PICK UP ACTRESS 桜井日奈子

PICK UP ACTRESS 桜井日奈子

PHOTO=小澤太一 HAIR&MAKE=yumi(Three PEACE)
STYLING=阿井真理 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「ういらぶ。」でヒロイン
幼なじみに恋するネガティブ女子役

 
 

――間もなく公開される映画「ういらぶ。」で、日奈子さんはネガティブ思考のヒロイン・優羽を演じていますが、撮影は1年前だったそうですね。

「自分が優羽をどう演じたか、すっかり忘れてまっさらな状態で試写を観たら、『そうだったなぁ。キャラクターをすごく考えて演技したなぁ』と、当時のことをぶわーっと思い出しました」。

――どんなところを作り込んだんですか?

「まず声ですね。私の声はわりと低くて、このままだと優羽ちゃんのキャラクターに全然合わないから高くしたんですけど、今観ると『えっ? こんな声だっけ!?』という感じです(笑)。撮影ではやっていくうちに、だんだん馴染んできました。でも、アイキャッチで『ういらぶ』と声が入るところは、佐藤(祐市)監督に『桜井日奈子のままでいいよ』と言われて録ったので、ギャップがすごくて(笑)、『もうちょっと優羽ちゃんっぽくやれば良かったかな?』と思いました」。

――原作マンガのことも意識しました?

「少女マンガだから、あれだけホワホワした優羽ちゃんが受け入れられるんでしょうね。だから、実際の人間があんなにおどおどした話し方で、何かプルプルしていたら、見ていてウザったく感じるんじゃないかと思ったんです。私が演じたことで、優羽ちゃんがそう見られたらイヤだなという不安がちょっとありました。なので、そういう表面的なところではなく、優羽ちゃんの一生懸命さが観る方に伝わればいいなと思って、意識して演じました」。


――この映画は、優羽と幼なじみの凛(平野紫耀)が、お互い好き同士なのに素直になれなくて……という物語です。

「映画でもキュンキュンテイストはハンパなくて、自分が演じていることもあって、観ていてムズムズしました(笑)」。

――ネガティブな優羽は、日奈子さん自身とは距離があるのでは?

「私もどちらかというとネガティブ……。いや、ポジティブですね(笑)。そういう性格的な部分は私と全然違いました。映画で優羽ちゃんを見ていて『もう言っちゃいなよ!』とか『もっと自信を持って!』とか思いましたから。私だったら凛に『全然ダメ』と言われても、『ダメじゃないよ!』と言い返せるくらい強いので、そこは真逆ですね。でも優羽ちゃんも芯は強い子で、そこは後半に出せたと思います」。

――「ネガティブ」と言い掛けたのは、ご自身にもそういう部分に思い当たる節が?

「ありますよ。優羽ちゃんって自分の髪を引っ張って顔を隠すじゃないですか。あれは私も上京当時、やっていたので。人に見られるのが苦手で、人の目をすごく気にしていて、誰とも目が合わないように、前髪を長くして目を隠していたんです。そこは共感できる部分でしたね」。

――人前に出る仕事をする上で、それをどう克服したんですか?

「仕事でいろいろな場所に行くたびに、最初はカメラに撮られるのが慣れてないからイヤだったんですけど、やっぱり数をやらせてもらったことが大きかったです。あと、私は舞台で女優デビューさせていただきましたが、今思えば、そこで頑張ったかも。やり直しがきかない緊張感の中で13公演くらいやり抜いて、当時の私にすごく自信が付きました。女優としてやっていく覚悟もできて、気持ちが大きく変わるきっかけになりました」。

――劇中の優羽みたいに、鏡を見て笑顔の練習をしたことはありますか?

「さすがにそれはないですね。あのシーンは自分で観て『あーっ、不細工だ! どうしよう……』って冷や汗をかきましたけど(笑)、それくらい思い切ってやったので、観る方には楽しみにしてほしいです」。


――同じマンションで暮らす優羽と凛、それに暦(玉城ティナ)と蛍太(磯村勇斗)も含めた幼なじみの関係性は、実感としてわかりました?

「わかります。私にも優羽にとっての暦ちゃんみたいな関係の幼なじみがいて、今でも連絡を取っていて、夏休みには東京に遊びに来てもらったりしました。どっちかと言うと、私が暦ちゃん、その子が優羽みたいな感じで、私が『かわいい、かわいい』とやっちゃいます(笑)」。

――現場でキャスト同士にも、そういう空気は生まれました?

