PICK UP ACTRESS 仁村紗和
PHOTO=河野英喜 HAIR&MAKE=鷲塚明寿美
STYLING=梅田一秀 INTERVIEW=斉藤貴志
映画化された「地獄少女」に出演
野性的な少女役でライブシーンも
――映画「地獄少女」で演じた遥は、登場シーンから痴漢をボコボコにしたりする役で、キャスティングが難航していた中で紗和さんに白羽の矢が立ったと聞きます。自分ではハマる感じはありましたか?
「できるんじゃないか、とは思いました。小学生の頃とか、『ちょっと男子!』と言って怒っていたタイプだったので(笑)」。
――男子をボコボコにしていたんですか?
「いや、ボコボコにはしてないです(笑)。殴り合いとかはしてませんけど、言い合いでケンカをした経験はあったので、できる気はしました」。
――劇中のそういう場面の迫力は自然に出たもの?
「監督に『なんで楽しそうなの?』と言われました(笑)。普段言わないことややらないことが多くて、発散させていたのかわかりませんけど、やっていると自分でも思わぬ言葉が出てきました。本当に憎らしくなって『クソーッ!』とか言っちゃって、監督に『その言葉はやめておこうか』と言われたり(笑)」。
――女優さんらしいですね。痴漢から助けた美保(森七菜)の教室に部外者なのに入っていって、先生を殴って「力で抑えつけられるヤツばかりじゃないから」と言ったのは、気持ち良さもあったのでは?
「そうですね。あれも遥ちゃん、すごい行動力ですよね(笑)。授業中にあんなにズカズカ入っていって、本当に物怖じしない。一匹狼な子で強いと思います」。
――カフェで憧れのアーティスト・魔鬼(藤田富)と偶然出くわしたときも、大胆に「一緒にお茶しない?」と声を掛けて、後から美保に「ナメられたら終わり。最初にカマしておかないと」と話してました。そういうことは、紗和さんも思っていたりしますか?
「『ナメられたら終わり』とは思ってません(笑)。でも、『カマしておかないと』みたいなのはありますね。私は人が好きなので、初対面から嫌われないようにするために、良い意味でカマすというか(笑)」。
――好印象を与えようとするわけですね。一方で、遥は母親にも暴力をふるっているようでした。
「そこの背景はあまり台本に書かれてないので、監督と話しました。遥は母子家庭で、出会う人に影響された人生なのかなと思います。それは誰でもそうかもしれませんけど、たぶん彼女は出会った人間が悪かった。魔鬼と出会って、自分の中の美学や正義が確立されて、それを身近な母親にも当てはめようと、ああいう行動になってしまったのかな。社会への反骨心もあったように思いました。魔鬼には『純度を高めてもらう』と言われて、藤田さんと『純度って何だろうね?』と話してましたけど(笑)」。
――魔鬼のコーラスに選ばれてから、親友の美保にも手を上げて、酷いことも言ってました。
「あそこは美保の気持ちをビリビリに破るところだから、演じていてもつらかったです。七菜ちゃんから想いが伝わってきたので余計に……。だけど、やらないといけなくて……」。
――本当に紗和さんは役に入り込むみたいですね。魔鬼のライブで歌うシーンもありましたが、歌はもともと得意だったんですか?
「歌はちょっとコンプレックス的なところがあって、そこは不安でした。姉が民謡をやっていて歌が上手で、『私はヘタだからやらせてもらえないのかな?』とか、小さい頃にいろいろ考えていて、そういうのが蓄積されて、今に至るんですかね?」。
――カラオケも行かないとか?
「歌うのは好きなんです。でも、人に聞かせるのは『うーっ。怖い……』となっちゃいます(笑)」。
――カラオケでは、どんな曲を歌うんですか?
「オーディションでも歌った中森明菜さんの『少女A』とか、森高千里さんの『私がオバさんになっても』とか、昔の曲ですね。何でだろう? 父がよく聴いていて、私も(アナログの)レコードを集めるのが好きなんです(笑)」。
歌へのコンプレックスは大きいけど
自信を持って堂々と見えるように
――劇中のライブシーンのために、だいぶ練習したんですか?
「何回かリハーサルをして、『こんな感じで歌ってほしい』とか『こういう曲にしたい』ということは、作り手さんとお話できて、歌い方のコツも聞きました」。
――歌に関して掴めたものはありました?
