PICK UP ACTRESS 松井愛莉
PHOTO=河野英喜 HAIR&MAKE=相場清志(Lila)
STYLING=倉田強 INTERVIEW=斉藤貴志
初主演映画「癒しのこころみ」が公開
心と身体を癒すセラピストを目指す役
――映画初主演作の「癒しのこころみ~自分を好きになる方法~」が公開されますが、映画の仕事に特に思い入れがあったりはしますか?
「大きいスクリーンで流れて、ちょっと恥ずかしさはありますけど(笑)、自分でも映画はたくさん観ます。最近、家にいることが多い中で観たのだと、『ワンダー 君は太陽』とか家族モノにグッときたり、『シャイニング』とか『エスター』とか昔のサスペンスホラーも面白かったし、ジャンルにはこだわりません。ドラマですけど、Netflixで流行りの『愛の不時着』も観ました」。
――やっぱりハマりました?
「そうですね。韓国ドラマは長いから登場人物1人1人がフィーチャーされて、その人のことがよくわかるのもいいなと思いました」。
――「癒しのこころみ」で演じた一ノ瀬里奈はブラック企業で心が折れて、セラピストになった女性。施術した元プロ野球選手の再起を応援する中で、バッティングセンターに行くシーンもありました。ああいうところで打ったのは初めてですか?
「小さい頃、バッティングセンターはたまに行ってました。里奈は初心者なのに、私はわりとちゃんとバットを振れちゃったので、監督に『もっとへっぴり腰で』と言われて形を崩しました(笑)」。
――野球に興味はあったんですか?
「スポーツ観戦は大好きで、弟がやっているサッカーのほうがよく観に行きましたけど、野球も普通に好きです。でも、ボールの投げ方はこの映画で初めて教わって、『こんなに肩甲骨を使うんだ』と思いました(笑)」。
――運動神経も良いんでしょうね。
「昔は良かったんですけど、最近は体を動かしてないから、どんどん鈍くさくなって困っています(笑)。5キロとか普通に走れたはずなのに、今は1キロも走れないし、階段でも息が切れて、自分の体力の衰えにビックリします(笑)」。
――まだ23歳なのに(笑)。今回の映画でも走るシーンがありました。
「あれは大変でした。いろいろな角度から撮ったりするから、街の中で何回も走って『こんなに!?』という(笑)。とりあえず走り切ったら水分補給。それで戻って、また走って……みたいなことを繰り返していました」。
――セラピストのリラクゼーションの手技は、プロに見えるようにだいぶ練習したんですか?
「教えていただきました。すごく難しかったです。基礎の“体のここを押すときはどこに立つ”とか“お客様と話すときはこういう座り方をする”といったことに、“なるべく体から手を離さないようにする”、“男性と女性で力の入れ方を変える”ということまで、いろいろ細かくて。でも、家で親に練習台になってもらったら、『気持ちいい』と言ってくれました(笑)」。
――自分でそういうリラクゼーションを受けに行ったことは?
「マッサージには通っているんですけど、最初はリラクゼーションとの違いも知らなくて。体だけではなく心も癒す仕事と聞いて、お客さんの悩みを聴いたり会話しながら心もほぐしていくのは、素敵だなと思いました」。
――里奈について「悩み成長していく姿は私自身も重なることが多く」とのコメントがありました。
「里奈は仕事を一生懸命やっていたけど上手くいかなくて、挫けてしまって、新しい仕事で頑張っても、そこでまたダメ出しをもらう。そういうところはすごく理解できました」。
――愛莉さんも芸能界の仕事の中で、里奈みたいに「向いてないんじゃないの?」とか言われて涙したことも?
「ありました。もともと引っ込み思案で人前で話すのが苦手で、コミュニケーションが取れなかったり、うまい返しができなくて、怒られたことは何回もあります。お芝居に関しても『どうやったら自分でない人間になることができるんだろう?』とか根本的なことでたくさん悩んで、監督やマネージャーさんにもたくさん怒られたし、自分で自分を追い詰めていました」。
――そういうとき、どう立ち直ってきたんですか?
「私は悩んだら、とことん悩みます。そうすると、いつも何に対して悩んでいたのかわからなくなって、『もういっか』となるんです(笑)。あと、20歳になってから、急に悩みの種が減りました。何かスッと肩の荷が下りたような瞬間があって、それから人ともナチュラルに話せるようになって。自分でも不思議な経験でした」。
自分に自信がなくて求められたことを
ちゃんとできたときが一番嬉しいです
――里奈は「人を感動させる仕事をしたかった」とも言ってました。愛莉さんが仕事で喜びを感じるのは、どんなときですか?
「現場で監督が思っていることと自分が考えてやったことが合致したときが、一番嬉しいですね。求められたことをちゃんとできたと思えるので」。
――そういう瞬間は「癒しのこころみ」の撮影でもありました?
