LIVE REPORT はちみつロケット

PHOTO=HIROKAZU TEXT=小山内凛

 
 

はちみつロケットワンマンライブ
「H.R.Black&White〜光のスウィートカーニバル〜」
@Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

 
 
 11月26日、「H.R.Black&White~闇のダークフェスティバル~」と題して行われたワンマンライブでは、仮面+全身真っ黒な衣装に身を包み、ダークでミステリアスな世界観を演出。衣装だけではなくセットリストやステージ照明、そして表情やダンスまで、すべにおいて普段のはちみつロケット(以下、はちロケ)からは想像しがたい、今まであまり見せたことのないような“クールでカッコいい”に特化した公演が行われた。
 そして、翌日の11月27日。この日の公演は「闇のダークフェスティバル」とは真逆で、「H.R.Black&White~光のスウィートカーニバル~」と題されていた。前日の公演が「Black」なら、この日は「White」。黒と白。「闇」があれば「光」が存在する。真逆でありながらも表裏一体。はちみつロケットというひとつのグループの中に、同時に存在する「闇」と「光」。前日に精一杯の「闇」を表現した彼女たちが、いったいどれほどまでのまばゆい「光」を表現するのだろうか。とはいえ、普段のはちロケが「光そのもの」と言えるくらいの明るく元気なグループだけに、「闇のダークフェスティバル」でいつもとのすさまじいギャップを見せてくれたがゆえ、どうしても「光」が霞むのでないか……。そのような一抹の不安を抱えたまま開演を迎える。

 しかし、そんな不安は一瞬で杞憂に終わった。SEが終わり、「おかしなわたしとはちみつのきみ」の衣装をアレンジしたピンクとグリーンのファンシーな衣装を着て、満面の笑顔でステージ上に現れた7人は、あまりにもかわいすぎた。つまるところ、昨日感じた“普段とのギャップ”以上に、“昨日とのギャップ”をこのとき感じたのだった。その“ギャップの上書き”があったがゆえ、霞むどころか、より神々しく7人が光り輝いて見えた。華山志歩はゴリッゴリに高い位置でのいわゆる“アイドルツインテール”、森青葉はイマドキJK風のゆるふわ巻き巻きヘアーをするなど、全員がすべての指先、いや、髪の毛1本1本にまで“かわいい”を行き渡らせていた。
 脳内が100%“かわいい”で埋め尽くされた状態で観る「おかしなわたしとはちみつのきみ」は圧巻。続く「放課後リフレイン」は青春ソングにもかかわらず、それと同等か、それ以上にしつこく飛び込んでくる“かわいさ”があった。普段から変わらずやっている「このトキメキ、チョークで書こう」という歌詞での、チョークで空中にハートを描く振り付けも、この日は心なしかハートが大きく感じられた。

 最初のMCでは、自己紹介と合わせて「最近やったかわいいドジ」を1人ずつ披露。「ヒートテックを着ようとしたらタイツに袖を通していた」と話す雨宮かのん、「友だちの名前を呼ぼうとしたらママと呼んでしまった」と話す華山、「ストレートアイロンを髪にかけていたら電源がオフになっていた」と話す公野舞華、「肉まんをひと口パクリと食べて『なんか固いな〜』と思っていたら紙まで食べていた」と話す塚本颯来、「くつ下を脱いで洗濯機に入れようと思ったら生ゴミのゴミ箱に入れてしまった」と話す播磨怜奈、そして「寝る前にお母さんに『おやすみ』と言おうとしたら『ごちそうさま』と言ってしまった」と話す森。パフォーマンスだけではなくエピソードトークまでかわいいときたら、もうこれは非の打ちどころがない!
 なお、この日の公演タイトルが「カーニバル」ということで、澪風が「フェスティバルは見て楽しむお祭りだけど、カーニバルはみんなも歌って踊って参加するお祭りになっています!」という説明をしていたことを付け加えておこう。

