PICK UP ACTRESS 三根梓
PHOTO=城方雅孝 INTERVIEW=斉藤貴志
「三匹のおっさんスペシャル」で
新春に初めての白無垢姿を披露
――12月21日が26歳の誕生日でした。
「去年25歳になったときには、30代に近づいてきたというか、『もうこんな年になってしまったか』と思いました(笑)。この1年は充実して、幸せな気持ちもありつつ、できなくて悔しかったこともたくさんあったので、またひとつ年を重ねた分、一歩ずつ前に進んでいきたいです」。
――髪は伸ばしたんですね。
「もっと伸ばそうと思っていて、まだ途中です。もともとずっと長かったのを、事務所に入ったときにバッサリ切ったんです。だから、ショートのイメージがあったと思いますけど、また伸ばすことにしました」。
――「三匹のおっさん」シリーズで演じてきた早苗は新春スペシャルでは新社会人で、実際より少し下の年齢設定ですね。三根さんは大学を出て会社に入ったわけではありませんが、“新社会人”の感覚は覚えがあります?
「確かに私は“会社に入って社会人1年目”みたいな感覚はなかったんですけど、ずっと夢だったこのお仕事を始めたとき、『これから頑張るぞ!』ってキラキラした想いがあったので、早苗としてもそんな気持ちでいました。そんな早苗を見る、志賀(廣太郎)さん演じるお父さんがうれしそうでもあり、寂しそうでもあって……」。
――娘が一人立ちしていくのが。
「早苗としても、お父さんが隣りにいてくれるのを当たり前に思っていたけど、『働き始めると一緒にいる時間が少なくなってしまうだろうな』と考えさせられました。だからこそ、『お父さんと一緒に過ごせる時間の1分、1秒を大切にしたい』という意識になりました。意図して早苗の心境を変えて演じたというより、お父さんとのシーンの中で、その時間を愛おしむ気持ちが生まれたことに気づきました」。
――こういうシリーズものだと、役への愛着はより高まりますか?
「そうですね。シーズン1は私が大学生のときで、もう5年目になりますけど、早苗が成長していることを演じる中で気づかせてもらえるのは、役者をやっていて面白い部分ですね。こんなに長い間、同じ役を演じさせてもらえるのは、すごくありがたいです」。
――今回のスペシャルでも、すぐ早苗のモードになれた感じでした?
「この現場は久しぶりに入っても、みんな温かくて家族のように迎えてくださって、『ああしよう』『こうしよう』とワイワイしながら楽しく撮っているんです。そういう雰囲気を作ってくださっているので、すぐにノリさんの娘として、その場にいられますね」。
――そこも現場で自然に。
「はい。でも、早苗ちゃんはどこまでもピュアで、清らかな心を持っているので難しいです。あんな女の子には出会ったことがありません。台詞も日常会話のように言ってるのか、照れくさい気持ちなのか、いつも考えながら台本を読んでいます」。
――今回の台本でも、そういう台詞があったんですか?
「やっぱり、お父さんへの想いが人一倍強いところに出ていました。そこが魅力的でもあるので、難しさもありながら、楽しんで演じさせてもらいました」。
――早苗はお父さん世代の理想の娘のように描かれていますが、演じている間は自分の振る舞いや考え方が早苗っぽくなるところもあります?
