PICK UP ACTRESS 大幡しえり
PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志
「仮面ライダージオウ」でヒロイン
未来から来た少女役で劇場版も公開
――「仮面ライダージオウ」の放送が始まってから、反響の大きさを感じることはありますか?
「撮影の現場で『ツクヨミだ!』って子どもたちの大きい声が聞こえて、手を振るとすごく喜んでもらえたり、握手を求めてくれたりするので、すごくうれしいです」。
――街で声を掛けられることも?
「それはまだないです。普通に外出するときは髪を縛ったり眼鏡をかけたりするので、この白い衣裳じゃないとツクヨミっぽくないのかなと思います」。
――オーディションを受ける前は「仮面ライダー」にどんなイメージがありました?
「男の子が大好きなヒーロー、という感じですね。私は小さい頃は『プリキュア』を観ていたので、男の子は『仮面ライダー』で女の子は『プリキュア』というイメージでした。でも、『(仮面ライダー)電王』は観たことがあります」。
――シリーズの中でも人気の高い作品でした。
「私は(ヒロインの)ハナが好きでした。ネットで『ツクヨミはハナとちょっと似てる』みたいなコメントがあるとうれしいです。『ジオウ』も『電王』もタイムトラベルものなので、そこも共通点ですね」。
――「ジオウ」は歴代の平成仮面ライダーの世界に関わる物語。改めて過去のシリーズを勉強したりもしました?
「『(仮面ライダー)エグゼイド』を観ました。3・4話でご一緒すると聞いたので。テレビで見る変身と生で見る変身は全然違うと、現場で思いました。永夢先生の大変身がすごくカッコ良くて、ファンの方が『キャーッ!』となるのがわかった気がします。生とモニターで繰り返し見ていて、私もずっと『カッコイイ!』と言ってました(笑)」。
――ツクヨミは2068年の未来から来た少女ということですが、オーディションではどんなことをしたんですか?
「普通に台本をいただいて演技をしました。その台本ではクールでお姉さんっぽい感じの役だったので、撮影が始まってからのツクヨミのキャラクターと同じでした」。
――最初から自分に合う感じはしました?
「受かる自信は全然なかったんですけど、作りやすい部分はありました」。
――しえりさんもクールだから?
「私は全然クールじゃないです(笑)。周りの方に聞いても『ツクヨミとキャラが違うよね』と言われます」。
――じゃあ、ツクヨミを演じるときは普段のしえりさんと変える部分も?
「落ち着きがあって動じない感じなので、声は低めに出すようにしています。今でも1話の『私がツクヨミ』という台詞を言って、あのときの声の出し方を思い出してから現場に出ることが多いです。『今日は声がちょっと高いな』と思ったとき、その台詞を言ってみると、『やっぱり高かったな』とわかったりするので、直します」。
――クールさはどう出してます?
「現場でワチャワチャしないようにしています(笑)。ツクヨミは順一郎さんに未来から来たことを悟られないように慌てたりもしますけど、基本落ち着いているので、あまり過剰な反応をしないように気をつけないといけないんです。冷静さを保ち続けるから、集中力が要るんです」。
――役作りのために未来予測の本を読んだそうですが、役に立ちました?
「それが思っていたのと全然違っていて……(笑)。AIやロボットなど、いろいろなことが書かれていたんですけど、50年後の未来にタイムマシンができているとは、どこにも出ていませんでした。だからツクヨミがいた未来は、現実的に言えば50年後ではなくて、何百年先のことなのか想像もつきません。1話や2話でタイムマジーンを起動させるときに聞き慣れない言葉が出てくるので、使いこなすのが大変でした。でも、本を読んで『こういう未来もあるのかな』と、ひとつの参考にはなったと思います」。
――撮影の中で特撮ならではと思うのは、どんなところですか?
