PICK UP ACTRESS 堀田真由

PICK UP ACTRESS 堀田真由

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

監獄実験で生まれる狂気を描く
映画「プリズン13」に主演

 
 

――しばらく前のツイッターに「ついにブラックコーヒーを克服」とありました。

「21歳にして克服しました(笑)」。

――というか、それまで飲めなかったんですか?

「飲めなかったんです。たぶん口がお子様で、いまだにわさびは食べられません」。

――お寿司もさび抜きで?

「そうですね。ちょっと恥ずかしいんですけど(笑)」。


――ブラックコーヒーは頑張って飲んだんですか?

「撮影現場のお茶場で、お茶を飲みたかったんですけど、そのときにたまたま切れていてたんですね。どうしても何か喉に流したくて、そこにあったコーヒーを『これしかないか……』と飲んだら、『あれ? 飲める』となりました。たぶん食わず嫌い的な感じだったみたいです」。

――むしろ、おいしかったり?

「ブラックコーヒーはそこまでではないですけど、最近はアイスコーヒーにミルクだけ入れて、よく飲んでます」。

――やっぱり21歳にもなると、いろいろ大人になってきましたかね?

「この前、お仕事終わりで、1人でごはんを食べにお店に入りました。店員さんと話したりして『私、大人になったな』と感じました。服の趣味も年々変わってきてます。脚を出さなくなったかもしれません」。

――主演映画「プリズン13」では、看守役と囚人役に分かれて7日間を過ごす監獄実験が描かれましたが、実際に何日間か籠るような状況で撮ったんですか?

「撮影期間中も家には帰れていましたが、朝から晩までほとんどずっと、あの監獄にいました」。

――真由さんは「閉鎖された狭い空間が得意じゃない」とコメントしてました。

「実際に何かあったわけではなくても、想像するだけで苦しく感じるんです。たとえば屋根裏部屋みたいな狭くて暗い空間は、たぶん得意ではないです」。


――演じたマリは看守役でしたが、「私、実験やめます……」と申し出たときの奇妙な笑いには、精神的に参ってる感じが出てました。

「最初は涙が落ちてもいいかなと思って、段取りでは泣いていたんです。でも、『もう私、看守でいるのがつらいんです』というマリの言葉に対して、『笑みがあったほうがしんどさが出るんじゃないか』と監督に指摘されました。『つらい』と言いながら笑ってるほうが、観てる側は心が痛む。そういう部分を見せようと、本番ギリギリでまったく違う演技に変わりました」。

――マリは物静かですが、バイトを「店の人が下の子をいじめているのが許せない」と辞めたとも話してました。正義感は強いけど、自分でアクションは起こせないタイプでしょうか?

「確かにそうですね。責任感が強くて言いたいことはあっても、相手が集団だったりすると、人間やっぱり後先を考えてしまうのは、わからないでもありません。そういう点でマリはすごく日本人らしくて、真ん中っぽいと思いました。だからこそ、弱い彼女が強く成長する姿を演じるのは、やり甲斐がありました」。

――真由さん自身もそうしたことに関して、日本人の平均的なタイプだと思いますか? それよりは強いですか?

「どうかな? 昔は強くなかったんですけど、このお仕事をやり始めてから、自分の意見は強く持つようになりました。『絶対に違う』と思ったら、周りがどうあれ、言います」。

――渡辺謙作監督のコメントによると、「聡明さや器用さは俳優にとって諸刃の剣」といった話を真由さんとしたそうですね。聡明で器用な真由さんに何らかのサジェスチョンがあったんですか?

「撮影の折り返しで、監督と2人でお話させていただきました。そのときにたくさん指摘をくださって、すごく悔しい気持ちにもなりました。でも、今後のためにはとてもありがたい時間だったと思います。最初から順撮りで、マリとしても堀田真由としても後半へ向けて変わらないといけないタイミングで、いろいろなことが変わりました」。

――特に刺さった言葉は?

「私は今回で主演は3作目ですけど、マリが控えめな役なので、自分自身もどこか控えめになっていたんですね。それで、監督に『お前が主演なのに主演らしくない』と朝イチに言われて、結構ショックでした。自分で考えても足りないところはありましたけど、悔しかったです。そこから、劇中でマリが変わるタイミングでもある中で、私も自分の意見を言ったり、周りのボルテージを上げる方向に変わったりしました。もしかしたら監督もそう変わってほしくて、あえてその日に喝を入れてくださったのかもしれません。もともと遠慮はなかったんですけど、作品を良くするために自分がどう立つべきか、改めて考えるきっかけになりました」。


 
 

感情が高ぶる山場が毎日あって
エネルギーをすごく使いました

 
 

――クライマックスでマリが感情を爆発させるところは、すごい迫力でした。

「そう見えました? そこもですし、自分の看守の部屋で『お姉ちゃん、助けて!!』と叫ぶところとか、みんなにガーッと訴えるところとか、いくつかポイントがありました。毎日のように山場がある感じで、精神的にすごくエネルギーを使ったので、かなり疲れました(笑)」。

――普段はそこまで感情が高ぶることはありますか?