「普段の私は『しっかりしなきゃ』『1人で頑張らなきゃ』という想いがすごく強いんですけど、この現場に入ると『お父さんに甘えてもいいんだな』という気持ちにはなっちゃいますね」。
――もともと三根さんとかけ離れた役でもないんでしょうけど。
「お父さん子というところは共通点だと思います。あと、私も一人暮らしを始めてから、自炊とか家事全般はちゃんとするようにしています。早苗ちゃんがスーパーに行って『豚肉は安いけどビタミンとか栄養素は豊富なので、生姜焼きはいいんだよ』と言ってたりするところは似てますね(笑)」。
――今回は日光ロケもありました。
「初めての日光でした。ストーリーが日光旅行という設定で、東照宮や江戸村に撮影で行かせてもらって、純粋に楽しませてもらいました。東照宮も初めて見て、きらびやかで華やかなところでしたけど、時間の都合で本宮の方まで行けなかったんですね。だから今度行くときは、今回見られなかったところも観光したいです」。
――日光江戸村では武家娘姿にもなって。
「あれはすごく気に入ってます。衣裳合わせのとき、いろいろな色や柄を用意していただいたんですけど、ひと目見て『これは早苗のだ』と思ったピンクの着物を、監督とも相談して着させてもらいました」。
――“着物顔”というような人もいますが……。
「私も“昭和顔”と言われることが多くて、和装が似合う顔立ちだとは自分でも何となく思っています。お着物を着るのも好きなので、楽しかったですね」。
――それと、白無垢を着るシーンもあるんですよね?
「そうなんです。白無垢にはウェディングドレスと同じくらい憧れがあったので、初めて着させてもらえるということでドキドキしちゃいました(笑)」。
――着付けには時間がかかりました?
「お着物とそんなに変わりません。ただ、かつらをかぶらせてもらって、髪の毛を作るのが結構大変でした。かつら合わせから撮影が始まるまでは、髪の量が変わるとかつらが合わなくなってしまうので、美容院にも行けませんでした」。
――かつらと角隠しで、頭は重かったりもしました?
「想像していたより重かったです。お辞儀をしたりすると、揺れちゃうんですよね。姿勢が丸まっちゃうと頭も安定しないので背筋をピンと伸ばすことや、お辞儀のときの手の突き方も志賀さんに教えてもらいました。どんなシーンになっているか、自分でも楽しみです」。
――自分の結婚式はウェディングドレスがいいとか、白無垢がいいとか、ありますか?
「最近お友だちの結婚式に招いてもらう機会が増えて、やっぱり『自分だったら……』と考えちゃいますね。ウェディングドレスも着たいけど白無垢も着たいとか、いろいろ妄想はしています(笑)」。
――白無垢姿は自分でも写真を撮りまくったり?
「マネージャーさんにたくさん撮ってもらいました。それを両親にも送ったんですが、うちは本当に親バカなので『似合ってるね』と言ってくれました。この前、両親が東京に遊びに来て、父の携帯がチラッと見えたんですけど、武家娘の方の写真を待受にしてくれていて、ちょっと照れくさかったです(笑)」。
親離れを意識するからこそ
一緒の時間が大切になって
――その白無垢姿がストーリー上、どんな流れで出てくるかはお楽しみだそうですが、祐希(大野拓朗)とは恋人らしいシーンはあるんですか?
「祐希くんがドキッとする台詞を言ってくれたりします。でも、あの2人は何年経ってもピュアで、一緒にいると、いつもお互いドキドキしていて、手も触れるか触れないかなんです。そんな恋愛をずっとしているフレッシュさを、今回も楽しんでもらえると思います」。
――早苗ではなく三根梓さんとしては、祐希のような男性はどう思います?
「素敵ですよね。いつもそばにいて笑顔でいてくれるし、みんなを盛り上げてくれるし……。私が早苗を演じているから思うのかもしれませんけど、やっぱりヒーローなんですよね。何かあったら必ず助けに来てくれる。そういう男性がそばにいてくれたら、女性は幸せだろうなと思います」。
――お父さんとは感動的なシーンがあるんでしょうか?
「このスペシャルでは親離れ、子離れという言葉を意識するようになっています。だからこそ、さっきもお話したように、2人でいる時間を大切にしたくなる。そういう部分はきっと出ていると思います」。
――ストーリーの軸は、町はずれの古い映画館の存続を巡る騒動。三根さんも地元の佐賀で行きつけの映画館はありました?
「自分が住んでいた市内には映画館がなくて、電車で1時間くらいかけて、佐賀市内のシネコンに行ってました。休みの日に友だちと観る映画を決めて行ったり、デートスポットにもしていました」。
――三根さんはもともと「いま、会いにゆきます」を観て、女優を志したんですよね? それもそのシネコンで観たんですか?
