FRESH ACTRESS 其原有沙
PHOTO=mika INTERVIEW=斉藤貴志
乙女新党を経て多くのCMに出演
10月からは2ヵ月連続で舞台も
――「シンデレラゲーム」のときに取材した山谷花純さんが、有沙さんのことを「今どき珍しいくらい天真爛漫」と言ってました。
「あのときは一番年下で、みんなお姉ちゃんみたいな感じだったから、自分らしくキャピキャピできました。自分が年上の現場だったら『お姉ちゃんっぽくしなきゃ』とか、その場その場で気をつけてはいます」。
――小さい頃からお仕事をしているだけに。
「昔から写真を撮ってもらうのが好きで、街でよくスカウトのお話をいただいて、気づいたら事務所に入ってました。なんで入ったのか、私は小さかったからわからないんですけど、CMやスチールモデルをメインにやっていました」。
――USJのCMに出たときは、小学校じゅうで大騒ぎになったり?
「そうですね。撮影でフロリダのユニバーサル・スタジオまで行ったんです。それで学校に1週間行かなかったから、『あのCMを撮っていたの?』みたいになりました。みんなハリー・ポッターが大好きで『すごい』『行ってみたい』と言ってくれました。撮影は朝や夜で大変でしたけど、フリーの日は遊びに行かせてもらって、すごく楽しかったです。あのCMは今も自分にとって軸になっています」。
――じゃあ、もともとはモデルをやりたかったような?
「はい。『プリキュア』シリーズのコスプレ的な撮影とか、ずっとやらせてもらっていて、身長が伸びてからは『ニコ☆プチ』のモデルになって、今は『LOVE berry』でやってます」。
――乙女新党でも2年活動していましたが、もうアイドルは卒業な感じですか? 年齢的にはやろうと思えば、まだできるとは思いますが……。
「毎週ファンの皆さんと握手会をしていたから、解散しちゃうと心にポッカリ穴が開いたみたいですごく寂しくなりました。でも、すぐに舞台や映画が入ったので、考える暇もなくて……。本当は小学生までで芸能のお仕事に一度区切りを付けようと思っていたんです。そんなときに乙女新党の話が来て、アイドルには全然興味なかったんですけど、惹かれるものがあって入りました。女の子が6人いてケンカがなかったわけではないですけど(笑)、メンバーみんな個性が強くて楽しかったですね。最近はアイドルフェスとか、自分で行くようになりました」。
――一般のお客さんとして?
「そうです。今は自分自身がアイドルを好きで、ライブに行って女の子たちが歌って踊ってファンの方たちに笑顔を届けているのを見ると、『私も続けていたら、このステージに立っていたのかな?』とか、いろいろな気持ちが混ざってきます。『またアイドルをやりたい』とも思っちゃうんですよね」。
――TIFにも行きました?
「もちろんです。乙女新党の頃に仲良かった方のステージとか観てきました。エビ中(私立恵比寿中学)のぁぃぁぃ(廣田あいか)と仲良くて、初日のラストステージはスタッフさんにいい席で観させていただきました」。
――そういえば、ぁぃぁぃさんと乙女新党のリーダーだった高橋優里花さんが同じ8月31日に転校と引退を発表しました。
「その日は泣いちゃって全然寝られませんでした。優里花ちゃんは年が離れていたのに自分のイタズラとかに一番つき合ってくれたし、ぁぃぁぃは憧れの存在で、一緒に食事に行ったらアイドルとして悩んでいることとか、自分と『これも?』と思うくらい一致していたんです。引退したりアイドルを辞めちゃうのは悲しいけど、今後も応援したいです」。
――有沙さん自身は、最近CM出演が増えたり、「ワイドナショー」に出たり、舞台に出演したりと活動の幅を広げていますが、今は何に重きを置こうと?