 その後、ステージ上に並んだイスに座り、「お願いメテロティス」をアコースティックバージョンで披露。はちロケの楽曲の中でもとりわけドラマチックでエモーショナルあふれる同楽曲を、アコースティックギターのサウンドに乗せて、しっとりと、そしてしっかりと歌い上げる。グループでも随一の歌唱力を誇る塚本の歌声が、いつにも増して伸びやかに響き渡った。そのテンションのまま、バラード曲である「夜空にきらめく花」をしっとりと、そしてじっくりと歌い上げた。

 次に披露したのは、みんなが大好きな「バカイズム」。それまでの2曲とは打って変わって、ポップかつ愉快な楽曲で、「馬鹿になろう」という歌詞のとおりフロアはお祭り騒ぎ状態に……。ここから、先のMCで出た「カーニバルはみんなも歌って踊って参加するお祭り」という言葉が本格的に意味をなしてくる。
 7曲目には新曲の「WHITE☆FIGHTER」を披露。明るくてポップなだけではなく、重厚なロックサウンドに乗せたパワフルで軽快なメロディーは、明らかに「ほら、もっと盛り上がっていいんだぜ!」と言わんばかりにファンの“騒ぎたい心”をくすぐる。初披露の曲にもかかわらず、曲の後半には完全にフロアの大半が騒ぎ切っていた。この時点で、会場中のギアはもうほぼフルスロットル。続く「かまわないさ」のサビでテンポアップしていくたびに、全席指定とは思えないほど熱量が上がっていった。

 後半戦、ラストスパートに差し掛かる前に、塚本が「アリーナ盛り上がってるぅ!」というあゆ(浜崎あゆみ)ばりのクセが強すぎるコール&レスポンスで会場を温める(※当会場にアリーナは存在しません)。

 まずは「走れ! Fit’s ver.」で会場がひとつになったところで、この公演のさらなるギミックパートに突入。続く11曲目は、タイトルにちなんでナオト・インティライミの「カーニバる?」。12曲目は、若者の間で大流行したヤバイTシャツ屋さんの「あつまれ!パーティーピーポー」。なんと、2曲をカバーしたのだ。これ以上ないくらい「カーニバル」にぴったりの選曲。とりわけ「あつまれ!パーティーピーポー」のお決まりのフレーズ「えっびっばーっでぃっ!」では、ファンの声量と一体感がこの日いちばんだった。一瞬、会場がオールスタンディングのライブハウスに見えたが、幻だったのだろうか……。
 MAXハイテンションのまま「ハニートランポリン」でひたすら跳び続け、最後の「MOTTO MOTTO!!」で全力を使い果たし本編は終幕。客席からは息が上がっている様子がうかがえたが、そんなことは「かまわないさ」と言わんばかりに間髪入れずアンコールが発動。今日ここで燃え尽きてもいい。とにかく今を楽しむんだ。そんな天の声が聞こえて来そうなほどだった。

 アンコールを受けて再度ステージに立ったはちロケは、2019年4月6日にZepp Tokyoでワンマンライブを行うことを発表。メンバーの雨宮・華山・澪風・公野・森・塚本と会場中が歓喜の渦にまみれている中、メンバーで唯一そのことを知らされていなかった播磨は、驚きの声を上げながら涙を流す。まさかの「播磨だけにサプライズ」だったようだ。
 メンバーからの挨拶では、7人それぞれが素直な思いを語った。森は「今のままだと前の3列くらいしか埋まらないと思うので、私たちのことを好きになってくれる人が増えるようにSNSとかレッスンを頑張って、Zepp Tokyoを絶対に埋めます!」。
 播磨は「サプライズってすごくびっくりするんですね。でもサプライズってやっぱり嬉しいじゃないですか。今度は私たちが皆さんをびっくりさせたいと思います!」。
 塚本は「どれだけこれから会場が大きくなっても、私たちは皆さんのことを見ています。だから、目を離さないでくださいね!」。
 公野は泣きながら「『頑張れ!』というひと言だけでも頑張れます。Zeppは不安でしかないけど、埋めたいから、いつも以上にこれからは『頑張れ!』と言ってください」。
 華山も泣きながら「ケガをしてレッスンを休んでいる期間、みんなに置いて行かれるんじゃないかって思ったらすごくすごく辛かったんです。でもライブしていたら、全然ケガしてないんじゃないかっていうくらい楽しくて……。みんなからの応援で力がみなぎってくるんだなってあらためて実感しました」。
 澪風は「私みたいな脳筋だからこそできること、それだけじゃなくて脳筋には難しいんじゃないかっていう頭を使うこと、なんでもなんでも挑戦していきます」。
 そして、最後にリーダーの雨宮が珍しく涙を見せながら「この2日間は本当にライブが楽しくて……。アイドルでよかったなって思いました」と語った。

