漫にしたらいいのか……。『仲良しくん』という呼び掛け方もすごく難しかったです」。
――最初に「なっかよしくん」と呼び掛けるシーンは何テイクも撮ったとか。だんだん自分のなかで掴めてきた感じですか?
「最初は本当にわからなかったんです。現場でとにかくいろいろやらせていただくなかで、OKが出たら『こういう感じかな?』って、ちょっとずつ掴んでいきました。最後のほうになると、【僕】との距離感もわかってきて、テンポの良い返し方や、桜良ちゃんが楽しいと思っているときの笑顔がすんなり出ました」。
――桜良を演じるカギみたいなものを見つけて?
「私はテンポがすごく難しいと思っていたんです。【僕】との会話でパッパ、パッパとテンポ良く返していくのが、なかなか掴めなくて……。逆に、そのテンポ感が桜良ちゃんらしさなので、監督にたくさんご指導いただきました。あとは、本当に笑顔がすごく素敵な女の子というイメージがあったから、それを表現したいと思ってやらせていただきました」。
――普段の美波さんはポンポンしゃべるタイプではないですよね?
「そういうふうにはしゃべれないです。なので、本当に苦労しました。自分で『テンションを上げて!』とすごく意識したんですけど、桜良ちゃんは桜の花を見たりするだけでテンションが上がる子なので、図書館のシーンとかは窓から見える桜を眺めて『桜良ちゃんだったら、ここは……』と考えたりもしました」。
――美波さんも「これを見たらテンション上がる」というものはあります?
「私はごはんを見るとテンションが上がります(笑)。唐揚げとかの揚げ物や、かき氷とかアイス系は大好物なので……。スイーツ食べ放題のお店で撮影したときは、もう最高でした(笑)」。
――そういうときもあるんでしょうけど、美波さん自身はもの静かでおとなしいイメージがあります。
「だから最初は、テンション自体もすごく意識しないと上がらなかったんです。でも、博多のシーンは最後のほうに撮影して、自然に上がりました。桜良ちゃんらしく気持ちを上げる流れができていたので、桜良ちゃんとして楽しく撮影できました」。
「ただいま」「おかえり」と言う
普通の日常を大切にしたいです
――確かに、おみくじのくだりとかすごく楽しそうでした。桜良はずっと明るく振る舞っていましたが、劇中に描かれなかった部分で、病気で「あと1年持つか……」と言われてからの心境の変化は考えました?
「そこは監督が役作りのために2ページくらいのプリントをくれて、“病気を知ってから、こういうことがあったかもしれない”“こんなことがあって今はこうなっている”というのが書かれていました。それを参考に『そうだったんだな』と改めて考えて、演じさせていただきました」。
――美波さんだったら「あと1年」と言われたら、どう過ごします?
「やっぱりすごく落ち込むでしょうし、『なんで?』という気持ちが強くなると思います。でも、両親のいるおうちに帰って『ただいま』『おかえりなさい』『行ってらっしゃい』と言いながら、普通の日常を大切にして過ごしていきたいです。」。
――桜良みたいな“やりたいことリスト”を作ったりは?
「私はたぶん、それはできないと思います。桜良ちゃんのように『どこかに行きたい』とかは出てこなくて、ずっとおうちにいたいので……。今のままの毎日で満足してます。ただ、食べるときが本当に楽しいので、何かあったら、好きなものを食べられるだけ食べたいです(笑)」。
――桜良が【僕】に「生きるって何?」と聞かれる場面もありましたが、美波さんならどう答えます?
「私はやっぱり、楽しいことをするのが一番大切かなと思います。何かで成功しても、苦しいことがたくさんあったら、悔いが残る気がします。楽しいなかで成功させられるように、全部を楽しみたいです」。
――この映画では、日記を読んだりする美波さんの声も評判だったそうですね。
「私の声は通らなくて、お店で注文するときとかは不便なんです(笑)。映画のなかで良く聞こえたなら、うれしいです」。
――映画は夏休みシーズンに公開されますが、美波さんの夏のお楽しみは何ですか?
「やっぱり食べることが好きなので(笑)、まずはかき氷をお祭りの屋台で食べたいです。地元の石川では、あまりにぎやかなお祭りに行ったことがなかったので、屋台でりんご飴とかも食べたことがないんです」。
――かき氷が一番好きなんですか?
「はい。最近も1日に3杯食べました。それも、大きい鉢に入ったのを(笑)。チョコレート味というシロップがあるのを知らなくて、食べたら本当においしくて感動しました。そのときは2杯食べて、心配されたのでやめたんですけど、あと1~2杯は行けたと思います(笑)」。
――1日3杯とか食べて、お腹は大丈夫でした?
「全然こなかったんです。かき氷をたくさん食べられる体になってきているみたいで、すごく良かったです(笑)」。
浜辺美波(はまべ・みなみ)
生年月日:2000年8月29日(16歳)
出身地:石川県
血液型:B型
【CHECK IT】
2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞。これまでの主な出演作は、映画「逆転裁判」、「エイプリルフールズ」、「咲-Saki-」、ドラマ「まれ」(NHK)、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(フジテレビ系)、「無痛~診える目~」(フジテレビ系)など。主演映画「君の膵臓をたべたい」は7月28日(金)より全国ロードショー。映画「亜人」が9月30日(土)より公開。
詳しい情報は公式HPへ
「君の膵臓をたべたい」
詳しい情報は公式HPへ
(C)2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 (C)住野よる/双葉社