PICK UP ACTRESS 堀田真由
PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志
「殺さない彼と死なない彼女」に出演
「全人類に愛されたい」という奔放な役
――「殺さない彼と死なない彼女」で演じたきゃぴ子は恋に奔放で複数の恋人がいる役ですが、かわいい仕草とかは研究したんですか?
「しました。仕草、走り方、まばたきのタイミングとか、監督の指示もありつつ、自分の想いもあって、わりと全部計算してあざとくやった感じです(笑)」。
――何かを参考にしたりも?
「原作の4コママンガのきゃぴ子を何回も見たのと、恋愛モノやかわいい役をやるときはいつも、恋愛ソングを聴いて気持ちから上げていくようにしています。今回はYUIさんの歌をずっと流してました」。
――イメージ通りのきゃぴ子になったようですね。
「ここまで女子女子した役は今までなかったんですけど、皆さんがひとつひとつのシーンをこだわって作ったので、自分の新しい一面をお見せできたと思います」。
――衣装もモテ系な感じで。
「そうですね。私自身はどちらかというとクールな服が好きで、ああいうのは着ないんですけど」。
――でも、きゃぴ子は同性ウケは良くなさそう?
「ああいうタイプの子をあまり良く思わない女性は多いですし、私もきゃぴ子をすごくプラスには見ていませんでした。でも演じてみたら、愛されるためにかわいくなる努力をいっぱいしている子なんだとわかりました。もしかしたら、ああいう子を嫌だと言う人は努力をしてないのかなと、だんだん考え方が変わりました」。
――「みんなに愛されたい」というきゃぴ子の気持ちはリアルに感じますか?
「感じました。この作品のきゃぴ子以外のキャラクターもそうですけど、遠いようで近いし、わからないようでわかる気がします。『何が』というのは言えませんけど、懐かしい感じがするというか……。キャラクターたちの心の叫びに、『自分もその感覚は味わったことがある』と思いました」。
――きゃぴ子が好きでもない人にまで思わせぶりな態度を取るのも、わからなくはないと?
「それはわかりませんけど(笑)、原作で『これ好きだな』と思ったところがあります。きゃぴ子は『全人類に愛されたい』という子で、仲良しの地味子ちゃんは『私は1人に愛されたら、それでいい』みたいなことを言うんですね。そこで『私にはそれができないから、こんなバカなことを言ってるんじゃない』という台詞があって、深いなと思いました」。
――きゃぴ子は「ふられたくないから、自分からふる」とも言ってました。
「それも私にはないです。私がわかるかもしれないと思ったのは、『“バイバイ”はもう会えないみたいで嫌なの。“またね”と言って』というところとか。あと、原作にあって映像化はされなかった中で、きゃぴ子が地味子ちゃんに『元カレからもらったお揃いのキーホルダーとか、すぐ捨てちゃうよね』と話していて、『だって、元カレとはもう心がお揃いじゃないもの』という台詞が一番好きです。かわいいし、わかるし、いいなと」。
――別れ話のシーンとか、きゃぴ子は表面的には明るく話しつつ、裏腹な心の声が流れたり、感情が忙しい役でもありましたね。
「『全人類から愛されたいもの』と口にしているきゃぴ子でも、言えない部分を心の声で演じさせてもらいました。そのモノローグを録るときは、今にも死んでしまいそうな、か細い声を出すことを意識しました」。
――態度とは真逆な。
「モノローグのところの間を空けてお芝居させてもらって、野球部の彼とハグしているときとか、心の声を考えながら、そっちに合わせた表情をしたりもしました」。
――別れに関しては、きゃぴ子の台詞に「嘘をつくなら最後まで貫き通してほしかった」というのもありました。
「深いですけど、私にはわからないかもしれません。本当のことを知りたい人なので、嘘は見破りたくなります(笑)」。
女性の反感を買いやすいキャラでも
プラスな部分もわかってほしくて……
――小林啓一監督は「演じる上ではきゃぴ子のキャラクターが一番大変」とコメントしていますが、自分でもそう思いました?