「自信を持って堂々と歌う……というぐらいですかね。それがあのシーンの課題で、むしろ改めて自分の中の歌コンプレックスの大きさを実感しました」。
――でも、まさに堂々とした歌いっぷりでした。
「そう見えていたら良かったです。お客さん役のエキストラさんたちが『ワーッ!』と盛り上がってくれたので、楽しく歌えました」。
――遥はもともと魔鬼に「声が良い」と言われてましたが、紗和さんは自分の声について思うことはありますか?
「自分ではわかりませんけど、ボイストレーニングの先生には『声帯に楽なしゃべり方をしている』と言われました。無理なく声を出しているみたいで、『それは個性だから直さないで』ということでした」。
――この作品は、地獄少女の閻魔あい(玉城ティナ)と交わす「怨みの相手を地獄送りにする代わりに、依頼者自身もいずれ地獄に落ちる」という契約がストーリーの軸になっています。
「そんなことを頼むのは、悲しすぎますよね。私にはあまり理解できません。でも、自分の犬を目の前で殺されたりしたら、どうなんだろう……? 人間にはもしかしたら、そういう心が眠っているのかもしれませんね」。
――こういうダークな映画は自分でも観ます?
「全然観ます。『地獄少女』もいろいろな人間ドラマがあって、嫉妬や憎しみはこういうので観る分には、ちょっと楽しかったりするじゃないですか(笑)。そういうことがたくさん出てきて、それぞれの人間模様が繋がっていたりもして、すごく面白かったです」。
――試写では遥もイメージ通りになってました?
「最初に『できるんじゃないか』と思ったイメージ通りでした。でも、七菜ちゃんに助けられた部分はたくさんあります。お互いに惹かれ合う役を演じるには、私も魅力的でないといけないと思って頑張りました」。
――遥は美保に「私は美しいもの至上主義だから」と言って、かわいい美保と仲良くなっていきました。紗和さんもそういう主義ですか?
「エーッ!? でも、『それだけかわいかったら、ええか』みたいな気持ちはあります。『男前やねんな。そりゃ、そやな』とか。これって、美しいもの至上主義ですか(笑)? 見た目で『そうだよな』と納得したり、自分が諦めちゃったりはします」。
――紗和さんは10月で25歳になりました。
「そうです。年齢はあまり気にしてなかったんですけど、24歳と25歳は響きが全然違いますね。最近、体もちょっと変わったなと思います。ニキビやケガが治りにくくなったり、すぐ腰をゆわす(痛める)ようになったり……。少しの違いだけですけど、『年を取るってこういうこと?』と感じます。20歳の頃には想像できなかった感覚があるので」。
――階段の昇り降りがキツくなったとか?
「そこはまだ大丈夫です(笑)。でも、自分の中から体質をちゃんと変えないといけないと思ったので、料理をちゃんと作ったり、食べるものに気をつけるようになりました」。
――プライベートでは相変わらずワンちゃんを溺愛しているようですね(笑)。
「そうですね。犬は大好き。仲良くしてます。私のストレスを癒してくれる存在で、相棒です(笑)」。
――年末に向けては、何か盛り上がることはありますか?
「クリスマスが近づくと、サンタさんのオブジェを玄関に飾ったりはしちゃいます。もうサンタさんは来てくれないんですけど(笑)。また来てくれたらいいですね」。
――どんなプレゼントを頼みますか?
「自転車がリアルに欲しいです(笑)。本当に体質改善に努めたいので、運動がてら乗りたいと思います」。
仁村紗和(にむら・さわ)
生年月日:1994年10月13日(25歳)
出身地:大阪府
血液型:O型
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2014年にスカウトされて芸能界入り。東急電鉄など多くのCMに出演して話題になる。2016年公開の「無伴奏」で映画初出演。同年に「明日もきっと君に恋をする。」(フジテレビ)に主演。他の主な出演作はドラマ「臨床犯罪学者 火村英生の推理」(日本テレビ系)、「BORDER 衝動~検視官・比嘉ミカ~」(テレビ朝日系)、「それぞれの断崖」(東海テレビ・フジテレビ系)、映画「巫女っちゃけん。」、舞台「エレクトラ」など。ドラマ「ヤヌスの鏡」(フジテレビ/月曜24:55~、FODで配信)に出演中。映画「地獄少女」は11月15日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー。映画「シライサン」が1月10日(金)より公開。
詳しい情報は公式HPへ
「地獄少女」
配給:ギャガ
詳しい情報は「地獄少女」公式HPへ
©地獄少女プロジェクト/2019映画『地獄少女』製作委員会
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