「CGは経験なかったので、グリーンバックで撮ると初めは感覚がわかりませんでした。相手の攻撃が来てないのに避けるときに、何がどのくらい、どんなスピードで来るのかイメージしないといけなかったりするんです。想像力がすごく大事だと思いました」。
――劇場版の「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」でも、タイムマジーンのコックピットのシーンがありました。
「外で戦うときとタイムマジーンで戦うときで現場が違うので、状況は説明されても、やっぱり自分の想像力で補わないといけないので大変です。タイムマジーンのシーンは、いきなりやられてピンチのところからスタートすることが多くて、イメージを作っておかないといけないから、エネルギーを使います」。
――ジオウやアナザーライダーを間近で見ると?
「テレビで見たときより大きく感じました。画面では迫力があっても、そんなに動いてない印象だったのが、現場で実際に見ると、重い装備なのにめちゃくちゃ動いていて、ものすごくハードだと思いました。終わったあとのスーツアクターさんは汗がすごいです。初めて見たときはビックリしました」。
――ツクヨミも体を張る場面がありますよね?
「1・2話で銃とかのアクションシーンをやったあとは、今のところそんなにないので、もっと挑戦したい気持ちはあります」。
――ジムに通ってアクションの準備をしていたとか。
「ジムは今も通ってます。撮影で体力が必要なので、休みの日もリフレッシュを兼ねて走ったりもしています」。
――制作発表ではソウゴ役の奥野壮さんに「天然」と言われてましたが(笑)、現場で何かしたんですか?
「特に何もしてなくて、真面目なことを言ってる気がするんですけど(笑)、ちょっとヘンらしくて、よくイジられます。自覚はないのに『天然』と言われるので、いつも『私は違います!』と否定してます(笑)」。
――天然の人はそう言うみたいです(笑)。男性キャストが多い中で、馴染んではいるようですね。
「初めはすごく不安でした。メイクさんと衣裳さん以外、現場に女性がいないから寂しかったです。でも、撮影前に読み合わせやリハーサルでキャストの方々と何回か会って、ソウゴたちと4人でいることが多くなったので、だんだん打ち解けてきました。年も近いので」。
――今は居心地がいいと?
「はい。たまに敵のオーラ役の紺野彩夏ちゃんと会うと、女子トークがすごく楽しく感じます」。
映画はテレビシリーズと別人みたいに
ギャルっぽく演じたので楽しかったです
――劇場版ではツクヨミは記憶をなくして、普通の高校生になっています。
「テレビシリーズとまったく違う存在になっていました。いつもマントを付けていたのに、記憶をなくしてからはマントを付けていない制服姿なので、違和感を覚えました。自分でもビックリするほど、ツクヨミに慣れすぎていたみたいです。あと、映画では高校生として、自分の中でギャルっぽい女の子にキャラ設定したんです。ツクヨミは頭が良さそうなイメージがあるじゃないですか。いつもと違うほど面白いと思って、『テストヤバかった~』みたいな感じで演じたので楽しかったです。それを監督に採用してもらえました」。
――その辺のシーンについては、学園モノのノリだったわけですね。
「そうですね。衣裳もいつものツクヨミは黒のタイツを穿いていて、テレビシリーズでソウゴの高校に制服で潜入したときもタイツだったのが、映画では紺のハイソックスで、ネイルとかもまったく違います。本当に別の女の子になれた感じがしました」。
――カフェでジャスミンミルクティーを注文するシーンもありました。
「そう! 私、ジャスミンミルクティーというものを知らなかったんです(笑)。流行っているのかなと思って、友だち役の私より若い女の子に『飲んだことある?』と聞いたら、『おいしいですよ』と言われました。私には想像もつかない味で、流行はあっという間に去っちゃうから、JKってすごいなと思いました」。
――年齢はしえりさんもたいして変わらないじゃないですか。
「でも、そういう話を聞くと、『私の制服はコスプレになるのかな? 辛いな……』と、ちょっと思いました(笑)」。
――しえりさんはカフェに行くと何を飲むんですか?
「私は基本、アイスティーのストレートですね。最近は寒いから、ホットカフェラテを飲んでます」。
――他に劇場版の撮影で印象に残ってることはありますか?
