FRESH ACTRESS 桜井日奈子
PHOTO＝古賀良郎 INTERVIEW＝斉藤貴志
“岡山の奇跡”から女優の道へ
ドラマデビューで謎の家出少女役
「ストーリーの順番通りに撮らないのがビックリしました。後から起きる出来事を先に撮ったり。私も2話のシーンから入りました。1話から4話ぐらいは謎の少女で藤原（竜也）さんを尾行していて、前後しても戸惑うことはなかったんですけど。台本を読み込んで、どんな状況なのかちゃんと理解してないと、グチャグチャになっちゃうと思いました。あと、現場にスタッフさんがたくさんいるなと」。
――そうですね。
「マネージャーさんに『監督の横の方は何をされているんですか？』『あそこの人は？』って最初に教えてもらいました。『ひとつのシーンを撮るために、こんなにたくさんの大人の方が動いているんだ』と目に見えてわかって、身が引き締まりました」。
「最初のほうはすごく緊張して、どこを見ていいのかわからなくて。ずっと下を見ていて、皆さんが話されるのを聴いてはいたんですけど、うまく会話に入れてなくて。でも、藤原さんが『大学はどう？』『料理はするの？』と話し掛けてくださるので、だんだん緊張がほぐれてきました。わりと会話できる日もあります(笑)」。
――もともと人見知りでしたっけ？
「本当に。ただ、舞台をやってからはそうでもなくなった気がして。どこかで堂々としている自分がいるんじゃないかと感じます」。
「もちろんです。何て言えばいいんだろう？ とにかく、ものすごいパワーを感じます。繊細な演技なのに、迫力もあるというか。そんなすごい俳優さんとご一緒できて、毎日刺激があります。たぶんそれもあって、撮影があっという間に感じちゃう。『もう今日は終わり？』みたいな」。
――日奈子さんが演じる君家砂央里について「いつもの自分と真逆」とコメントしていましたが、どんな点が真逆だと？
「このワイルドな格好だったり、ウェービーな髪だったり、濃い目の化粧もそうだし。内面的にも、深く傷を負っているのに、すごくやさしい。でも、それを素直に表現できない不器用さは、演じていて『私はこんな気持ちになったことはないかな』と思いました。恥ずかしくて表に出せない部分は、少し似ているかもしれませんけど」。
――口のきき方とかも、普段と変えるようにしていたり？
「言葉づかいで語尾とか多少いつもと違っても、言い方や声の張り方でそんなに苦労しませんでした。ただ、イントネーションとかに岡山弁が出ちゃうんですよね～。事前に誰かにチェックしてもらって、気をつけています」。
――“謎の家出少女”ということで、自分では砂央里の背景を知ったうえで演じているんですか？
「いえ、最初はわからなかったです。台本を読んでいても『この先どうなるんだろう？』と思って、監督も教えてくださらなくて、わからないまま演じていた部分もありました。『なんでここで睨みつけるんだろう？』とか」。
「1話でティッシュ配りをしたんですけど、『難しい！』と思って(笑)。テストで藤原さんがだんだん近づいてくるタイミングを見計らって、『今？ 今？ 今？』と本当に緊張して。台詞もちゃんと言わなきゃいけないのに、噛み噛みになっちゃいました。それが藤原さんに対してオドオドしている女の子に見えたらしくて、逆に『良かったよ』と言ってもらったんですけど、自分では『いや～。あれは焦りすぎだろう』という」。
――実際にティッシュ配りをした経験はあるんですか？
「ないです。『今度から受け取ろうかな』という気持ちになりました(笑)。かと思えば、3話ではピザ屋になったり。でっかいサングラスをして、いかにも怪しい。あんなピザ屋はないですよね(笑)。ピザを置いて出てくるとき、カメラのほうを向いてニヤリとするシーンがあったんですけど、ニヤリでなく盛大に笑ってしまって『笑いすぎ』と怒られました(笑)。いろいろなバイトに扮していて、本来の砂央里とのギャップにも注目してもらいたいです」。
――“大型バイクを乗りこなす”という設定もあります。
「フルフェイスのヘルメットを取ったとき、『カッコ良かったよ』とプロデューサーさんに誉められました。意識していたわけではないですけど『髪がバサッとなる感じがいい』って。ちょっと浮かれちゃいました(笑)」。
――特に力が入った台詞はありました？
「砂央里ちゃんが人の温かさをどれだけ求めているのか、わかるんじゃないかと思う台詞があるので、注目してもらいたいです」。
上京して仕事が夢になりました
ひとつひとつに結果を残したい
――日奈子さんは上京して3ヵ月になりますが、生活ペースは掴めてきました？
「お仕事ではまだ余裕があるわけではないですけど、上京したての頃よりは自分の気持ちがコントロールできるようになってきたかな。休みの日はゆっくり寝て、友だちと会って、リフレッシュもきちんとできるようになって。もうちょっと周りが見えてきたらいいな、と思います」。
「入学した途端、舞台があって、ちょっと苦戦してます(笑)。テスト前にはひたすらコピーを取ってました。コピーのカードをチャージしないといけなくて、『何枚分にしますか？』と聞かれたので『とりあえず100枚で』と言ったら、驚かれました(笑)」。
――友だちが仕事との両立に協力してくれてるんですか？
「そうですね。周りの友だちは応援してくれて、ノートを見せてくれたりします。舞台も観に来てくれて、今回の『そして、誰もいなくなった』も『楽しみにしてるよ』って」。
――東京の暑さはどう感じます？
「暑いですよね～、ホントに。ずっと部活のバスケで体育館の蒸し暑いなかにいたので、わりと慣れっこだと思っていたんですけど、いやー、東京は暑い(笑)。ジトーッて感じです。気温差もあって肌寒い日もあるし、岡山ではそんな感じがなかったから、この前風邪で体調を崩しちゃって。お仕事に影響しちゃうので、体調管理のためにも早く慣れないといけないんですけど」。
――仕事に対する考え方が変わってきたりは？
「ひとつひとつにちゃんと結果を残して、どんどん積み重ねて、ゆくゆくは観る人に何かを与えられる女優さんになりたいと思っています。それが今の目標であり、夢です」。
――仕事がなくてはならないものに？
「そう思います。休みだと、さっき言ったように『どこかに行きたい』というのもあるんですけど、何か落ち着かなくて。こうしてお仕事をしているほうが安心する。不思議な感覚なんですよね」。
――“岡山の奇跡”として注目され始めた頃より、上京してからそう思うように？
「上京は大きかったです。当初は『大学で勉強するので！ 私は学ぶので！』という姿勢だったから、舞台で大学に行けないのをすごく残念に思ったんですけど、今はそんなこともなくて。ドラマでも舞台でも、こういう取材のお仕事でも、全部含めて積み重ねて成長していけたらいいなと思います」。
桜井日奈子（さくらい・ひなこ）
生年月日：1997年4月2日（19歳）
出身地：岡山県
血液型：O型
【CHECK IT】
2014年に「岡山美少女図鑑」の表紙登場から「岡山美少女・美人コンテスト」にて美少女グランプリを受賞。地元でスチール広告やウェブCMなどに出演していたが、2015年5月から配信の「LINE MUSIC」ウェブCMをきっかけに“岡山の奇跡”として全国的に注目される。大東建託「いい部屋ネット」、コロプラ「白猫プロジェクト」、ニベア花王「8×4 BODY FRESH」のCMに出演中。2016年5月に舞台「それいゆ」で女優デビュー。ドラマ「そして、誰もいなくなった」（日本テレビ系／日曜22:30～）に君家砂央里役で出演中。
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