FRESH ACTRESS 中井友望

FRESH ACTRESS 中井友望

PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

ミスiDグランプリから深夜ドラマで注目
映画「COMPLY+-ANCE」にも出演

 
 

――「やめるときも、すこやかなるときも」の5話を観て、速攻で取材を申し込ませてもらいました。主人公の壱晴(藤ヶ谷太輔)の初恋の相手の真織を友望さんが演じて、回想シーンで清らかさと切なさが滲み出て、多くの視聴者が胸を打たれたようです。今回がドラマデビューだったんですよね?

「はい。自分をテレビで観ることが想像つかなかったし、正直怖かったです。原作もあって繊細な物語で、真織が『ちょっと違う』という捉え方をされたら、ドラマの雰囲気が変わってしまうので。放送は両手で目を隠して、指の間から観てました(笑)」。

――でも、SNSでも大絶賛されてました。

「『良かった』と言ってもらえることが多くて、ビックリしました。特に原作を読んでいた方に『イメージ通り』と言っていただいたのが、一番ホッとしました」。

――原作小説の真織のイメージに近づけるために、どんなことを意識したんですか?

「しゃべり方に気をつけました。私のしゃべり方はゆっくり、おっとりでハキハキしてないんですけど(笑)、真織は優等生できちんと話すイメージだったから、そこは普段と変えました。でも、話し方ばかり意識していると感情が入らないので、難しかったです」。


――真織は中学生のときに母親が家を出て、暴力を振るう父親と2人暮らしで、バイトに明け暮れながら成績は上位という高校生。気持ちがわかる部分はありましたか?

「私も高校生の頃、お父さんと2人暮らしをしていた時期がありました。暴力とかはなかったんですけど(笑)、お父さんとの距離感は掴みやすかったです」。

――壱晴とのデートのシーンは楽しくできました?

「楽しかったんですけど、私は普段テンションが低いので『もっと明るく』と結構言われました(笑)。自分では明るくやっているつもりでも、そう見えなかったみたいで、どうすれば伝わるか、ずっと考えながら演じていました」。

――友望さんもアルバイトはしていたそうですね。

「高校生の頃から、わりと最近まで、ずっとアルバイトはしていました。とんかつ屋、ラーメン屋、居酒屋……。飲食店ばかりです」。

――接客も低いテンションでやっていたんですか(笑)?

「頑張って上げてました(笑)。居酒屋は鉢巻きをして、お客さんが来たら太鼓をドン、ドンと叩いて、『ご来店です!』と掛け声を出すお店だったんです。それでみんなで『いらっしゃいませ!』と言う、元気系で働いてました」。

――真織は壱晴と一緒に東京の大学に行って、数学を勉強する夢がありながら、交通事故で亡くなりました。友望さんは大阪から東京の大学に進学したんですよね?

「入学したんですけど、半年くらいで辞めてしまいました。ただ東京に出たくて、お母さんに『大学に合格したら行っていい』と言われたので、その時期だけは受験勉強を頑張りました」。

――東京に出たかったのは、芸能界で仕事をするために?

「それもありましたし、その頃は『実家を出てみたい』という想いもあったので」。


――高校は楽しくなかったそうですね。

「楽しくはなかったかな……。行かないようになって、高校も中退しました。中学も不登校の時期があって、学校というところに向いてないのか、行けなくなっちゃうんです。大学もお仕事のために辞めたというより、通うのがしんどくて。しんどいことにお金を払っても……と、お母さんに相談したら、『好きなことを見つけたほうがいい』と理解してくれたので、キッパリ辞めました」。

――不登校で家にいて、何をしていたんですか?

「何をしていたかな……。中高では実家だったので、映画やドラマを観たりしていました」。

――病んでたわけではなかったんですか?

「病んでるときもありました(笑)」。

――と聞いたのは、映画「COMPLY+-ANCE コンプライアンス」では病んでる感じの演技がすごくリアルだったので。

「あれは演技というより、自分のままです。いちおう台本に流れは書いてあったんですけど、台詞に関しては『自分の言葉で話していい』ということだったので」。

――じゃあ、「嫌われたくない。見捨てられたくない」とか「私は誰に受け入れてもらえばいいんですか?」と言っていたのは……。

「全部自分の言葉で、普段から思っていたことです。中学や高校のときはそういう深い考えはなくて、ただ『学校がイヤ。人がイヤ』と思っていたのが、大人に近づくにつれて、自分の気持ちがどういうものかわかってきて。それを映画で初めて言葉にできて、自分で『私はこう思っていたんだな』と気付けました」。

――現場ではどんな撮り方をしていたんですか?

「2日間あって、1日めはみんなでワチャワチャするシーンを撮って、2日めが話し合いのシーンでした。たぶん監督が人の心に入ってくるのが上手くて、何を言うか考えたというより、会話の中で監督の言葉を受けて言っちゃった、泣いちゃった……という感じでした」。


――号泣も自然に?

「はい。別に泣くように言われていたわけではなくて、勝手に涙が出ました」。

――素で泣いてるようなところが映画になって見られることに、恥ずかしさもないですか?

「それはないです。むしろ、いろいろな人に見てほしい。こういう感情があることを知ってほしい。そのために私は映画に出たかったんだと思えました。だから劇中でああいうことを言えたのは、すごく嬉しいです」。

 
 

感情表現が苦手な私でも
映画の中ならできるかなと

 
 

――そもそも女優を目指したのは、いつ頃だったんですか?