「そうですね。磯村さん以外はみんな同い年ですが、『幼なじみの役だからこうしよう』とやったわけではなく、いつの間にか距離がギュッと近くなった感じです。メイキングを今観ると『何がそんなに面白かったんだろう?』と思うくらい、ずーっと笑って盛り上がっていたんですよね。でもギュッと近づいた分、パッと離れるのも早かったんです。試写会で久しぶりに会ったら、もう他人って感じで『あっ……。よろしくお願いします』みたいになって(笑)、温度差がすごかったです。この1年、みんなそれぞれの場所で一生懸命やっていたからかな? 改めて会うと緊張しちゃいました」。

――確かに、平野さんはKing&Princeで一気にトップアイドルに躍り出ました。

「平野さんは現場ではずっと気取らない自然体で、周りにはすごく気を配ってくれるやさしい方でした。無意識に明るい空気を作れるので、平野さんの周りには自然と人が集まって、みんなで笑っている感じでした」。

――劇中で、優羽として凛に特にドキッとしたシーンはどの辺ですか?

「最初の凛のシャツのボタンをしめるシーンからドキドキしちゃいましたけど、キャンプのシーンでズキュンときたところがありました」。

――そこは見てのお楽しみですね。さて、さっきも「キュンキュンテイスト」という話が出ましたが、全体的に「ういらぶ。」でのキュンキュンは、前作「ママレード・ボーイ」でのキュンキュンとは違う感じでした?

「違いますね。『ママレード・ボーイ』より、こっちのほうがコミカルというか、クスッと笑えるキュンキュンだったと思います。佐藤監督がいろいろな場面で『何かできるんじゃないか』と考えていたようで、回転扉の壁ドンシーンは、壁ドンしたらたまたま扉が回ったのが『これはいい』となって使われたんです」。


――そうだったんですか。あそこは爆笑しました。

「現場ではカメラワークもあって苦戦しましたけど、壁ドンしているのにキメきれない凛とか、回転している扉に反応しないで凛くんしか見えてない優羽の抜けた感じとか(笑)、私もあそこは面白いなと思いました」。

――「凛くんといると心臓がドキドキする」という台詞がありました。そこも「ママレード・ボーイ」での「いつもドキドキさせられる」とは違うドキドキだったと思いますか?

「はい。ドキドキのテイストが違うと思います。好きだからドキドキするのは一緒かもしれませんけど、『ママレード・ボーイ』のときはシリアスな感じがしました。『ういらぶ。』はわりと乙女チックな感じでしたね」。

――なるほど。そうですね。

「『ういらぶ。』というだけあって、優羽と凛の本当に初々しいラブが描かれているんです。観る方は2人がお互いのことを好きだとわかっているから、『もう言っちゃいなよ!』ってもどかしくもなりながら、一生懸命『幼なじみから恋人になろう。新しい関係を築こう』としている2人を応援する感覚になってくれたら嬉しいです。難しいことを考えず、ただ笑って、キュンキュンして、すっきりしていただければと思います」。

 
 

いつか大切な人ができたら
映画みたいに看病したい(笑)

 
 

――日奈子さんは男性のドキッとする仕草とかありますか?

「えーっ……。本当に私、そういうのはわからないんですよ。でも、クシャッと笑う男性は好きで、見ちゃいますね。笑ったときって、その人の素が出るので、無邪気さが見えたらキュンとします」。

――凛にとって恋敵で優羽に積極的にアタックしてくる和真(伊藤健太郎)も含め、劇中のイケメンの中で、日奈子さん的にいいと思うのは?

「うーん……。私は蛍太かな。凛も和真も極端すぎるので(笑)、一番バランスの取れた蛍太がいい気がします」。

――凛は優羽を大好きな気持ちをこじらせて、本人には「ヘタレ」とか「ゴミ」とかひどいことを言ってましたが、あれはどう思いました?

「どうだろう……? でも、奥に『好き』という柔らかい気持ちがあれば、全然アリだと思います。ただ、私だったら、そこで言い返してケンカになりそうですね。『ヘタレじゃない! そんなこと言うお前のほうがヘタレ!』とか言っちゃうかも(笑)」。

――凛の妄想の中では甘いシーンもありましたね。

「あれは楽しかったです。凛くんの妄想だと、優羽ちゃんがわりと大胆で(笑)、看病してあげるシーンでは『凛くんの風邪ならうつってもいい!』と言ったりしてます。佐藤監督はこういうキュンキュンものを初めて撮られたそうで、ワクワクされているのが伝わってきました。カットがかかったときのテンションの高さはすごかったですね。『カットぉーーー!!』みたいに興奮していました」。


――それだけ2人のラブラブ演技が良かったんでしょうね。

「私、(妄想ではない)看病するシーンはいいなと思ってます。いつか大切な人ができたら、ああいうふうに看病してあげたい(笑)。タオルを濡らしてきて、おかゆを作って……」。