「ツクヨミが記憶をなくしていたとき、ソウゴとゲイツに対して、すごくひどいことを言うんですよ。そこを撮ったあとの2人の表情が忘れられません(笑)。本心ではないので、すぐ『ごめんね』と謝りました」。
――そりゃ、台詞ですからね(笑)。
「現場では半分くらい、お会いしたことのないスタッフさんだったので、そのシーンでOKが出た瞬間、『本当のツクヨミはこんなキャラじゃないです!』って、めっちゃ弁解しました(笑)」。
――台本通りだったら、そんな弁解しなくていい気もしますが(笑)、ツクヨミを悪く思われたくない気持ちが強いんですか?
「何だろう? 『ヤバくない?』みたいな反応を感じたので、『やりすぎちゃったかな?』と思ったんです。『いつものツクヨミは違います!』と必死に伝えました」。
――劇場版では、それだけレアなツクヨミが見られるということで。
「そうですね。でも、ツクヨミよりソウゴが性格的に変わっているらしいです。私も現場は見てないんですけど。ゲイツもまったくキャラが違っていて、面白くなってると思います」。
――平成仮面ライダー20人が勢ぞろいするシーンは、現場で見られたんですか?
「見てないんです。だから、映画で観るのが楽しみ。台本を読むと、『ジオウ』を観ている人はもちろん、『(仮面ライダー)ビルド』だけ観ていた人も、その他の仮面ライダーのファンだった人も、どなたでも楽しめる気がします。平成ラストの劇場版にふさわしい作品じゃないかと思います」。
――「平成仮面ライダー20作記念」でもありますが、しえりさんも11月で20歳になりました。
「あまり実感はありませんでした。誕生日というものに、ワクワクを感じなくなっちゃったんですよ。20歳になるといろいろ解禁されることもありますけど、今の自分には必要ないと思ってます。大人としての責任が出てくるかな……というくらいですね」。
――自分が大人になってきた感じはしますか?
「しないです(笑)。『子どもっぽい』と言われます」。
――どんなところが?
「『声がすごく大きい』と言われます。もともと大きいのかもしれませんけど、ヒートアップすると、自覚はないのに、だんだん大きくなるみたいです。だから落ち着いて、普通のトーンでしゃべりたいです」。
――ツクヨミみたいにしゃべればいいのでは(笑)?
「それが、ワチャワチャしちゃうので(笑)。全体的に落ち着きのある、大人の女性になりたい気持ちはあります」。
――とはいえ、クリスマスは盛り上がるんですか?
「クリスマスなんて、恋人たちのためのイベントじゃないですか(笑)。そういうのは興味ないですね」。
――友だちとディズニーランドに行ったりもしません?
「人混みが苦手なので、辛いです。結構インドアなので、外に出られるかわかりません(笑)」。
――年末年始はどう過ごすんですか?
「特にないですね。今度のお正月は実家に帰れるのかな? スケジュール的に台本を覚えたりしなきゃいけないし、お正月太りもあるじゃないですか(笑)。私、おもちがすごく好きなんですよ」。
――焼いて海苔を巻くのが?
「それも好きだし、おしるこも好きだし、いろいろアレンジして食べたくて……。でも、今年のお正月は1月2日からお仕事があったので、ひとつも食べないでガマンしました」。
――ストイックですね。
「だけど、今年は食べたいし……。そういうことを考えると、実家に帰るのがちょっと怖いです(笑)」。
大幡しえり(おおはた・しえり)
生年月日:1998年11月5日(20歳)
出身地:埼玉県
血液型:B型
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2016年秋にスカウトされて、2017年3月公開の映画「ひるのなかの流星」で女優デビュー。主な出演作はドラマ「女囚セブン」(テレビ朝日系)、「先に生まれただけの僕」(日本テレビ系)、「監獄のお姫さま」(TBS系)、「ヒモメン」(テレビ朝日系)、映画「覚悟はいいかそこの女子。」、「あのコの、トリコ。」など。ドラマ「仮面ライダージオウ」(テレビ朝日系/日曜9:00~)に出演中。映画「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」が12月22日(土)より公開。
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「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」
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