PICK UP ACTRESS 吉田まどか
PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志
映画、ドラマ、MVと出演作が続き
コギャル役などをハイテンションで
――この夏は出演作の放送や公開が続きますが、「法医学教室の事件ファイル44」では殺されて検視される役でした。
「登場5分で泡を吹いて死んじゃって衝撃でしたけど、意外と死ぬ役は多くて(笑)、死体も何回かやってます」。
――死体役の大変さは特になく?
「そうですね。雨の中で目が開いた状態で死んでたときはキツかったですけど、今回は目を閉じてましたし。それより2時間サスペンスを撮るスピードと、大先輩ばかりだったのでど緊張して、今までのお仕事の中でも大変さでランクインするくらいの現場でした」。
――映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」では、90年代を舞台にコギャルに扮しました。
「眉毛を剃って髪を染めて、鏡を見て『遅めの反抗期が来たな』と思いました(笑)。眉はスタートラインだけ残して、あとは全部剃って麻呂状態。それで金髪メッシュだったから、最初はすっぴんで鏡を見たくないくらいショックでした。でも、撮影に入ってギャルメイクをするようになったら、逆に面白くなってきました(笑)」。
――自分が生まれる前の時代のコギャルについて、どんなイメージがありました?
「肌が黒い、金髪、ルーズソックスとか、アバウトなイメージしかなかったんですけど、クランクイン前にみんなで集まって、コギャル教室みたいな指導をたっぷり受けました。とにかくコギャルはその時代の中心だったみたいです」。
――そんな時代がありました。
「プリクラも最初はサラリーマンの方が名刺に貼る写真用の機械だったのが、コギャルの女子高生たちが目を付けて、今のああいうキラキラしたものになったみたいですね。女子高生がいろいろ発見してブームが起きる感じだったのは、すごくわかりました」。
――コギャルを演じる上で、話し方や振る舞いで意識したことは?
「今の女の子はおしとやかな感じがしますけど、それとは正反対のガサツさを意識しました。丈がギリギリのスカートなのに全然気にせず脚を開いて、ワーワー騒いだりしました。当時の女子高生が手持ちのビデオカメラで撮った映像も観たんですけど、学校でワキャワキャしていて、みんなずーっと笑っていたんですよね。そのビデオではカメラを向けられると、みんな『映して映して!』ってどんどん入ってきて、本当に今の子と真逆だなと思いました」。
――「SUNNY」の劇中では、主人公たちの仲良しグループが大人になって、ファミレスで今の女子高生のグループが会話せずにスマホをいじっているのを見て「静かだね」と言うシーンがありました。4年前まで高校生だったまどかさんも、みんなで騒ぐ感じではなかったですか?
「当時はもうスマホを頻繁に使ってましたから、人といても話すよりスマホを見ているのが当たり前でしたね。でも私は、本当はみんなでワイワイしたかったです」。
――撮影では、そういうワイワイするノリだったわけですね。
「とにかくハイテンションをキープしなきゃと思っていて、現場ではカメラが回ってないときでも、みんなでワーワー騒いでいて、その延長線で撮る感じでした。私は普段ワイワイするタイプではなくて、撮影現場だけ、箸が転がっても笑うみたいなハイテンションでした(笑)」。
――自分の高校時代を思い出す感じではなかったような?
「撮影では持ち物から当時と違っていて、ブランドものをガチャガチャさせたり、ピッチ(PHS)を使ったり、ルーズソックスを履いていたりで、自分の高校時代と重ねるというより、まったく別の世界に飛び込んだイメージでした」。
――ルーズソックスも初めてでした?
「はい。伸ばすとあんなに長いんですね。120㎝とかありました。撮影したのが冬に差し掛かる時期で寒かったので、カメラが止まったら、みんなビヨーンと伸ばして上げて、防寒に使ってました(笑)」。
――まどかさんが演じた成美は、主人公たちのグループ「サニー」と対立する3人組の1人で、最後のほうにシリアスなシーンもありました。
「あの雨の中のシーンは、(池田)エライザさんがきれいすぎて、みんなで『カッコイイ!』と話してました。(山本)舞香さんもカッコよくてグサッときたし、あそこはたまらないです(笑)」。
――この映画では90年代のJ-POPのヒットチューンも流れますが、最近の音楽との違いは感じました?
「90年代の曲のほうが明るくて楽しい気がします。だから、映画全体がずーっとキラキラしている感じがします」。
――まどかさんは高校時代、どんな音楽を聴いていたんですか?
