PICK UP ACTRESS 山口まゆ

PICK UP ACTRESS 山口まゆ

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「太陽の家」で主人公の棟梁の娘役
素直になれずに父親と涙で言い争いも

 
 

――映画「太陽の家」で、大工の棟梁・川崎信吾(長渕剛)の娘の柑奈を演じました。演技力の高いまゆさん的に、難易度はどれくらいの役でしたか?

「あまりやったことのないような役ではありました。反抗期ではあるんですけど、ベースのキャラクターがビックリするほど明るくて」。

――冒頭から「パパ、またモメたって?」とか軽口を叩いてました。

「ここまでガッツリ明るい役は初めてで、明るさにもいろいろありますけど、振り切る部分では新しい挑戦をさせてもらった感じです。私自身も普段、そういうタイプではないので」。

――でも、信吾がシングルマザーの池田芽衣(広末涼子)の一人息子の龍生(潤浩)を預かってからは、反抗期ぶりのほうが出てました。

「反抗期というと軽い言い方になってしまうかもしれなくて、もともと柑奈自身がいろいろ葛藤していた時期だったと思うんです。今まで父に愛情を注がれてきたけど、実の娘ではないこともあって、注がれなくなる日が来るのかもしれない。父の愛を確認しないと気が済まないタイミングで龍生が来て、父を試していたところもあっただろうし、どうしても素直になれない不器用さが出たのかなと思います」。


――その素直になれない心情は、まゆさんにも覚えはありますか?

「思っているのと逆のことをしてしまうのは、経験あります。嬉しいのに怒ったり、悲しいのに笑ってごまかしたり。意図してないのに、そうなってしまうことはよくありました」。

――お父さんとケンカしたりも?

「それはないです。お母さんのほうがぶつかりやすくて(笑)」。

――柑奈が信吾と言い争いをするうちに泣き声になるシーンは、まゆさんの真骨頂というか、いつもながら辛さが響きました。

「いろいろな役でそういうシーンはやってきましたけど、今回は父を長渕さんが演じていたからこそ……というところもありました。現場で長渕さんの温かさも、役と真摯に向き合う熱も溢れていて、一緒にお芝居させていただくと、自分の奥底に眠っていたものを舁き立てられるというか。芯を突かれる感じで、ビンタされたら本当に悔しくて泣いてしまったりしました」。


――演技で泣いたというより、リアルにそういう感情になって?

「カットがかかっても、ずっと涙が止まりませんでした。毎回が生というか、パワフルな撮影で、1日撮り終わるごとに清々しい気持ちになりました。信吾としての柑奈に対する想いもすごく感じて、ビンタは痛かったけど、愛も伝わりました。柑奈自身もそういう熱があるお父さんの元で、たぶん龍生と同じようにわんぱくに育てられてきたと思うんです。だから、父が強くても『絶対に負けない!』というスタンスで突進していく。反抗期のパターンも役によりますけど、今回はイヤでも親に対峙するということで、そこもいつもと違いました」。

――長渕さんは大御所のアーティストで映画出演は20年ぶりですが、本職の役者さんにないものも感じましたか?

「役者かどうか以前に、本当に熱い想いを持っている方で、もしかしたら私たちがやれていないことまで丁寧に取り組まれていたのかもしれません。……なんて言うと上から目線みたいになってしまいますけど、現場でそう感じたので、たぶん私たちの知らないところで、たくさん考えたり追求されてらっしゃったんだと思います。信吾役について、監督以上に深く探られていました」。


――もともと長渕さんにはどんなイメージがあったんですか?

「お名前は知っていて、撮影に入る前に曲も聴いて、すごい方というのはわかってました。だから緊張しましたけど、フレンドリーにやさしく接してくださいました」。

 
 

愛に溢れた現場で家族のようになれて
4人で走るシーンで幸せを感じました

 
 

――柑奈は信吾たちの実の子ではないということですが、どういう経緯であの家で育てられたかは、劇中で触れられていませんでした。

「引き取られた過程について、監督といろいろ話しました。でも、そこに一番捕らわれているのは柑奈自身で、他の人は気にしてないんですよね。父の愛を再確認したかったのに何もしてくれなくて、すれ違うところはありましたけど、それでも家族のことは好きだし、『血が繋がってないのが一番大事なことではないよね』という話になりました」。