――この映画は、日奈子さんの故郷の岡山で撮影したんですよね。

「ずっと岡山で撮影してました。私には落ち着く場所で、撮影が休みの日は実家に戻れたりもしました。でも、映画に出てくる学校が山のほうにあって、撮影がないときに行くところがホテルの下のコンビニくらいしかないんですよ。ちょっと早めに終わった日は、することがないので、公園でマネージャーさんと縄跳びをしてました(笑)」。

――夜の森のシーンでは「怖い」という声も出ていました。

「あそこは寒いし、暗くて何も見えなかったので、本当に怖かったんですよ。優羽が急斜面から這い上がってくるシーンがあったんですけど、その斜面が露か何かで濡れていたので、滑っちゃう感じもありつつ、撮ってました。本当に寒かったんですけど、アップの日のラストのシーンだったから、感慨深いものもありました」。

――優羽が飼っている文鳥に話し掛けるシーンもあります。

「あれはリアルな鳥だったので、どういう動きをするかわからないから、『聞いてる?』とかアドリブを入れつつ撮りました。わりとデリケートな鳥らしくて、『前よりちょっと痩せてない? 演技のストレス?』みたいなこともありました(笑)」。

――演じていて、自分の高校時代を思い出したりは?

「思い出しました。化学の実験の授業で『ペアを組もう』という場面とか、学生時代には本当に一大事だったじゃないですか。文化祭とか体育祭とか、ひとつひとつがそうでした。学校という世界の中でしか生きてなかったから、誰とペアを組むかで人生が変わっちゃうと思うくらいでしたよね。そういう生活が懐かしくなりました」。


――優羽のように「変わりたい」と思うことは、日奈子さんにはありますか?

「よくあります。日々変わりたいと思ってます」。

――どう変わりたいと?

「いろいろな現場を経験するたびに、『次はアクション系の作品に出たい』とか『安藤サクラさんと共演したい』とか、目標がどんどん増えていくんです。『ういらぶ。』みたいに同世代の子が集まった作品に出ると、違う作品で『また一緒になったね』と言えるようになることもひとつの目標になるし……。やりたいことが増える分、それができるように変わりたいと思います」。

――人としての根本的な部分では「変わりたい」と思うことはないですか?

「いや、ありますよ。口ベタというか、現場でスタッフさんと話したくても、なかなか話せなかったりするので、もっと上手に生きたいです」。

――日奈子さんって容姿端麗、文武両道で完璧に見えますけど。

「そんなことはないです。足りないことだらけです」。


――「ういらぶ。」のモチーフの“初恋”には、どんなイメージがありますか?

「何だろう? でも、“初”はやっぱりドキドキしますよね。今年、『沸騰ワード10』で初めてスカイダイビングをしたときも、地上4000mから飛び降りてドキドキしました。初めてお笑いのライブにも行ったんですよ。大好きなシソンヌさんを見に行って、本当に感激しました。生だとパワーがすごいというか、圧倒的にズドンと来る感じです。その後、サバンナの高橋(茂雄)さんのライブにも行きました。今、お笑いライブにハマりつつあります」。

――何はともあれ、日奈子さんは「ういらぶ。」のようなキラキラ恋愛モノのヒロインが本当にハマリますよね。

「ハマってるのかな? でも、今の年齢じゃないとできない作品は絶対あるし、やっていて楽しいので、それができるうちはやりたいです。ただ私、何度も言っちゃってますけど、アクションもやってみたいんです! これは叶うまで、ずっと言い続けると思います(笑)」。

 
 


 
 

桜井日奈子(さくらい・ひなこ)

生年月日:1997年4月2日(21歳)
出身地:岡山県
血液型:O型

 
【CHECK IT】
2014年に「岡山美少女・美人コンテスト」にて美少女グランプリを受賞。2015年5月から配信の「LINE MUSIC」ウェブCMをきっかけに“岡山の奇跡”として全国的に注目される。2016年5月に舞台「それいゆ」で女優デビュー。同年7月に「そして、誰もいなくなった」(日本テレビ系)でドラマデビュー。これまでの主な出演作はドラマ「THE LAST COP/ラストコップ」(日本テレビ系)、「恋の503」(FOD)、映画「ラストコップ THE MOVIE」、「ママレード・ボーイ」など。「沼にハマってきいてみた」(NHK Eテレ/月曜~水曜18:55~。桜井日奈子は月曜日に出演)に出演中。大東建託「いい部屋ネット」、GROP、コスモ石油のCMに出演中。「桜井日奈子 2019カレンダーブック」(KADOKAWA)が発売中。映画「ういらぶ。」は11月9日(金)より全国ロードショー。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「ういらぶ。」

詳しい情報は「ういらぶ。」公式HPへ
配給:アスミックエース
 

 

 

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