PICK UP ACTRESS 喜多乃愛
PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志
ドラマ「Re:フォロワー」で新境地のカギを握る役
舞台ではグータラなラジオパーソナリティに
――夏の取材では「花火大会に絶対行きたい」とのことでしたが、行けました?
「一番行きたかった長岡の花火大会には行けなかったんですけど、新潟の花火をおばあちゃんと一緒に見ることができて、嬉しかったです」。
――毎年、新潟に里帰りしているんですか?
「小さい頃はそうでしたけど、家族の予定が合わなくなってきて、今年は1年ぶりでした。おばあちゃんと日帰りで温泉に行ったり、新潟の好きな食べ物を食べたり、短い時間でギュッと満喫した感じです」。
――新潟のどんな食べ物が好きなんですか?
「へぎそばとか、たくさんあります。『みかづき』というお店でミートソースがかかった焼きそばみたいなイタリアンがあるんですね。安くて素朴なおいしさで、小さい頃から食べていた懐かしい味で、それも久しぶりに食べられました」。
――ドラマ「Re:フォロワー」で演じている舞台演出助手の雪谷美奈は、後半に過去が明らかになって物語のカギとなるようですが、序盤はよく稽古場の掃除をしてました(笑)。
「そうですね。ずっと掃除を頑張ってました(笑)」。
――「帰れ!」とか言う役は、今までなかったのでは?
「わりとフワフワした役をやることが多くて、塩対応クール女子はあまりなかったです。あそこまで口調が強い役は初めて。根は悪い子ではないんですけど、当たりが強いんですよね」。
――素の乃愛さんとは違って?
「私は『帰れ!』とか絶対言わないです(笑)。怒鳴ったりすることもないですけど、そういう役をやってみたいと思ってました。すごく楽しかったです」。
――いつもと違うスイッチも入れつつ?
「でも、この現場は不思議だったんです。台本が難しくて、何回も読んで、いろいろ考えて、それでもわからなかったところが、西田(大輔)監督に聞いた瞬間、『あっ、そういうことか!』と、ものすごいスピードで自分の中で理解できました。そういう感覚は初めてでした」。
――演劇界で名を馳せた西田監督が的確な言葉をくれるんですか?
「言葉でも説明してくれますけど、西田さんが私に役について話してくださっている時点で、私が私ではなく美奈になっている感じがしました。そうやって役に引き込んでくださる力があって、完成したドラマを観てもすごい世界観で、『こうなるんだ!』とワクワクします」。
――悩みや不安をぶつけて選ばれると解決してくれるSNS「クレシダ」を運営する4人の男が主人公で、美奈は11年前に起きた「クレシダ事件」と呼ばれる小学生殺人と関係があるようで……。
「最初のほうに撮ったのが、後半にオンエアされる大事なシーンでした。『クレシダ』のリーダーの一十三と美奈の2人の場面で、監督と西銘(駿)さんと3人で話し合って、『とんでもないものを抱えている2人だから、とんでもないものを作ろう』と言われました。監督もドラマは初めてで、探りながらやっていたようですけど、すごく熱い方でした。だから、どうしても応えたくて……。『カット』と『OK』の声が大きくて、その声で『すごく良かった!』と言われると嬉しかったです」。
――難しい役ではあったんでしょうけど。
「めちゃくちゃ悩みました。美奈は今起きてることより、過去に起きたことを抱えて生きてきた女の子なので、想像力でいろいろ埋めていかないといけなくて。泊り込みの撮影で、部屋に帰っても、ずーっと台本を読んでいたら、『もうこんな時間だ』みたいなこともありました。自分なりに考えて、『これでいいのかな?』と不安なまま行っても、さっき言ったように監督と話すと解決するので、自分でビックリしました」。
――「とんでもないものを抱えてる」美奈の人物像はどう捉えました?
「ひと言で言うと、すごく愛情深い人です。そこを軸にいろいろな出来事に関わっている感じです」。
――塩対応と裏腹なんですね。コメントで作品について「私にとって新しいチャレンジ」とあったのは、その辺ですか?
「今まで私がやってきた作品とは違う独特な世界観で、役柄も私が経験してないことを抱えている女の子だったので、自分が生きてきた中での感情と繋げるのがすごく難しくて……。そういうところがチャレンジでした。でも、面白かったです。終盤の出来上がった場面は私もまだ観てないので、ドキドキしてます」。
「根拠はなくても自信を持つ」とか
良いと思った言葉を毎日メモしてます
――クレシダは選んだ依頼者にシェイクスピアの戯曲から取った言葉を送ります。乃愛さんはシェイクスピアに馴染みはありました?
「『マクベス』は読んだことがあって、今回も劇中に出てきた『トロイラスとクレシダ』を読もうとしたんですけど、売ってませんでした。以前に読んだ作品も、自分では解釈できなくて解説を読んだので、今回も本編よりも解説を読んで挑みました(笑)」。
――シェイクスピアの台詞ではなくても、乃愛さんの中に刻まれている言葉は何かありますか?