――確かに、言われなければ普通の親子のようでした。

「撮影に入る前に現場でお祓いをした日に、長渕さんと(母親役の)飯島直子さんと私で川崎家のシーンの本読みをしたんですね。初対面でいきなり『ちょっと!』みたいな掛け合いをしたんですけど、そこで壁が崩れて、撮影に入る頃には本当の家族のように仲良くさせていただきました。監督も寄り添ってくれて、愛に溢れる現場でした」。


――信吾の一番弟子の高史(瑛太)も含めた家族4人で、手を繋いで走るシーンがありました。

「あそこは台本には『土手を家族で歩く』としか書かれてなくて、監督に『好きにやってください』と言われたんです。それで『夕ごはんは何にする?』とかアドリブを交わしていたら、長渕さんが『じゃあ、位置について』みたいにやり始めて。短期間で長渕さんを中心に家族になれた感じがして、本当に幸せでした」。

――信吾が龍生たち親子のために家を建てることがストーリーの軸になっていきますが、まゆさんは理想の家とかありますか?

「間取りとかはわかりませんけど、自分の部屋は定期的に模様替えをしたりしてます。絵を飾ったり、お花を買ってきたり、IKEAに行って家具を揃えたりするのが、趣味みたいになっていて。居心地の良い部屋は、自分の中でなくてはならないものです」。

――今は部屋にどんなものを飾っているんですか?

「美術館で買ってきたポストカードを壁に貼りまくってます。あと、寝具の色や枕にもこだわってます」。

――じゃあ、自分の家を持ったら、いろいろ凝るんでしょうね。

「物の配置とか色とか、こだわるかもしれません。掃除とか家事も全部好きなので、自分で一軒持ったら、マメにやりそうです(笑)。とりあえず一人暮らしができたら、楽しそうだなと思います」。

――ところで、まゆさんは去年11月で19歳になりました。10代最後の年ですね。

「何も考えてませんでした(笑)。年齢に関心がなくなってきて、誕生日も『日にちをまたぐだけでしょう?』みたいな。ただ、『20歳を過ぎたら早い』というじゃないですか。目の前にある楽しいことをいっぱいやっていきたいですし、たぶん今の時期しかできないことや若いから許されることもあるので。大学に通っている間は後先考えずに過ごして、常にキラキラしていたいとは思っています」。

――差し当たり、今やりたいことは何ですか?

「今は音楽がすごく好きで、特に洋楽にハマってます。それでレコードが欲しいのと、自分でも楽器をやりたくて。家にあるピアノではなく、ギターも弾ける人が多いので、昔やっていたトランペットをまた始めたいです」。

――洋楽はどの辺を聴いているんですか?

「古い曲です。エルトン・ジョン、ビートルズ、クイーン、スティーヴィー・ワンダー、オアシス……。昔の曲が(リマスターで)きれいな音になって出たりしますけど、それはイヤなんです。昔のままを聴きたいから、レコードの荒れてる感じが好きなんです」。


――なるほど。レコードプレイヤーは家にあるんですか?

「ないんです(笑)。だから、買おうと思っています」。

――クイーンは映画の「ボヘミアン・ラプソディ」がきっかけだったパターンですか?

「違います! クイーンはずっと前から好きだったので、絶対に『ボヘミアン・ラブソディ』からではないと、声を大にして言いたいです(笑)。でも、エルトン・ジョンは『ロケットマン』からでした。にわかでごめんなさい(笑)」。

 
 


 
 

山口まゆ(やまぐち・まゆ)

生年月日:2000年11月20日(19歳)
出身地:東京都
血液型:A型
 
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2014年に「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(フジテレビ系)でドラマデビュー。主な出演作はドラマ「アイムホーム」(テレビ朝日系)、「リバース」(TBS系)、「明日の約束」(カンテレ・フジテレビ系)、「駐在刑事」(テレビ東京系)、映画「くちびるに歌を」、「相棒‐劇場版Ⅳ‐首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断」、「僕に、会いたかった」、「下忍 赤い影」など。映画「太陽の家」は1月17日(金)より全国公開。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「太陽の家」

詳しい情報は「太陽の家」公式サイトへ
 

 

 

 
 
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