「はい。やっぱり女性に反感を持たれやすいキャラではあるんですけど、『否定で終わらせたくない。プラスな部分もわかってほしい』というのもありましたから。あと、きゃぴ子はとにかくかわいくないといけなかったので、監督も『髪の流れはもうちょっとフワッとしたほうがいい』とか、そんなことまでこだわってくださったので、みんなで作った役という感じがします」。
――恋多ききゃぴ子ですが、恒松祐里さんが演じる地味子とのシーンが、一番ラブラブに見えました。
「私もそこが一番グッときました。原作だときゃぴ子は、どのシーンでもだいたい泣いているんです。お芝居でも全部泣かないといけなかったら、体力が持つか不安なので、そこを監督と最初にお話させていただきました。そしたら、『地味子がきゃぴ子の悪口を言ってる子に怒るシーンだけ、涙をください』ということでした。そのために温かい涙を取っておく感じでした」。
――体育館で手を繋いで走るシーンもありました。
「その前の倉庫のシーンは何回もテイクを重ねて、空気が若干薄くなったくらいだったんですね(笑)。でも、一瞬のために良いものを撮りたくて、何回もやったので、OKが出たあとに走るのは幸せで仕方なかったんです。きゃぴ子だから女の子走りみたいにして、地味子ちゃんをじっと見つめているイメージでした」。
――2人のシーンはやればやるほど面白くなって、キリがないほどだったそうですね。
「どのシーンも祐里ちゃんと監督と3人でお話しながら撮って、私たちも『OKをくれるのはこれだ!』という感覚がだんだんわかってきたので、『こうしたほうがいい』とか考えながらやってました」。
――自分たちのアイデアが使われたところも?
「地味子ちゃんがきゃぴ子に『女の子は遠目にはみんなかわいいけど、あんたは近くでもかわいいから大丈夫』と言ったのは、祐里ちゃんがふと口にしたことが『面白いね』となって使われました。現場で生まれたものもありましたね」。
――恒松祐里さんとは同い年で同じ事務所ですが、もともと仲が良かったんですか?
「前にも『虹色デイズ』でご一緒したり、昔は事務所のレッスンも一緒に受けて、学生時代から知っていたので、お互いどんな性格かわかり合ってます。しゃべらなくてもその間が気にならないので、落ち着ける存在ですね」。
――あと、きゃぴ子の部屋は広くはないけど、お姫様願望が溢れている感じでした。
「溢れていましたね。すごくかわいくて、ビックリしました」。
――真由さんの部屋はあんな感じではないですよね(笑)?
「私の部屋は、逆にピンクがなくて、わりとシックで大人っぽいものを集めた感じです」。
――何かお気に入りのものを飾っていたりはしますか?
「絵を買ったんですよ。それを飾っています。たまたまポップアート展みたいなのをやっていたときに、お客さんがたくさん並んでいて、『何だろう?』と思って入ったんですね。今まで絵は見に行くことはあっても、買ったことはなくて……。でも、良いお金の使い方をしたいと思い始めていたので、気に入ったのを見つけて買いました」。
――最近の真由さんはたくさんの作品に立て続けに出演していますが、自分の女優としての強みはどんなことだと思いますか?
「いろいろな役をやらせていただけることですかね? 王道のヒロインとか、悪い感じの強い女性とか、ひとつの役柄に長けている方ももちろん素敵ですけど、私の場合、きゃぴ子のようなかわいい役とか、他の作品では毒舌な役とか、いろいろと演じさせていただけるので、そこは大事にしていきたいと思います」。
堀田真由(ほった・まゆ)
生年月日:1998年4月2日(21歳)
出身地:滋賀県
血液型:O型
【CHECK IT】
2015年にドラマ「テミスの求刑」(WOWOW)でデビュー。主な出演作はドラマ「わろてんか」(NHK)、「チア☆ダン」(TBS系)、「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)、「べしゃり暮らし」(テレビ朝日系)、映画「虹色デイズ」、「36.8℃ サンジュウロクドハチブ」、「プリズン13」、「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」、「超・少年探偵団NEO -Beginning-」、「108~海馬五郎の復讐と冒険~」など。ドラマ「ブラック校則」(日本テレビ/月曜24:59~)、「坂上どうぶつ王国」(フジテレビ系/金曜19:00~)に出演中。アサヒグループ食品 「MINTIA」CMが放送中。映画「殺さない彼と死なない彼女」が公開中。
詳しい情報は公式HPへ
「殺さない彼と死なない彼女」
配給:KADOKAWA/ポニーキャニオン
詳しい情報は「殺さない彼と死なない彼女」公式HPへ
©2019映画『殺さない彼と死なない彼女』製作委員会
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