 「終わりたくない〜」というムードの中、森が諭すような口調で「みんな。出会いがあれば別れがある。始まりがあれば終わりがある」とまとめ、「フレンドリーム」を歌唱。挨拶時に涙を流していた華山や公野がまた感極まって涙を流すシーンも見られ、感動的な空気に包まれたまま再び舞台袖へ消えて行った。
 その後もアンコールの声が止まることはなく、それに応えて三たびステージに登場した7人。Wアンコールとして、この日2度目の「WHITE☆FIGHTER」を歌い、会場中に笑顔の花を咲かせた。

 冒頭にも述べたように、「闇」と真逆の「光」を題した当公演。開始当初は、“かわいさ”こそが最大の「光」かと思わされたが、そうではなかった。バラードをしっとりと歌い上げて聴かせる“エモさ”、叫んだり跳ねたりと観客が能動的にライブに参加したくなる“楽しさ”。あらゆる要素が「光」を表現していたのだ。
 そして何より、このライブを通して感じた。彼女たちのライブには嘘偽りがないことを。ライブ中に見せる笑顔は100%本物の笑顔だった。結成当初、何人かのメンバーがよく口にしていたのが「笑顔を作るのが苦手なんです」という言葉だ。どのアイドルにもありがちな悩みである。しかし、すでに彼女たちには笑顔を“作る”という概念が存在していない。心の底から楽しくて笑顔になる。それが、メンバー全員できていたのだ。嘘偽りのない笑顔。それこそがはちみつロケットでいちばん明るい「光」なのではないかと感じた。
 Zepp Tokyoという高い壁がそびえ立ったが、彼女たちが放ち続ける「光」があれば、何も怖いものはない。その壁に小さな風穴さえ開ければ、自然と「光」は広がっていく。そしてその「光」が、大きな未来を明るく照らしてくれるだろう。
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
【セットリスト】
SE. THE LAUNCH
M1. おかしなわたしとはちみつのきみ
M2. 放課後リフレイン
M3. お願いメテロティス
M4. 夜空にきらめく花
M5. バカイズム
M6. 花火と漫画とチョコと雨
M7. WHITE☆FIGHTERS
M8. かまわないさ
M9. ギリギリサマー
M10. 走れ! Fit’s ver.
M11. カーニバル?(ナオト・インティライミ)
M12. あつまれ!パーティーピーポー(ヤバイTシャツ屋さん)
M13. ハニートランポリン
M14. MOTTO MOTTO!!
<アンコール>
M15. フレンドリーム
<Wアンコール>
M16. WHITE☆FIGHTERS
 
 

 

 

 

 

 

 

 
 
【CHECK IT】
2019年4月6日(土)にはちみつロケットワンマンライブがZepp Tokyoにて開催。配信限定シングル「Naked Love」、「WHITE☆FIGHTERS」が配信中。毎週水曜19時から、WEB配信番組「はちみつロケットの8時まではちロケ丼」を放送中。
詳しい情報ははちみつロケット 公式サイトへ