「『JKのLINEあるある』やハウスシチューのCMに出させていただいたことで、アイドルファンではない方からのブログのコメントが増えました。うれしかったです。だから、アイドルとどっちをやりたいか考えると『どっちなんだろう?』となっちゃいます。とにかく10代も後半に入ったので、20歳になってから『10代のうちにやっておけば良かった』と後悔しないようにしたいと思います」。
――「JKのLINEあるある動画」ではすごい顔芸を見せてますね。好きな先輩からのLINEには目をひんむいて喜んだり……。
「オーディションの部屋に入った瞬間から、監督さんのテンションが高くて『盛り上がっていこうね!』みたいな感じだったんです。実際の動画のベッドのようなマットが敷いてあって、『ここで彼氏からLINEが来たときの喜びを体で表現して』とか、いろいろなことをやりました。その時点で選ばれた場合の撮影予定日が出ていたんですけど、なかなか電話が来ないから『落ちたな』と思ってました。そしたら前日になって、テレビ収録のあとで『あれ決まったよ』と言われたんです。予定日も忘れていたから『いつ撮影ですか?』と聞いたら『明日の朝から』と言われて『うそーっ!?』となりました。もう夜だったのに、絵コンテを見たらやることが多くて!」。
――その夜はどう過ごしたんですか?
「とりあえず夜ごはんは控えました(笑)。それで撮影現場が遠かったので、早めに寝ました。絵コンテを見て頭でイメージしながら」。
――あの顔芸は振り切ってやったんですか?
「『ここまでやったらヤバイかな』と思ったら、『もっと』と言われました(笑)。でも普段からヘン顔はしているし、アイドルのときもファンの方に『表情がコロコロ変わる』とか、メンバーから『表情筋がすごい』とか言われていたので、『このヘン顔を世に出していいのか?』とは思いましたけど、『まあ、いいや』と。『たくさんの方に観ていただけるならやってやろう!』という感じでした。実際あんなにたくさんの方に観ていただけたのは驚きましたけど」。
――頭突きで瓦を割ったのもガチで?
「あれが最後に撮ったシーンです。痛いかもしれないから、楽屋で1コ割る練習をしたら、余裕でいけたんです。本番は15枚重ねて一発勝負で、思い切ってやったら4~5枚割れて、『痛てててて……』という表情もやったら、『はいカット! 今日はお疲れさまでした』となりました。朝から夜遅くまでの撮影でしたけど、楽しかったです」。
――あの動画に出てくることは、JKとして実際「あるある」ですか?
「そうだと思います。演じていて『これ自分に近いな』という部分が多かったです」。
――間違えてヘンなスタンプを送信しちゃうとか?
「よくあります。誕生日ではない人に『ハッピーバースデー』と送っちゃったり(笑)。あと、すぐに返さないで焦らしたり、送ったあとで読み返したら字が間違っていたこともよくあります」。
――LINEはやっぱり生活に欠かせないもの?
「欠かせないけど、夜中まではやりません。私、友だちとはあまりLINE交換してないので、夜は通知が来ないんですよね。来たと思ったら、ニュースだったりします」。
高校の食堂でカツ丼を食べたら
他に食べてる女の子がいなくて(笑)
――「シチューオンライス」のCMもオンエア中です。
「ハウス食品さんのCMは小学1年のとき以来で、そのときと同じスタッフさんだったんです。覚えていてくださって、髪形も同じのを指定されて『全然変わらないね』と言ってもらいました。朝に現場に入った瞬間から『お菓子とか食べないで。撮影でシチューをたくさん食べるから』と言われて、本当に本番はお腹いっぱいになりました。おいしかったです」。
――普段はあまり食べないほう?
「めっちゃ食べます。お母さんにも『控えなさい』と言われるくらいですけど、うちで出るごはんの量が多いんです(笑)」。
――ベタな質問ですが、好きな食べ物は?
「砂肝です! おじいちゃんから教えてもらいました。料理酒と塩コショウで炒めて、昔から味も食感も大好き。出るとずっと食べてます」。
――CMでの食べたあとの幸せそうな笑顔は自然に出ました?
