PICK UP ACTRESS 平祐奈
PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力=Ameri VINTAGE(03-6712-7887)
パンツ、EL PRODUCTS(https://elproducts.shop/)イヤリング
映画「10万分の1」にW主演
恋を実らせながら難病を患って……
――11月で22歳になって、最近は大人っぽさが出ている祐奈さんですが、「10万分の1」では本当に高校生らしく見えました。
「普段もしゃべっていると幼いと言われて、大学生になっても高校生役が多いので、あまり意識はしていません。制服を着ることにも違和感はないです」。
――祐奈さんが演じた桜木莉乃は、学校イチの人気者の桐谷蓮(白濱亜嵐)との恋を実らせながら、難病のALSにかかってしまう役。泣けてくるシーンがたくさんありましたが、自分で観ると、どう感じます?
「初めて自分が出ている作品を観て泣きました。特に、ALSと宣告された直後に、(両親を亡くしてから)一緒に暮らしているおじいちゃんとの夕食で泣くシーン。莉乃としては『やっぱりそうだったんだ……』というすごく複雑な気持ちで、先のことが何もわからない闇にどんどん入っていくような心境でした」。
――涙が頬を伝わっていました。
「『もし自分がそうなったら……』とも考えましたし、想像力を働かせないとできないところが多かったです。あと、奥田瑛二さんが演じるおじいちゃんを前にすると迫力がすごくて、温かさもヒシヒシと伝わってきて、ああいうシーンが出来上がりました」。
――今回は泣くシーンが他にも多くありましたが、撮る前に特に緊張したりはしませんか?
「緊張します。泣くお芝居が得意なわけでもないので、毎回『どうしようか?』と思います。今回もつまづいたところはたくさんありましたけど、何とか……って感じでした」。
――ALS患者の方とも会ったそうですね。
「映画を撮る前に武藤将胤さんという患者の方に会って、宣告されたときの想いや初期症状とかいろいろ聴いて、車椅子の操作も教えてもらいました。お会いできて、本当に良かったです。あと、過去のALSを題材にした作品を観て、取り入れたこともあります。皆さんの想いを大切にしながら、演じられたらいいなと思いました」。
――転ぶ練習もしたとか。
「はい。そういうシーンも多かったので。普通につまずいたりして転ぶのではなく、いきなり脚の力が抜けた転び方もありましたし、どっちで転んだのかわからない場面もあって、いろいろ練習しました」。
――家でやっていたんですか?
「家でもやりましたし、実際に道端で転んでみたりもしました。だから、膝がアザだらけになって(笑)。あと、プライベートでも杖をついて、片足を動かさずに歩くこともしました」。
――そうした成果がリアルな演技になって出たんですね。
「脚本からメッセージ性が強い作品で、ALSが題材だけに重いところもあるかもしれません。でも、高校生の女の子がALSになってしまうのは珍しいパターンで、より深く考えさせられると思います」。
――その中で純愛も描かれていて、蓮が莉乃をおぶって星を見に雪山を登るシーンもありました。
「あそこは本当に寒かったです。3月の撮影で、しかも夜中で、気温がマイナスにいって極寒でした。もう冷え冷えで震えていて、白い息も出るし口もだんだん固まってきて、台詞を言うのも大変でした(笑)」。
――序盤はラブコメっぽい感じで、莉乃と蓮が制服でプールに落ちたりもしてました。
「あそこは台本だと、莉乃が落ちることは書かれてなかったんですよ。監督が直前に、亜嵐さんに『莉乃を落としてもいいよ』と言ったらしくて。本番でいきなり引っ張ってきたから『エッ? ここでプールに入るの!?』ってリアルにビックリしているところが映っています(笑)」。
姉が海外に帰るときは毎回
寂しくなって泣いてます(笑)
――スイーツを食べる場面も多かったですね。
「莉乃は食べることを幸せだと感じているので。そこは私も同じで、おいしく食べてました(笑)。私はスイーツだとチョコ系が好きです」。
――莉乃のキャラクター自体、祐奈さんに近いところはありました?
