PICK UP ACTRESS 浜辺美波
PHOTO=mika INTERVIEW=斉藤貴志
青春麻雀映画「咲-Saki-」に主演
原作再現率の高い雀士ぶりに注目
――写真の撮影中にスタッフから「かわいい!」という声が相次いでいましたが、美波さんはそういうの、いつも言われているでしょうし、ぶっちゃけ聞き飽きていたり(笑)?
「違います(笑)。たまにそう言っていただきますけど、なんて返したらいいかわからないから、聞こえていない振りをしています(笑)。もちろん、うれしいですけど」。
――主演映画の「咲-Saki-」ですが、原作の麻雀コミックは知ってました?
「名前だけ存じ上げていて、読んだことはなかったです」。
――マンガ自体は読むほうですか?
「たしなむ程度ですけど、とても好きで読ませていただいてます。少年マンガが好きで、戦う系の王道が多いです」。
――「咲-Saki-」も麻雀で戦うお話ですが、麻雀の経験はなかったですよね?
「そうですね。ルールもわからなかったし、触れる機会はありませんでした」。
――今回、ルールを覚えるのは大変でした?
「基本のルールは本を読んだだけでも、わかりやすかったです。三つ、三つ、三つ、三つ、二つを集めるだけで。そこは簡単で、役の名前とかがちょっと難しかったですね」。
――咲が対戦相手に「麻雀って楽しいね」と言うシーンもありますが、実際その楽しさがわかるくらいまでになりました?
「はい。ゲームができるようになってからは楽しくて、共演のみんなで撮影の合間にやったり、アプリでオンライン対戦もしていました」。
――麻雀のどんなところが楽しいと?
「やっぱり勝ったときのうれしさが、やり続ける一番の理由です。本気で戦って、たくさん考えて、勝つまでに結構時間がかかって。その分、負けたときは悔しいけど、『もう一回! 次は勝つ!』ってなるのが、楽しいところだと思います」。
――そう言えば共演の浅川梨奈さんを取材したとき、「美波ちゃんは負けるとすごく悔しがって『もう一回!』と言うのが印象的」と話していました。
「いやぁ……(笑)。浅川さん、強いんですよ。私は負けて悔しいのを表に出さないようにしていたんですけど、バレてたんですね」。
――それくらい悔しかったんですか?
「そうですね。麻雀の練習ということで勝ち負け関係なくやっていたのに、浅川さんが本気を出してくるんです(笑)。だから、みんなも『勝とうかな』となって、結局は負かされるので、本当に悔しかったです。普通、最後は自分の牌を見せるのに、絶対に隠していました(笑)」。
――麻雀って性格が出ると思います?
「思います。私は特に、すぐリーチをかけるので。高い点数に持って行かないのが、普段とちょっと似ているかなと思います。逃げ切りたい、早く終わらせたい……というのが」。
――普段だと、それが出るのは……。
「たとえば宿題とか、苦手なものを先にやりますね。パーッと調べておいて」。
――「咲-Saki-」では原村和役の浅川梨奈さん(SUPER☆GiRLS)、片岡優希役の廣田あいかさん(私立恵比寿中学)とアイドルとも共演して、女優との気質の違いは感じました?
「現場で女優さんばかり集まると、ちょっと静かになりがちですけど、アイドルの2人は最初からテンション高く入ってくださったので、仲良くなりやすかったです。空気を作ってくれて、みんながしゃべりやすい雰囲気になって、すごくいいなと思いました。協調性があるというか、集団に慣れている感じがしました」。
――そのなかで、主役の美波さんは座長意識も?
「最初に監督に『座長だよ』と言われて、すごくうれしかったのと、初めてだったのでどうすればいいのかなと。結局は支えていただく形になりましたけど、最後に『どこか意識が変わったよ』と言っていただけて、『やっぱり変わったのかな?』と今は思っています」。
――どこが変わったかを自覚したわけではなく?
「もちろん精一杯やりましたけど、何か特別なことをしたわけではなかったから。でも、作品に対する思い入れはより強くなりました」。
――撮影に向けて、普段から牌を持ち歩いたりもしたそうですね。
「してました。14個くらい牌をいただいて。特に私はカッコよく打ってキメるのが苦手だったので、移動中や空いている時間に牌に触っているようにしました」。
おっちょこちょいなのは役と似ていて
撮影中も転んでアザができました(笑)
――アニメを実写化したドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」でヒロインのめんまを演じたときは、こういうケースで珍しいくらい、原作ファンに「イメージ通り」と絶賛されましたが、今回も原作の咲に近づく努力は相当したんですか?
「やっぱり原作があるものは近づけたいと思います。咲ちゃんのキャラクターは他のみんなに比べると薄いんですけど、つかみどころのない感じを少しでも表現できたらいいなと、コミックを見させていただきました」。
――「つかみどころのない感じ」をつかむのは難しかったのでは?