「笑うカットは最初は1人ずつ撮るはずだったのを、遠藤(憲一)さんが『1人でワハハハ笑うのはヘンだろう』とスタッフさんにツッコんでくれて、3人で撮ることになりました。遠藤さんが面白いことを言ってくれたりもして、自然と笑顔が浮かびました」。
――遠藤憲一さんとは初共演?
「初めてです。テレビや映画で何度も観ていたので、共演できてうれしかったです」。
――でも、ドラマとかのイメージだと……。
「こわもて系ですよね。でも、全然やさしくてビックリしました。撮影でお会いする前に、テレビでやさしそうな面も見ていたんですけど」。
――10月には舞台「野畑の飼ってた宇宙人」に出演。演技もやる気マンマンですか?
「お芝居は好きですから、やる気マンマンです。自分と違う人物像を演じるのが楽しいと思ってました」。
――舞台は3本目。
「その1ヵ月後の11月に4本目もあります」。
――今までの舞台では、どんな思い出があります?
「1コめの『城下町のダンデライオン』はアイドルをやめてすぐ、アイドルの役でした(笑)。演技というより踊ったり歌ったりする舞台で、衣裳が多くて早替えが大変でした。15秒で制服からステージ衣裳に着替えたりして、髪の毛にマジックテープがくっ付いてたりしました。2コめの『僕らのピンク スパイダー』はやさしいけど素直になれない女の子の役で、演技に集中しました。16公演あって、DVDを撮る日に限って噛んじゃって(笑)。ガーッとしゃべったあとに走って逃げていくシーンで、逃げたあとに『やっちゃった……』と思って悔しかったです。千秋楽はみんながアドリブを入れてきて、45分くらい押した気がします」。
――舞台ならではですね。
「私も結構アドリブを入れました。舞台経験者が多くて、お稽古から学ぶことがたくさんありましたね。中学の卒業式が近くて、当日も公演とカブっていたので、式が終わってから、すぐ劇場に行きました」。
――余韻に浸る間もなく?
「卒業式は泣きましたけど、舞台でも泣くシーンがあったので、『これ以上は涙がカラッカラになる』と思って泣いていられないという感じでした。卒業式前も稽古が入って友だちと遊べなくなっちゃったのは悲しかったけど、『他の子ができないことをやらせてもらっているんだから』と頑張りました」。
――同じ生のステージでも、ライブと感覚は違いました?
「全然違います。舞台は何公演もあって、毎回台詞の言い方も感情や表情も違うから、今度の『野畑の飼ってた宇宙人』も2回観ていただくと『ここを変えたんだな』とか、いろいろ発見があると思います。アイドル時代から応援してくださるファンの方も、『LINEあるある』とかで私を知った同世代の方にも来ていただけたら!」。
――どんな役なんですか?
「宇宙人の役ではないです(笑)。学級委員長という初めて真面目な役をやらせていただくのでドキドキします。お話は『ドラえもん』みたいな感じがしました。ジャイアン系やスネ夫系のキャラが出てきて、コメディ要素もあって楽しい舞台になりそうです。前回は“笑いあり涙あり”だったのが、今回は“笑笑笑”という感じです(笑)」。
――一方で、高1の新学期も始まりました。
「高校生になってから、1日1日が速いです。中学は歩きで通っていたので、今は朝の電車が辛くて……。荷物が重くて、その荷物を人混みに持っていかれそうになるのが大変。いい面は、中学は小学校から友だちもそのまま行く感じだったのが、高校はいろいろな地域から来る子たちと触れ合えることです。先輩ともコミュニケーションを取れるようになってきて、部活とかも楽しいです」。
――JKっぽいこともしてます?