「そうですね。私はムカつくと俳句を詠んだりはしませんけど(笑)、普通にしているときの感じは、莉乃に近い部分があるかもしれません」。
――以前の取材で祐奈さんが「友だちが誰かに嫌なことを言われたら『おかしくない?』と言う」と話していたのを、家庭科の授業中のケンカのシーンで思い出しました。
「ありましたね。確かに、私もああなったら『おかしいでしょう?』と言います」。
――さっきの泣く演技の話でいうと、祐奈さんは普段も泣くことはありますか?
「作品を観て感動して泣くことは多いです。最近だと映画の『きみの瞳が問いかけている』で、最後のほうの吉高由里子さんがお店を開くところで泣きました」。
――日常ではあまり泣きません?
「泣きますよ。嬉しいことがあったときが多いかな。お姉ちゃん(平愛梨)がフランスに帰るときも、毎回泣いています(笑)。離れるのは、いつも寂しいので」。
――今回の撮影で、他に印象に残っていることはありますか?
「体育祭のシーンはみんな本気で、本当の高校の体育祭みたいで、青春を味わっている感じがしました。莉乃は二人三脚で転んでしまいましたけど、一生懸命やったし全力で頑張りました」。
――莉乃の親友の橘千紘役の優希美青さんも、そのシーンを挙げていました。中学で仕事を始めてから体育祭を経験してなくて「高校の体育祭はこんな感じなんだ」と思ったとか。
「私も小学校の運動会しか経験してません。運動は特に得意なこともなくて、普通です(笑)」。
――莉乃は病院帰りに「これからしたいこと」をノートに書いていたりもしました。祐奈さんだったら、今ならどんなことを書きますか?
「今は難しいですけど、旅行に行きたいとすごく思っています。海外にも行きたいし、神社が好きなので遠くまで出向きたいです」。
――海外だと、どこに行きたいと?
「フランスの姉のところに(笑)。でも、ルーブル美術館も観たいし、小さい頃からずっと『エッフェル塔に上りたい』と言っていて、まだ夢が叶ってないので、本当にパリに行きたいです」。
――年末年始に恒例ですることはありますか?
「まだ予定は立てていませんけど、毎年家族みんなで集まるのが楽しみです。今年のお正月は餅つきをしました。ちょうどその少し前に、お仕事で餅つきを初体験で練習したのが役立って、みんなに『すごい!』と言われました(笑)。またできたらいいなと思います」。
――今年は仕事以外では、どんな思い出ができましたか?
「コロナでいろいろ状況が変わっちゃいましたよね。仕事も飛んだし、大学にも行けなくなって。4年生なのにリモート授業になって、先生や友だちに会えないから寂しかったです。でも、パソコンに向き合ってZoomを取り入れたり、新しい環境になって、不便なこともありますけど、いい経験にはなりました」。
――車の運転もするようになったそうですね。
「まだ東京では怖いから運転していませんけど、車はだいぶ楽しんでいます。ハンドルを握ると、ちょっと男っぽくなるかもしれません。飛ばしたりはしませんけど、クールに運転しています(笑)」。
平祐奈(たいら・ゆうな)
生年月日:1998年11月12日(22歳)
出身地:兵庫県
血液型:O型
【CHECK IT】
2011年に映画「奇跡」で女優デビュー。映画「案山子とラケット~亜季と珠子の夏休み~」、「ReLIFE リライフ」、「未成年だけどコドモじゃない」、「honey」、ドラマ「JKは雪女」(MBS・TBS系)、「ミューブ♪~秘密の歌園~」(メ~テレ)、「御曹司ボーイズ」(TOKYO MX)などで主役やヒロインを務める。映画「10万分の1」は現在公開中。「もしもツアーズ」(フジテレビ/土曜18:30~)に準レギュラーで出演中。「ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン」(NHK Eテレ/月~金曜17:45~)に出演中。
詳しい情報は公式HPへ
「10万分の1」
詳しい情報は「10万分の1」公式サイトへ
(C)宮坂香帆・小学館/2020映画「10万分の1」製作委員会