PICK UP ACTRESS 南乃彩希
PHOTO=草刈雅之 INTERVIEW=斉藤貴志
伝説的舞台の12年ぶりの再演に
オーディションで選ばれて出演
――12年ぶりの再演となる舞台「シブヤから遠く離れて」への出演は、オーディションで決まったんですか?
「そうです。お仕事に復帰してから初めてのガッツリお芝居させていただくオーディションで、すごく緊張したのを覚えています。5人ずつ演技させていただいて、私は5番目だったんですけど、『次は私だ……』というプレッシャーをあんなに感じたオーディションは初めてでした」。
――彩希さんは舞台は初めてですよね?
「はい。事務所の先輩方の舞台を何度か観させていただいたんですけど、自分にとっては未知の世界すぎて。やってみたい気持ちはあっても、想像つかなかったです」。
――お客さんの前で生で芝居するのが、映像とは違うから?
「そうですね。ドラマや映画の撮影ではカットが入るから、続けて演技するのは長くて5分とかじゃないですか。舞台では一気に1時間、2時間とやるので。自由にできる面もありますけど、台詞が飛んでしまう可能性もあるから、不安ではありますね」。
――前回は蒼井優さんが演じたトシミの役で。
「田舎から出てきた女の子で『なめられたくない』という気持ちが強くて。頑固なところもあれば、よく空想をしていたり。口が達者でブワーッとしゃべって、純粋でかわいい子なので、演じるのは楽しいですね」。
――12年前の舞台もDVDとかで観たんですか?
「一度、観させていただきました。でも、あまり観すぎたらいけないと思って。蒼井優さんが演じられたのを自然にマネしちゃいそうで、自分らしくできなくなる気がしたんです」。
――難しい話だとは感じませんでした?
「難しいです。初めて台本を読ませていただいたときは、内容が全然つかめなくて。何度も読んでいたら、だいたいの話の流れはわかってきましたけど、それでもまだ難しい部分がたくさんありますね」。
――現実と虚構が交差している感じなんですよね?
「けっこうゴチャゴチャしてます。村上虹郎さんが演じるナオヤが特に現実と空想が入り混じっていて、現実のなかでも頭が空想に行ってたり。どこが切り替わる瞬間なのか難しいので、稽古をしていくなかで(作・演出の)岩松(了)さんにどんどん聞ければと思います」。
――そんななかでも、トシミはニュートラルな立ち位置のようで。
「一番何も知らない女の子です。他の人は全員、何かを隠していたり、背負っているものがあるけど、トシミだけはまっさら。だから、どんどん攻めていこうかなと思います」。
――稽古に入る前に準備したことはありました?
「あまり自分で作りすぎるとクセがついちゃう気がしたので、とりあえず台詞を完璧に覚えて会話はちゃんとできる状態にして、そこからどんどんアドバイスを受けて変わっていけたら」。
――発声練習とかは?
「何度かボイストレーニングに行かせていただきました。やっぱり声の出し方も違うから、人一倍わからなくて。大きな声を出すように言われたら、どんどん出すようにしていきます」。
――彩希さんの世代だと、共演する小泉今日子さんにはどんなイメージがあります?
「憧れの存在ですね。ドラマもよく観させていただいたし、歌もカラオケでよく『学園天国』を歌うので」。
――彩希さんが生まれる前の曲なのに?
「みんなで絶対に歌って盛り上がるし、私のiPodにも入れてます」。
――舞台のタイトルに入っているシブヤ(渋谷)には、よく行きますか?
「お仕事の待ち合わせとかでは行きますけど、プライベートではあまり。原宿に行くときはあっても、渋谷にはなかなか足が向きません。原宿も毎週行くわけではなくて。地元は横浜のほうに近いので、原宿はたまにみんなと週末に行くぐらいです」。
――学校のほうでは、2学期に行事とかはありました?
「文化祭がありました。でも、何も出ていません。私たちのクラスはおばけ屋敷をやるつもりが、抽選で負けて飾り付けになっちゃったんです」。
――それは残念でしたね。
「だけど他のクラスを周れたから、けっこう楽しかったです。友だちとおばけ屋敷にも入りました。私、みんなで行くとなったらノリで入っちゃうタイプで、実はおばけ屋敷はすごく苦手。本気で叫んでいた気がします。『やめてー!!』みたいな。今年はちゃんと最後まで行きましたけど、去年は友だちと2人だけで入って、怖すぎて途中退場しました(笑)」。
――文化祭で教室にあしらえたおばけ屋敷でも。
「意外とクオリティが高いんです(笑)。声がしたり、上から何か落ちてきたり、何かが追い掛けてきたり。すっごい怖かった。苦手なんですよね……」。
スポーツでは本番に強かったので
舞台にも”無”になって立ちます
――今年もあと1ヵ月ほどになりましたが、振り返ると、来年公開の映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」の撮影でアメリカに行ったんですよね?