「きゃりーぱみゅぱみゅさんにハマってました。今だとコトリンゴさんとか、カネコアヤノさんですね。あと、7月から平井堅さんにハマりました」。
――今になって(笑)?
「もともと素敵な曲を歌ってらっしゃるのは知ってましたけど、YouTubeで偶然、平井さんが欅坂46の平手(友梨奈)さんと『ノンフィクション』をコラボしている動画を観て、すごい衝撃を受けたんです。オリジナルの曲も聴いて『いいな』と思って、関連で出てきた動画も観ていたら、どハマりしちゃいました。人間的なやさしい曲から、ドロドロしてエグイのが面白い曲まで、振り幅がすごいなと思います」。
――特に好きな平井堅さんの曲というと?
「『魔法って言っていいかな?』です。浄化されました」。
スイッチを切るとクタクタ感が出るので
家に帰ってからバタッと倒れました(笑)
――ドラマ「トーキョーエイリアンブラザーズ」では、実はエイリアンの冬ノ介(伊野尾慧)の大学の友人の美沙役。
「こちらでは大学生になりました。1話で冬ノ介の衝撃的なシーンがありましたね。原作を読んで『これ、地上波で流していいのかな?』と思ったら、台本にそのまま出ていて、現場で『どうするんだろう?』とワクワクして、放送で『おーっ! 本当にやった!』と思いました(笑)」。
――原作にない美沙は、どんなキャラ設定だったんですか?
「原作でいうと大学の仲良しグループの子たちのエッセンスをまとめたような感じで、スタートからどういうふうにするのか、ワクワクしてました。他の登場人物がいろいろ抱えすぎていて、集まると空気が重くなっちゃうんですよ。だから、美沙は根っこの部分では、みんなを楽しませる盛り上げ役というところでしょうか」。
――それはまどかさん自身にはない部分?
「あんなにハッチャケることは、私生活ではあまりありません。身近な人をお手本に演じながら、『盛り上げるのはすごいな』と感心しました。4話のたこ焼きパーティーで、みんなそれぞれ思うことがあって重苦しくなっているところに、『カンパーイ! ワーッ!』とドッカンドッカン行くわけですから。私は普段、乾杯の音頭とか取らないし、『全然飲んでないじゃーん!』とか言いません(笑)」。
――じゃあ、撮影ではだいぶエネルギーを消耗したような?
「ガーッと上がったあとでフーッ……と抜けて、落差がすごいです。でも、一度スイッチを切るとクタクタ感が出ちゃうので、この現場でもずっとハイテンションをキープしました」。
――その日の撮影が全部終わったあとは?
「グタッとなって、家に帰ったらバタッと倒れます(笑)」。
――美沙は千波(恒松祐里)の恋をアシストしていくんですか?
「さり気なくアシストしつつ、ほぼ見守る感じです。私は真っすぐで、冬ノ介みたいなチャラい人は苦手なので、お兄ちゃんの夏太郎(戸塚祥太)派です」。
――美沙自身は今後どうなるんですかね?
「登場人物がみんな恋愛している中で、女の子では私だけしてないな……と思ったら、最終話の台本でガラッと変わってました。美沙も恋愛してるんですよ! 輪に入れたかなと、少しホッとしました。地球がどうなるかも含めて、お楽しみに(笑)」。
――まどかさんはエイリアンや宇宙には興味あるんですか?
「他の星に行ってみたいとは思います。月が第2の地球みたいになるかもしれないと、ちょっと言われているじゃないですか。そうなったら、バカンスに行きたいです。いろいろなものに興味を持つほうなので。宇宙人は怖かったら接したくないけど、やさしかったら仲良くなりたい。冬ノ介みたいにチャラかったらイヤです(笑)」。
――あと、Lucie,Tooの「最後の日」のMVも良いですね。これまでもMVには結構出ていますが、女優としての面白みは感じますか?
「感じます。台詞は聞こえませんけど、曲自体にストーリーや世界観があるので、映像化に参加させていただけるのは女優として光栄です。今回は撮影前にLucie,Tooさん、監督さんとの顔合わせがあって、アーティストとして曲を作ったときに大事にしたもの、監督さんが映像にするときに大事にしたいものを、それぞれ聞かせていただきました。私もその想いを持って撮影に臨みました」。
――MVは元カレにもらったギターを返しに行くストーリーでした。
「朝起きてグデッとしているところから、元カレに会いに行くということで力が入ってくる流れは意識しました。寝起きのところは、以前に私の出た冷蔵庫を開けるCMの感じがいいということで、監督さんから『カメラを気にせず、そのままグデッとしてくれたら』と言われました」。
――普段のまどかさんの朝があんな感じ?