「放課後の立ち寄りとかは禁止されているので、学校の食堂に行くくらいですかね。入学してから2回行って、カツカレーとカツ丼を食べました。おいしかったんですけど、周りを見たら、カツ丼を食べてる女の子がいなくて(笑)。みんなAランチとかで、カツ丼を食べているのは野球部の男の子とかだったんです。『うわーっ。恥ずかしい……』と思いながら、お盆で顔を覆いました(笑)」。
――「小1のときと変わらない」と言われた話がありましたが、実際はいろいろ変わってきてますよね?
「身長も乙女新党の頃から15㎝伸びました。『大人っぽくなったね』と言われるのはうれしいですけど、たまにファンの方が『デカくなった』と言うんですよ。それはイヤ(笑)。『大人になった』でいいので、気をつけてほしいです」。
――身長が伸びたのはうれしいことですよね?
「全然うれしいです。気に入っていた服の丈が短くなって、着られなくなるのが寂しいくらい。今は大人の服も着られるようになったし、デパートでそういう服の売り場を見られて、ちょっと大人に近づいた気がします」。
――精神的にはもともと大人だったのでは?
「大人なほうだと思います。小さい頃からお仕事をしていると、良いことも悪いこともいろいろと普通の子より早めに見てしまっているので。でも友だちと遊ぶと誰よりもはしゃいじゃうタイプだから、中身は子どもなところもあります」。
――ブログでは率直なことを書いていますね。誕生日のときに「いろいろ意見していきたい」とか。
「中学生までは言われるがままにやっていて、それも必要だと思いますけど、自分のやりたいことができなかったりもしたんですよ。高校の3年間は芸能のお仕事をするうえでもすごく大切だと思っているので、悔いが残らないようにするには自分の意見もちゃんと言わないと。意見が通るか通らないかではなく、とりあえず言うことを目標に頑張りたいです」。
――具体的に今、意見したい、訴えたいことはあるんですか?
「映像で『LINEあるある』みたいな自分の表情を活かしたお仕事をしていきたいです。歌と踊りも好きなので、またできたらと思います。全部は無理でも少しは叶えてほしい……というのはあります」。
――意見する以上、自分もいっそう頑張らないと。
「そうなんです。ただ『○○がやりたい』と言ってるだけだと、お仕事はできないし、もしお仕事をもらえたとしても、悔しい想いをするから。自分にいろいろ磨きをかけて、ちゃんと認めてもらえるようにやっていきたいです。もしまたアイドルをするなら、歌とダンスでたくさんの人にパワーと元気を届けられるように頑張ります!」。
――歌やダンスの練習は今もやっているんですか?
「最近はやってないですね~。特にダンスはずっとやってなくて、曲が流れると踊りたくなります。でも11月の舞台ではダンスもするので楽しみ。体を戻しつつ、また磨きをかけたいです。一気にやると崩れるので(笑)、今から柔軟やストレッチをしておきます」。
其原有沙(そのはら・ありさ)
生年月日:2001年8月24日(16歳)
出身地:東京都
血液型:B型
【CHECK IT】
キッズモデルとしてユニバーサルスタジオジャパン「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」などのCMに出演。2014年7月から2016年7月までアイドルユニット・乙女新党のメンバーとして活動。解散後に映画「シンデレラゲーム」、「ワイドナショー」(フジテレビ系)などに出演。現在、「すイエんサー」(NHK Eテレ/火曜19:25~)に出演中。ハウス食品「シチューオンライス」、ヤマト運輸「クロネコメンバーズ 校歌篇」のCMがオンエア中。LINE「JKのLINEあるある」動画、YAMAHAバイク「トリシティ」WEBムービー「サウナとトリシティでととのった」が配信中。「LOVE berry」(徳間書店)でレギュラーモデル。舞台「野畑の飼ってた宇宙人」(10月25日(水)~29日(日)/シアターグリーンBIG TREE THEATER)、SUPER☆GiRLS宮崎理奈プロデュース公演「不思議の国のカンタータ ~泣き声混じりの空想歌~」(11月22日(水)~26(日)/新宿村LIVE)に出演。
詳しい情報は公式HP