「はい。私自身アメリカは初めてで、普通は経験できないことをたくさんさせていただきました。アメリカでお仕事すること自体がそうだし、勉強になることもすごくあって、日本にはない景色も見られて。でも帰ってきて、食事は日本が一番、私に合っているなと思いました(笑)」。
――向こうではぶ厚いステーキとかを食べたんですか?
「いろいろ食べました。メキシコ料理や台湾料理も。ハンバーグやブリトーもいただいて、おいしかったんですけど、すごく大きくて。Sサイズを頼んだのに、日本のLぐらい。ポテトも山盛りなんですよね。せっかくなので、全部食べましたけど(笑)」。
――チアダンスも相当練習したと聞きましたが、彩希さんは経験者で楽だったり?
「いや、私がやっていたのはチアリーディングで、チアダンスとはまた全然違うんです。私のイメージで言うと、野球とサッカーぐらい違います」。
――そんなに?
「共通点は踊ることぐらい(笑)? ラインダンスはチアリーディングではやらないし、チアリーディングはアクロバティックで、チアダンスはターンやジャンプがあって。履く靴も違うんです。チアリーディングは本当に“シューズ”という感じ。チアダンスはジャズシューズみたいな」。
――レッスンでは体もキツかったのでは?
「すっごい動いたので筋肉痛になりました。みんなも『体が痛い』と言っていて。アメリカに行っても、いつでもどこでも練習。撮影期間中もずーっと踊ってました。撮影が終わった後から練習、という日もあってハードでしたね。足腰は常に痛かった気がします」。
――階段を上るのも大変だったり?
「はい。ちょうどその頃、部活のダンス部でも踊っていたので、チアダンスの練習期間中は午前中に部活でダンス、午後から映画用のダンスをして、1日じゅう踊っていたときがずーっとありました。その頃が一番、体は大変でしたけど、無敵だったなと思います(笑)」。
――若さのパワーですね。
「でも家に帰ったら、お風呂のなかで寝ちゃって、ベッドに入った瞬間、30秒ぐらいで爆睡してました」。
――今みたいな冬場はどう過ごしていますか?
「寒いのがすっごい苦手です。夏は代謝がいいので汗をずーっとかいてますけど、冬はホカロンを体じゅうに貼って、ポケットにも2コ入れてます。人一倍、寒がりで。でも、季節で冬が一番好きなんですよ(笑)」。
――どういうところが?
「行事がたくさんあるのも好きだし、夏は友だちとも『暑くてベタベタするから寄るなー!』とかあるじゃないですか。冬はみんなでマフラーをして『寒~い!』と言いながらハグし合うのが、何か好きなんですよね」。
――青春の光景ですね。行事だと盛り上がるのは?
「大晦日は必ず家族で過ごすと決めています。1日は親戚全員で集まって箱根の温泉に行って、みんなで『あけましておめでとう』と言うのが毎年の恒例です。2日か3日には初詣に行きます。今年は自分が何をお願いしたのか忘れちゃいましたけど(笑)、来年は絵馬に書いて覚えておくようにします」。
――クリスマスはどうですか?
「大好きです。去年は確かイブに部活があった気がします。でも、みんなで赤か緑かどっちかのTシャツを着て、チアでクリスマスツリーを作りました。25日は友だちと出掛けて、パンケーキを食べたかな」。
――今年はクリスマスも舞台ですね。
「ちょうど25日が千秋楽です。自分自身を変えて、1年を締めたいと思います。とにかく稽古で吸収できるものは何でも吸収したいです」。
――初の生の舞台ですが、本番には強いほうですか?
「スポーツをやっていたときは、本番にはわりと強いタイプでした。イメージトレーニングをしても、いつも失敗することを考えちゃうので、何も考えず無で『よし!』という感じで行ってます。舞台でもそうなれたらいいなーと思います」。
南乃彩希(みなみの・さき)
生年月日:1999年4月27日(17歳)
出身地:神奈川県
血液型:B型
【CHECK IT】
小学6年のときに地元の夏祭りで、事務所の先輩の北乃きいがスカウト。2012年にドラマ「悪夢ちゃん」(日本テレビ系)で女優デビュー。主な出演作はドラマ「コドモ警視」(TBS系)、「激流~私を憶えていますか?~」(NHK)、「天誅~闇の仕置人~」(フジテレビ系)。他にCM「Fit’s」(ロッテ)、「東進ハイスクール」(ナガセ)など。初舞台「シブヤから遠く離れて」は12月9日(金)~25日(日)にBunkamuraシアターコクーンにて上演。映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」が2017年春に公開予定。また、「ミスセブンティーン2016」を受賞して、「Seventeen」(集英社)の専属モデルも務めている。
詳しい情報は公式HPへ