PICK UP ACTRESS 小野莉奈

PICK UP ACTRESS 小野莉奈

PHOTO=草刈雅之 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

「中学聖日記」から出演作が続いて
初の舞台で野球場での会話劇に挑戦

 
 

――3月で高校を卒業しました。

「映画を観るときの料金がだいぶ高くなって、『もう学生じゃないんだ』と実感します(笑)」。

――卒業式では泣いたりしたんですか?

「私、袴を着て式に出たんですけど、泣くよりも着慣れてないから苦しくて、気持ち悪くなっちゃって、途中で退席して保健室で休んでたんです(笑)。卒業証書の授与で自分の名前が呼ばれる直前に戻って、受け取りました。思い出すと面白くて、印象深い卒業式になりました」。

――「中学聖日記」のあと、出演作が続いてますね。

「ありがたいことに、ちょっとずつやらせていただいてます。歩いていて『あっ』と声を掛けられたこともあります」。

――ファーストPHOTO BOOK「好みの問題」も発売されました。自分で見て、どう感じました?

「ちょっと恥ずかしくて、あまり見てません(笑)。たまにパラパラ見ると、自分が本になっているのが、すごく不思議な感じがします」。


――小説と一体になった写真集なので、女優の仕事に近い感覚でしたか?

「そうですね。写真集って自分自身を引き出してもらうものだと思っていたら、今回は逆で、自分ではない役を演じているのを見せています。物語があって、感情を込めて、台詞を言いながら撮ったりもして、映像のカメラが写真のカメラに変わっただけ。それが面白くて、新しいと思いました」。

――田舎に住む女子高生と、SNSで見つけた、彼女が憧れる大人っぽい女性の二役を演じました。大人っぽい女性のほうは別人のように見えます。

「でも、意識はどちらもそんなに変わらなかったです。大人っぽい女性のほうはメイクを濃くして、キラキラしたクラブで撮影して、音楽が流れていたりすると、雰囲気に合わせて自然にやれました。その女性の中でも光と影があって、周りから見える自分と本当の自分を見せています」。

――6月には初の舞台「アルプススタンドのはしの方」が上演されます。自分で舞台を観たことはありますか?

「最近、お母さんと宝塚の『ファントム』を観に行きました。初めての宝塚で、まったく知識がない状態だったんですけど、踊りとかセットとか全部凝っていて、360度どこから見ても素敵でした。とても面白かったです」。

――自分が舞台をやりたい気持ちもあったんですか?

「機会があればやってみたいと思っていました。生でお芝居をするのはちょっと怖いと思いつつ、興味はありました」。

――野球部を応援する甲子園のアルプススタンドで、冴えない高校生4人が繰り広げる1シチュエーションの会話劇ということですが、オーディションがあったんですか?

「演出家さんとお会いして普通にお話しました。それから誰をどの役にするかということで、出演者みんなでペアワークをしたり話したりして、自分の性格を見てもらった感じです」。


――それで莉奈さんは、野球のルールを知らない演劇部という役に決まったんですね。どんなキャラなんですか?

「結構ズバズバものを言う子ですけど、本人に悪気はなくて、周りにも嫌味っぽく聞こえません。普通の人があまり言えないことも言えちゃうし、何が起きても動じないタイプですね」。

――その役に選ばれたということは、莉奈さんもそんなタイプ?

「いや、私は違います。そんなに強くないし、ズバズバ言ったりもしません。でも、何か似てるんですよね。何だろう?」。

――サバサバしているところが似てるんじゃないですか?

「あっ、それです! サバサバしていて、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いとハッキリしているところは、ちょっと似てるかなと思います」。

――この取材日時点では稽古に入る前ですが、映像の芝居との違いとかは聞いてますか?

「ドラマは1シーンずつ、ストーリーの順番と関係なく撮影していくこともありますよね。舞台は始まったら一連でお芝居できて、感情を流れに乗せられるということなので、そこはプラスに考えています。あと、生でやるから、台本を相当読み込んで台詞を覚えないといけない。役としっかり向き合うことも、ちゃんと自覚してできたらと思います」。

――4人での会話劇ということで、台詞の量は多そう。

「多いです。自分の台詞がないところでもずーっと出ているので、休む時間はまったくありません(笑)。でも、すごく楽しみですね」。


 
 

お芝居の中で叫んだりもするので
走った後のようにスッキリします

 
 

――台本は面白いようですね。

「面白いです。でも私、野球のことはわからなくて……。ルールを知っているから面白いシーンも多々あるので、何が面白いのかわかるくらいに勉強して、改めて台本を読みたいと思ってます」。

――でも、演じるのは野球のルールを知らない役。

「そうなんです。だから深く知ってもいけないけど、『この台詞がどうして面白いのか』はわかる程度に知らないといけないんです」。

――野球のことは実際、ほぼ知らない感じですか?