「座右の銘は『人生、一度きり』です。あと最近、日々いろいろな方と接していて、『いいな』と思った言葉をメモするようになりました。日記みたいなノートを買って、毎日書いてます」。
――特に印象的だった言葉というと?
「この前、1個上の幼なじみとバーベキューをしたとき、『根拠はなくても自信を無理やり持つ』とポロッと言われたんですね。それは『なるほど。大事だな』と思いました」。
――一方、舞台「裏からGood Schoolへ」の上演も近づいてきました。
「舞台は今まで2回やりましたけど、同じ作品で元から知っているメンバー。今回は初めましての方たちの中で『どうなるんだろう?』と思って稽古に入ったら、『やっぱり舞台は楽しい』と感じました。1日に何時間もひたすら役のことを考えるのが幸せで、贅沢だなと思います」。
――粟島瑞丸さん主宰の演劇集団Z-Lionの公演ですが、過去の舞台を観たことがあるそうですね。
「3~4回観ました。毎回泣けます。ファンタジーが多くて、直球で刺さるものがあって、大好きだったので、今回も絶対成功させたいです」。
――稽古の雰囲気はどんな感じですか?
「明るいです。粟島さんが身近に接してくださってわかりやすいし、コミカルなシーンが結構あって、毎回笑いが起こってます」。
――田舎町のコミュニティラジオ局が舞台で、高校受験を控えながらDJの特訓をしている主人公のお姉さんの奈緒を演じるのが乃愛さん。ラジオ局で働いている役だそうですが、どんなキャラクターなんですか?
「もうグータラです(笑)。やる気なし。ラジオは好きだけど、今までやってきた環境がどんどん壊されていくのが嫌で、ただスネちゃって、『やりなさい』と言われたこともやらない」。
――ダメな子ですね(笑)。
「勉強も苦手で、ちょっとおバカちゃんで、本当にダメな子なんですけど(笑)、何か憎めないところを作れたら魅力的になるんじゃないかと思って、すごく考えているところです。そんな奈緒が最後にちょっと成長するので、そこを楽しみにしていただけたらと思います」。
――奈緒はラジオ局で何をしているんですか?
「パーソナリティです。自分の番組を持っています。やる気のない脱力系ラジオみたいなものを、自由気ままにやっている女の子です」。
――乃愛さんはラジオに馴染みはありました?
「それがあまりなくて……。たまにラジオのアプリを『こういうのがあったな』と思って聴いてみるくらいで、聴けば面白いんですけど、やっぱり私はテレビを観る時間が多いので、ラジオに馴染みはなかったですね」。
――奈緒役をやるために聴いてみたりは?
「たまたまやっていた番組を聴いて、『こういうふうにしゃべるんだ』と思いました。普通の話し口調だと、ただの会話みたいになりますけど、声で調整しているのを感じたし、やっぱりラジオの人はすごいですね」。
――他に本番までの課題にしていることはありますか?
「私がZ-Lionさんの舞台を観て毎回感動したからこそ、どういうところで心を動かされるのか、追求していきたいと思ってます。今回も感動してもらいたいので」。
――そんな中、最初に夏の思い出をうかがいましたが、冬にしようと思っていることはありますか?
「最近気づいたんですけど、私は冬がちょっと苦手なんですよね(笑)。暗くなるのが早くて、どんよりした空気が嫌いで、『そういえば冬はこんな感じだったな。早く明るくならないかな』と思っちゃいます。でも、行事はいっぱいありますよね。クリスマスとか、年末年始とか……。やっぱり人と過ごす時間を大切にしたいです」。
――クリスマスは盛り上がるんですか?
「まったく予定は立てていません。サンタさんに手紙を書いてみようかとは思ってます。『服が欲しい』とか。今年は19歳で、プレゼントをもらえるのは最後かもしれないので(笑)」。
喜多乃愛(きた・のあ)
生年月日:2000年5月18日(19歳)
出身地:埼玉県
血液型:A型
【CHECK IT】
中学3年のときに研音のオーディションに合格。2017年にドラマ「あなたのことはそれほど」(TBS系)でデビュー。主な出演作はドラマ「僕とシッポと神楽坂」(テレビ朝日系)、「ハラスメントゲーム」(テレビ東京系)、「コーヒー&バニラ」(MBSほか)、「いつか、眠りにつく日」(フジテレビ/FOD)など。ドラマ「Re:フォロワー」(ABC/日曜23:35~、テレビ朝日/土曜26:30~)に出演中。「ZIP!」(日本テレビ系)の「流行ニュース キテルネ!」でレポーターを務める。舞台「裏からGood Schoolへ」に出演。11月20日(水)~24日(日)新宿シアターサンモール。ファースト写真集「noa」(ワニブックス)が発売中。
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