「自分ではわかりませんけど、そんなにテンションは高くないと思っていたら、最近『わりと高いほうだよ』と言われました(笑)。でも、感情の起伏は激しくないかもしれません。もう怒ったりはそんなにしません。今年21歳になって、年齢に心が追い付いてないとずっと感じていたのが、そうでもないと最近思い始めました。自分が『絶対違う!』と思うことがない限り、できるだけ怒りたくないです」。

――大泣きしたりもしません?

「悲しいときのほうが、感情の揺れは大きいかもしれません。役で泣くこともあって、涙は普段から流してないと出ないので、作品を観たりしたら気持ちを動かすように心掛けていて、意識的に涙を流すこともあります」。


――女優さんらしい日常ですね。今回の劇中では懲罰を受けて、手首と足首を縛られてエビ反るような態勢にもさせられました。あれはきつかったのでは?

「足かせをされて両手も繋がれた状態で寝ていて、もう1人の役者さんは『痛い痛い!』と言ってましたけど、私は全然余裕だったんですよ(笑)」。

――バレエをやっていて体が柔らいから?

「そう思って『あっ、バレエをやっていたからだ』と言ったら、監督がふざけて『このシーンのためにバレエ経験があるからキャスティングしたんだよ』と言ってきて、『エーッ!?』と(笑)。現場は和気あいあいとしてました」。

――重苦しい映画ですが、合間は引きずったりせずに?

「みんな切り替えて、お菓子を食べたりしてました。でも、看守と囚人に分かれてしゃべっていると、そこは役を引きずっていて面白いと思いました」。

――マリを監獄実験から助けようとするお姉さんを演じたのが板野友美さん。AKB48時代から見たりしてました?

「小学校、中学校と運動会や文化祭で踊っていたのがAKBさんの曲で、その神7だった板野さんじゃないですか。『あっ、ともちん……』みたいな感覚で、お姉ちゃん役をやってくださって、すごく光栄でしたし、ドキドキもしました。私たち世代のスターですから」。

――演じているときは、お姉さん感もありましたか?

「板野さんは実際に妹さんがいらっしゃるそうで、『感覚がわかる』って話し掛けてくださったりしました。姉妹愛は出せたと思います」。

――「プリズン13」では理性を失った人間たちの悪意が溢れて、監督も「笑う人と吐く人が半分も出れば成功」とコメントしてます。真由さんは女優として、この映画の意義をどう捉えてますか?

「いろいろな作品がある中で、こういったテーマに率先して取り組めたのは良かったと思います。私も役者をやってなければ、こういう顔は出せませんでした」。


――今年は出演映画の公開が相次いで、ドラマ出演も続いてますが、ちゃんと寝られてますか?

「皆さん、心配してくださいますけど、めっちゃ寝てます(笑)。ちゃんと切り替えてオン・オフはあるし、もっと忙しくなりたいです」。

――オフではどんなことをしてます?

「友だちに会ったりしています。同業だと、お仕事の話で『そう、そう』って共感し合えるし、親友と話すと、今の大学生がどういうものかわかります。同じ年でも、やってることや置かれた環境によって違うのは、『プリズン13』のような芝居にもつながるかなと思います。だから、友だちと会う時間は大切にしています」。

――この秋にやりたいことはありますか?

「秋ではなくても、車の免許を取りたいです。バイクの免許は持ってますけど、車の免許を取った友だちが多くて、私も空いてる時間でチャレンジしたいなと思います。もしかしたら運転が良い息抜きになるかもしれないので、ドライブするのが目標です」。

――教習所に通ったら、スラスラ運転できそうな気はします?

「どうなんですかね? ゲームの『マリオカート』はだいぶ苦手です。だいたい池に落ちて飛ばされるので、実際に運転するときは池に気をつけたいです(笑)」。


 
 


 
 

堀田 真由(ほった・まゆ)

生年月日:1998年4月2日(21歳)
出身地:滋賀県

 
【CHECK IT】
2015年にドラマ「テミスの求刑」(WOWOW)でデビュー。主な出演作はドラマ「わろてんか」(NHK)、「チア☆ダン」(TBS系)、「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)、映画「虹色デイズ」、「36.8℃ サンジュウロクドハチブ」、「あの日のオルガン」など。ドラマ「べしゃり暮らし」(テレビ朝日系/土曜23:15~)、「坂上どうぶつ王国」(フジテレビ系/金曜19:00~)に出演中。映画「プリズン13」は8月30日(金)よりシネマート新宿・心斎橋ほかにて公開。9月6日(金)公開の「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」、10月25日(金)公開の「超・少年探偵団NEO -Beginning-」、「108~海馬五郎の復讐と冒険~」、11月15日(金)公開の「殺さない彼と死なない彼女」に出演。
詳しい情報は公式HPへ

 
 

「プリズン13」

詳しい情報は「プリズン13」 公式サイトへ
 
 

 
 

 
 

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