「ああいうタイプです(笑)。そこから徐々に目が覚めて、元カレに会うので半開きの目が開いてくるという感じです」。
――車の荷台に乗って、ギターを弾きながら向かっています。
「走っている車の荷台でドローンで撮ったので、貴重な経験でした。田んぼのど真ん中で荷台に乗って歌う開放感。直射日光に焼かれる感じで暑かったんですけど、何度も走りながら『終わってほしくない。ずっと乗っていたい』と思ってました」。
――ギターは弾けたんですか?
「弾けないんです。いろいろ動画を観て練習したんですけど、映像では手元は映らないように切られていましたね(笑)」。
――ギターを返して1人で田んぼ道を歩いて帰るところは、ホロッときました。
「帰り道の泣きそうな表情は2回撮りました。田んぼで1回、駅の線路沿いで1回。どちらも一発OKをいただきましたけど、意外とムチャ振りをされて……。撮る順番が決まっていたのに、『ごめん。先に泣こうか。ここからここまでの間に泣いて』と突然指示されました(笑)」。
――結果として泣けたんですか?
「泣きました。『さよなら』という寂しさ、悔しさ……。でも感謝もあるし、いろいろな感情をグシャグシャにミックスしたら、ブワーッとなって……。でも、涙を流したところはMVには映ってなかったんですよね(笑)」。
――日常生活で最近泣いたことはあります?
「基本泣き虫なので、平井堅さんの曲を聴いて泣いたり、とある監督さんにお誉めの言葉をいただいて、うれし泣きしたりしました。別の女優さんに紹介していただいて、私はその監督さんの作品が好きだったので、お会いできてうれしかったんですけど、監督さんも私の出た作品を観てくださったみたいで、その上、誉めていただいたのでギャン泣きでした」。
――どんなことを言われたんですか?
「内緒です(笑)。作品の感想みたいなことでした」。
――自分が頑張ったところをちゃんと観ていてくれた人がいた……みたいな?
「そうです! それです! 報われたと言いますか……」。
――ちなみに「最後の日」ということだと、まどかさん的に思い浮かぶものはありますか?
「20歳になる夜に、10代の自分とお別れということで、感傷的になりました。20代になってできることは増えるだろうけど、10代だからできたことはもう終わりだな……と思ったので。何かが具体的にあったわけではないんですけど。そこで『泣くのもこれで最後にしよう。泣き虫を終わらせよう』と思ったんですけど、いまだにうまくいきません(笑)」。
――女優さんはそれくらい感情のひだがあったほうがいいんじゃないですか? ところで、趣味のイラストは最近描いてますか?
「描いてますが、以前より頻繁ではなくなっちゃいました。前は黒だけで描いていたのが、最近は同じ一色でも青だけとか、違う色で描くようになりました。今はチェキを撮るのにハマってます。その場で見られるのがうれしいし、何人かで撮り合ったら盛り上がるので」。
――新たな趣味ができたと。
「でも趣味というと、貯金になっちゃいました(笑)。『これを買うのを我慢したら、このくらいの額が貯まる』とか、節約してコツコツ貯めるのが好きです」。
――貯金そのものより、節約するのが楽しいとか?
「そうなんです。通帳を見て貯金が増えているとニヤニヤしますけど(笑)、ひと駅分をお散歩して電車賃を浮かしたり、小さいことで『節約できた』という喜びを日々感じています」。
――スーパーに夕方ごろに行って、割引きになった食品を買ったりも?
「やってます。カードのポイントが2倍つく日とか、値段が5%オフになる日はカレンダーに書いています(笑)」。
吉田まどか(よしだ・まどか)
生年月日:1997年3月25日(21歳)
出身地:福岡県
【CHECK IT】
2011年 の第7回「東宝シンデレラ」オーディションでファイナリストに選出。2012年に映画「ジョーカーゲーム」で女優デビュー。主な出演作はドラマ「夢王(MUOU)」(テレビ西日本)、「念力家族」(NHK Eテレ)、「グッドモーニング・コール our campus days」(FOD)、映画「学校の怪談/呪いの言霊」、「太陽の坐る場所」、「しまこと小豆島」、「愛MY~タカラモノと話せるようになった女の子の話~」など。現在、ドラマ「トーキョーエイリアンブラザーズ」(日本テレビ/月曜24:59~)に出演中。映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」が公開中。
詳しい情報は公式HPへ