「お父さんがテレビで観ていても、私には意味不明です(笑)」。

――アルプススタンドの雰囲気もよくわからない?

「でも、家族がテレビで甲子園を観ているのをちょっと見たことはあるので、何となく想像はできます」。

――それくらいのほうが、今回の役にはちょうどいいかもしれませんね。

「そうですね。『甲子園? ダルい。何で行かなきゃいけないの?』みたいなことを言う子で、私でもたぶんそう言うと思います(笑)。『暑いからイヤ』とか」。

――さっき「生のお芝居はちょっと怖い」という話がありましたが、莉奈さんは舞台度胸がありそうな感じがします。

「私がですか? よく『ドシッと構えている』とか言われて、緊張してなさそうには見られます。実際、あまり緊張はしないかもしれません」。


――ドキドキするようなことはないと?

「ないですね。初めてのこととか、多少緊張はしますけど、その場の雰囲気にすぐ慣れちゃうんです」。

――じゃあ、今回も心配ないのでは?

「まだ稽古も始まる前なのでわかりません。でも、演出家さんや共演者の方とお話すると楽しくて、『みんなで舞台を作り上げたい』という気持ちがフツフツと湧き上がってきます。緊張より『早くこのお芝居をしたい』と思っていて、お客さんに観られることはまだそんなに考えてないです」。

――チラシには「アルプススタンド版“セトウツミ”!?」とありますが、「セトウツミ」は観ました?

「観ました。菅田将暉さんがやってましたよね。高校生の自然な会話というところは、今回の舞台と似てると思います」。


――台本を読み終わると、どんな気持ちになるお話ですか?

「本読みをしたときは爽快感がありました。叫んだりするところもあるので、デトックスみたいにスッキリします(笑)。感覚としては、走り終わったあとのような心地良さがありました」。

――莉奈さんはこの5月に19歳になりました。誕生日はまだうれしいですか?

「うれしくないです(笑)。『10代のラストか。早いな……』って、ちょっと焦ってきます。20代になりたくないなー。怖いなー(笑)」。

――10代みたいに「若いね」と言われなくなるから?

「というより、自分の心が20代に追いついていけるか、心配なんです。20代になったら成人だし、大人って感じじゃないですか。自分の心がまだ追いついてないので、10代のほうがいいかなと思うんです」。

――たいていの人は自分がイメージしていた“大人の20歳”になれてないと感じるみたいですけどね。まだ自分が子どもだと思う部分があるんですか?

「あります。良くも悪くも子どもっぽいことが好きなんです。ピクニックとか、取っ組み合いとか、お手紙を渡すとか……。初心を忘れないのはいいことだと思いますけど」。

――手紙を渡すとか、いいことじゃないですか。取っ組み合いというのは、じゃれ合うみたいなことですか?

「手でパーン、パーン、みたいなのです。押し相撲? あれが好きで、よく弟とガチでやります(笑)」。

――確かにそれは大人でやる人は少ないかも(笑)。

「大人って難しいですよね。まだいろいろなことを飲み込めてないというか、受け入れられてないところがあるし、ちゃんとできているのかわかりません。大人になりたくないのは、やっぱり不安だからだと思います。でも、こういう気持ちも全然変わりやすくて、明日はどう言ってるかわかりません(笑)」。


――それが19歳らしさかも。さし当たって、10代最後の1年にしたいことはありますか?

「いろいろな人に会ったり、いろいろなところに行ったり、今しかできないことをやっておきたいと思います。でも、具体的にはあまり思い浮かびません。1年がサーッと過ぎちゃいそうで怖いです。あっという間に20歳になってそうだから、振り返って印象深いこと、思い出になることをしたいですね。それで20歳になるとき、自分がどんな心構えになっているのか、自分でも興味があります」。

 
 


 
 

小野莉奈(おの・りな)

生年月日:2000年5月8日(19歳)
出身地:東京都
血液型:AB型

 
【CHECK IT】
2017年1月にフラームのオーディションに合格。2017年8月にドラマ「セシルボーイズ」(フジテレビ)で女優デビュー。これまでの主な出演作は、ドラマ「中学聖日記」(TBS系)、「絶対正義」(東海テレビ・フジテレビ系)、「JOKER×FACE」(フジテレビ)、映画「三つの朝」、「アンナとアンリの影送り」、「テロルンとルンルン」、LINE WebCM「【告白ムービー】好きなんて、言えるわけない。」など。ファーストPHOTO BOOK「好みの問題」(Rocket Base LLC)が発売中。舞台「アルプススタンドのはしの方」は6月5日(水)~16日(日)に浅草九劇で上演。詳細は浅草九劇 公式HPへ

詳しい情報は公式HPへ
 
 
 
 

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