「芝居に関してはずっと悩んでいて、逆に『これで良かったのかな?』と思うことがほとんどでした。2週間くらいでギュッと撮ったので必死すぎて、ついていくのに精いっぱいというか」。
――里奈のキャラクターは愛莉さんに合わせて変えられたそうですね。
「そういう意味では、すごくやりやすかったです。最初の台本での役は理系で思ったことを口にできる女性で、台詞について悩むところが多かったんです。そのことを正直に監督に伝えたら、私に寄せて書き直してくださって、新しい台本が上がったら、すんなり感情移入できました。本当にありがたかったです」。
――愛莉さんは思ったことを口にできないタイプなんですか?
「私はできません。自分に自信がないので。だから最初、『どうしてこんな言葉を発しているんだろう?』と理解できなかったんだと思います」。
――愛莉さんが「自分に自信がない」というほうが理解できないんですよね(笑)。誰でも本人にしかわからない部分はあるにせよ、少なくとも愛莉さんの美貌やスタイルは誰が見ても羨むレベルで、自信があって普通ではないかと……。
「思考がネガティブなんですよね。だから誉めていただいても、ありがたいんですけど『お世辞かな』と内心思ってしまったり……。ひねくれている部分もあります(笑)」。
――完成した初主演の「癒しのこころみ」を自分で観ると、どんなことを感じました?
「初号はどうしても集中して観られません。いまだに自分の顔が大きく出てくると、目を逸らしてしまって(笑)。でも、森林セラピーのシーンは画面越しでも癒されました。撮影したときの印象も残っています。私は自然が好きで、森があると空気もおいしくてリラックスできましたし、目の前に富士山がドーンと見えるのも感動しました」。
――愛莉さん自身が“癒しのこころみ”としてするのも、そういう場所に行ったりすること?
「そうですね。田舎が好きなので、福島の実家に帰ると、森も多くてリフレッシュできます。最近は家から出られなかったときに、植物を鉢で育て始めました。新しく植えたラベンダーの芽がちょっと出て、かわいくて癒されました(笑)」。
――他にはどんな植物の鉢があるんですか?
「オリーブ、サンショウ、パセリ、オオバ……いっぱいあります(笑)。やっぱり緑があると癒されるじゃないですか。なので家に植物を置いて、ちょっとでも癒しの空間になったらいいなと思ったのと、食材になるものも多いので。自分で育てて食べると、よりおいしく感じますし、フレッシュだから香りもいいです」。
――料理もするんですね。
「前はまったくしなかったんですけど、自粛期間にだいぶレパートリーが増えました。パスタやお好み焼きを作ったり、和食だとゴボウや切干ダイコンやヒジキを作り置きしたり。少しは腕が上がったと思います。もちろん、調味料がドバッと出ちゃって味が濃すぎたり、失敗もありました(笑)」。
――この夏に楽しみなことはありますか?
「何だろう? 海には行かないし、バーベキューは楽しくて好きですけど、自分から誘うことはしないし、海外も今は厳しいし……」。
――あまり好きな季節というわけではないんですか?
「はい。寒いほうが好きです。夏は暑いし、日焼けするし、汗をかくのも嫌なので、わりと家に引きこもってしまうかも。それでアイスを食べます」。
――カロリーは気にせず?
「私は緩むときは緩むので(笑)。さすがに最近は2個も3個も食べないようにしていますけど、1日1個は食べちゃうかもしれません(笑)」。
松井愛莉(まつい・あいり)
生年月日:1996年12月26日(23歳)
出身地:福島県
血液型:O型
【CHECK IT】
2009年に「nicola」(新潮社)のモデルオーディションでグランプリを受賞。2010年4月より、さくら学院の第1期メンバーとして活動し、2012年3月に卒業。2013年に「ゼクシィ」の6代目CMガールに選ばれる。同年、ドラマ「山田くんと7人の魔女」(フジテレビ系)で女優デビュー。主な出演作はドラマ「ラブホの上野さん」(フジテレビ)、「オトナ高校」(テレビ朝日系)、「グッド・ドクター」(フジテレビ系)、「この男は人生最大の過ちです」(ABCほか)、映画「映画 ビリギャル」、「青空エール」、「フォルトゥナの瞳」など。初主演映画「癒しのこころみ~自分を好きになる方法~」は7月3日(金)よりシネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー。「砕け散るところを見せてあげる」が2020年公開予定。2014年より「Ray」(主婦の友社)で専属モデルを務める。「沼にハマってきいてみた」(NHK Eテレ/火・水曜18:55~)にMCで出演。
詳しい情報は公式HPへ
「癒しのこころみ~自分を好きになる方法~」
監督/篠原哲雄 配給/イオンエンターテイメント
詳しい情報は「癒しのこころみ~自分を好きになる方法~」 公式HPへ
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