「中1のとき、父と2人でそこに観に行きました。それまでは『ジュラシック・パーク』とか、みんなで盛り上がれる映画をよく観ていたんですけど、ヒューマンドラマを劇場で初めて観て、涙がボロボロ止まりませでした。映像作品を観て、そんなに泣いた経験がなかったので、自分の中でも衝撃的で『私もこういうことができたらいいな』と、女優さんに憧れを持つきっかけになりました」。
――その後は「自分もいつか出たい」という想いも抱きながら、映画を観ていたわけですか?
「スクリーンに対する憧れはありました。自分と同じくらいの年齢の方が出ていたりすると、やっぱり『いいなー』と思ったし、自分もそんなふうに活躍できるように頑張らなきゃと、佐賀で想いを馳せていました」。
――その頃、佐賀でどんな映画を観ていたんですか?
「『世界の中心で、愛をさけぶ』とか、やっぱり『いま、会いにゆきます』と同じような純愛モノが大好きでした。宮﨑あおいさんの『だた、君を愛してる』もよく覚えてます」。
――映画館に限らず、地元でなくなってほしくないものはありますか?
「ずっと続いてほしいと思うのは、夏の花火大会です。私の実家から歩いて20分か30分のところに大きな公園があって、そこで毎年やっているんです。小さい頃から両親に連れて行ってもらって、1年でその花火大会が一番楽しみだったんですよ。小学生の頃は友だちと行くのは危ないからって許してもらえなくて、中学生になって、やっと行かせてもらえるようになったんですけど、友だちと夜に遊ぶことはあまりなかったから、ドキドキしたりした思い出が詰まってます」。
――大々的な花火大会なんですか?
「地元では一番大きい花火大会で、二尺玉というすごく大きいのが上がるのが名物になってました。いつかゲストとして呼んでもらえたらいいなと、考えていたりします」。
――お正月に恒例ですることもありますか?
「毎年、母の実家に親戚が集まって、夜はご馳走をみんなで食べます。おせち、すき焼き、しゃぶしゃぶ、お寿司……。この日のために作ってもらって、お酒を飲んで食べながら、みんなで1年間に何があったかを話すのが恒例になっています。年齢の近いいとこのお姉さん、お兄さんがいて、職場のことや、お姉さんがよくライブに行っているので『最近はどんなのを観たの?』とか、そんな話をするのがすごく楽しいです」。
――初詣には行くんですか?
「行きます。車で20分くらいのところに大きな神社があって、そこに、おじいちゃん、おばあちゃんと家族みんなでお参りします」。
――絵馬に書こうと思っていることはありますか?
「あります! 役者として1人でも多くの方に自分のことを知ってもらいたいし、『この人の作品をもっと観たい』と思われるような表現をひとつでも多く残したいので、勉強しないといけないですね。あと、今年はお仕事と両立できなかったこともあるので、来年は両立できたらと思っています」。
――お仕事以外でも、やりたいことがあるんですか?
「やりたいことはいっぱいあります。根本的にはお仕事と同じなのかもしれませんけど、人に感情を伝えることを表現としてできたらいいなと思います」。
三根梓(みね・あずさ)
生年月日:1991年12月21日(26歳)
出身地:佐賀県
血液型:A型
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2012年に映画「シグナル~月曜日のルカ~」に主演して女優デビュー。これまでの主な出演作は映画「海のふた」、「増山超能力師事務所~激情版は恋の味~」、ドラマ「死と彼女とぼく」(テレビ朝日系)、「八重の桜」(NHK)、「三匹のおっさん」シリーズ(テレビ東京系)、「平成猿蟹合戦図」(WOWOW)など。新春ドラマ特別企画「三匹のおっさんスペシャル」(テレビ東京系/1月2日(火)21:00~)に出演。嬉野市観光大使を務める。
詳しい情報は公式HP
新春ドラマ特別企画「三匹のおっさんスペシャル」
詳しい情報は公式HP