「とっても。最初は本当に全然つかめなくて、咲ちゃんの天然な部分とか『なんでそうなるの?』って理解できませんでした。でも撮影に入る前、2ヵ月間のリハーサルがあって、浅川さんたちとも合わせてやらせていただいたので、距離感は結構つかめてきました。監督とも話して『ここはこういう感じがいいのかな』と、だんだんわかってきました」。
――仕草とかで咲っぽさを意識したところもありました?
「私から見ると、咲ちゃんは危なっかしいくらいおっちょこちょいなところがある子で、そこは大切にしつつ、意外と自分と似ている部分だったので楽というか、そのままでやれたかなと思います」。
――美波さんもおっちょこちょいなんだ。
「原作で咲ちゃんは“よく転ぶ”設定があって、そこは本当に私と同じでした。この撮影中も何回か転んで、アザを作っちゃって。確か指切りのシーンで、コンクリートのところで普通にコケて痛かったり(笑)。普段もよく階段から落ちたりします。先月は2回ぐらいやっちゃって、すごい青アザができて。最近そういうことが多くなったから、運動を始めなきゃと思いますけど、咲ちゃんの動きの感じは、自分のままで似ていた気がします」。
――クライマックスの対局シーンでは、出来上がった長い役を言う台詞もありましたね。「ツモ! 清一色(チンイツ)、対々(トイトイ)、三暗刻(サンアンコウ)……」とか。
「キメのカッコいいシーンだったので、何度もやらせていただきました。私が台本で読んで練習していたのとイントネーションや区切る箇所が全然違っていて、何度も直していただいて。でも本番は、監督が1テイク目を大事にされる方だったから、全部基本的に一発でした。勢いでやらせていただきました」。
――咲と和が手をつないで眠るシーンは、女の子同士ではあることですか?
「私は寝るときは1人がいいので(笑)、あまりないですけど、不安な気持ちのときに『頑張ろう!』とハグしたりは最近よくあります。ああいう友情の感じは、本当に素敵だなと思いました。演じていても楽しくて、浅川さんと『こうしたほうがいいんじゃない?』って手の握り方を何回も変えてみたり、ハイタッチで手を握るところも、『どっちが下がいい』とか角度とか、2人でちょこちょこやっていました」。
――今回は主題歌の「きみにワルツ」も清澄高校麻雀部として歌っていますが、美波さんは歌のほうに興味は?
「よく聴くし、歌うのも好きです。カラオケはみんなで行ったり、1人で行ったりもします」。
――どんな曲を歌うんですか?
「ランキングの上位からバーッと歌っていくので、いつも歌う曲とかは特にないですね」。
――PVの撮影も新鮮でした?
「カメラ目線で歌いながら撮るのは初めてで、とても勉強になりました。撮り方がわからなかったから、最初にぁぃぁぃ(廣田)と浅川さんのを見て『ああいうふうにやるんだ』と取り入れさせていただいて。カメラ目線だけではなく、目線を外すのもテクニックなんだとか、わかりました」。
――「咲-Saki-」の撮影からは時間が経ちましたが、今も麻雀をすることはありますか?
「牌に触ることは少なくなりましたけど、麻雀ゲームは今でも結構やりますね」。
――他に趣味はあります?
「マンガや本を読むことと、寝ることが趣味です。お休みの日はずっとゴロゴロして、昼寝もしたり。あまり外には出ません。寝ても8時間ぐらいですけど、ちょいちょい起きて、ごはんを食べて、また寝たりするのを、1日に何回も繰り返します」。
――休日はわりとダラダラなモードで(笑)。改めて、ドラマから映画と「咲-Saki-」に主演して、自分のなかでどんな収穫がありました?
「リハーサルから監督に、眉が動いちゃうとか表情のクセを全部直していただきました。そういう基本的なことをする機会がなくなっていたのでありがたかったし、一番大事な時期にいろいろなことを教えていただけて良かったと思います」。
浜辺美波(はまべ・みなみ)
生年月日:2000年8月29日(16歳)
出身地:石川県
血液型:B型
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2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞。これまでの主な出演作は、映画「逆転裁判」、「エイプリルフールズ」、「映画 妖怪ウオッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!」、ドラマ「まれ」(NHK)、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(フジテレビ系)、「無痛~診える目~」(フジテレビ系)など。主演映画「咲-Saki-」は2月3日(金)より公開。7月28日(金)より公開予定の映画「君の膵臓をたべたい」に主演。
詳しい情報は東宝芸能 公式HPへ
映画「咲-Saki-」
2月3日(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国公開
(C)小林 立/SQUARE ENIX・「咲」プロジェクト