「中2です。学校に行かなかったとき、映画の『ヒミズ』を観たんです。私はもともと感情表現が苦手で、言いたいことも言えないし、人に怒ったり泣いたりもできない子だったんですね。でも、『ヒミズ』の人たちはあんなに爆発している。めちゃくちゃ人として生きている。観ていて羨ましくなりました。私にはこの先も普段の生活ではああいうことはできないかもしれないけど、映画の中だったらできるかなと、ちょっと希望が持てました。それで『映画に出たい』と思ったんです」。

――そこで何かアクションは起こしたんですか?

「そのときは、とりあえずまた学校に行き始めました。それで高2のとき、今度は『リリィ・シュシュのすべて』を観て、改めて『私もやりたい』と思ったんです」。

――「COMPLY+-ANCE」でも「岩井俊二監督が好き」と話してました。

「その頃は芸能活動を少しやっていたんですけど、また高2の終わりに学校に行けなくなって、しんどくて高校を辞めました。もう自分には芸能のお仕事しかなかったから、頑張って食らいついていたんですけど、途中でお芝居も楽しくないと感じてしまって。それでもう全部辞めることにして、最後の現場に行ったとき、会ったのがミスiD(2016グランプリ)の穂志もえかさんだったんです」。


――穂志さんは友望さんと雰囲気が似ているかもしれませんね。

「私と同じようにずっと端っこにいて、仲良くなって、そのとき話したのがきっかけで、ミスiD(2019)のことを知りました。私も最後に受けてみようと思って応募して、審査の間に『やっぱりやりたい』という気持ちになって。グランプリをいただいたのがきっかけで、今ここにいます」。

――ずっと生き辛さみたいなものは抱えてきたんですね。

「はい。それは一生変わらないと思います。もちろん楽しいときも幸せだと感じるときもあります。友だちと遊んだり、おいしいものを食べたり、単純なことでテンションは上がります。でも結局、元に戻っていきます(笑)。友だちと遊びに行けば楽しいとは思うんです。でも、なかなかその場に行けない。約束していても、ドタキャンしちゃうこともよくあります。『今は誰にも会いたくない』と思ってしまって……」。

――特に理由もなしに?

「そうなんです。でも、それをわかってくれる友だちがいて、向こうも同じような子だから仲良くて、勝手にウイン・ウインだと思っています」。

――今はそういうときに、家で何をしているんですか?

「何もできないときもあります。ずーっとベッドにいて、映画やドラマを観るわけでもなく、ただボーッとしている。でも、そういう時間が自分には大切なのかなとも思います」。

――最近でも映画はよく観るんですか?

「前は邦画しか観なかったのが、この半年くらいで洋画ばかり観るようになりました。好きなのは戦争映画。『好き』と言ったら違うかもしれませんけど、『アメリカン・スナイパー』や『プライベート・ライアン』みたいなのをよく観ます」。

――考えさせられることの多い作品ですね。『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』みたいなエンタテイメント系の大作は観ないんですか?

「観たことないです」。


――邦画の少女マンガ原作のラブコメは?

「そういうのもあまり観ないですね」。

――そっち系の作品の出演オファーが来たら?

「やってみたい気持ちはあります。自分の気づかなかった一面を知ることができるかもしれないですね」。

――あと、アイスが好きと聞きましたが、冬も食べていたんですか?

「季節に関係なく食べます。最低でも1日1コ。昨日は2コと箱入りの小さいのを3コくらい食べました」。

――……お腹は大丈夫ですか?

「全然大丈夫です(笑)」。

――カロリーも気にせず?

「気にしたほうがいいんでしょうけど、私はごはんをあまり食べないので。アイスを食べて、プラスごはんも食べていたら、たぶんめっちゃ太ると思います」。

――ちなみに、きのうの三食はどんな感じでした?

「朝はカップのお味噌汁、お昼はアイス、夜もアイスでした」。

――……健康面も気になりますが、お腹が空きません?

「お腹がいっぱいの状態が何かイヤなんです。だから、自分からは食べないんですけど、友だちと焼肉屋さんに行ったときは、出たものは全部食べます。胃が小さいわけでなく、むしろ食べようと思ったら、いくらでも食べられる気がします。撮影に入ると、お弁当が出るじゃないですか。朝、昼、晩と全部残さず食べるので、お仕事の現場に入ると太ります(笑)」。


――では最後に、これから身に付けたいことはありますか?

「習いごとはしてみたいです。字がきれいに書けるようになりたいし、ジムに行って運動もしたい。ただ走るとかは嫌いですけど、小学生のときにダンスをやっていて、中学ではバスケ部で、目的のある運動は好きなんです。そのためにも、まず自分から外に出られるようになりたいです(笑)」。

 
 


 
 

中井友望(なかい・とも)

生年月日:2000年1月6日(20歳)
出身地:大阪府
血液型:B型
 
【CHECK IT】
「ミスiD2019」でグランプリ。ドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」(日本テレビ/月曜24:59~。Huluで配信中)に出演中。映画「COMPLY+-ANCE コンプライアンス」がUPLINK渋谷ほか全国順次公開。舞台「倉山の試み~第四弾~『夜だけがともだち』」に出演。3月25日(水)~31日(火)下北沢・小劇場「楽園」。
詳しい情報は公式HPへ
 
 
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