PICK UP ACTRESS 山田杏奈

PICK UP ACTRESS 山田杏奈

PHOTO=河野英喜 HAIR&MAKE=横山雷志郎
STYLING=杉浦優 INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力 ワンピース(¥76,000)=カッティーシオマラ
トップス(¥24,000)=ティート トウキョウ
問:シアンPR(03-6662-5525)

 
 

映画「ミスミソウ」で初の主演
雪が覆う町で凄惨な復讐劇に挑む

 
 

――「ミスミソウ」の原作はもともと読んでいたそうですが、ああいうトラウマ系マンガとどう出会ったんですか?

「私は昔からグロイのとかバッドエンドの作品が好きで、同じ趣味の友だちに勧められて読みました」。

――バイオレンス描写にも抵抗なく?

「そうですね。私自身はそこまでなかったです」。

――主人公の野咲春花役もやりたい気持ちは強かったんですか?

「やっぱり好きな作品は全部、できれば自分でやりたいので、オーディションのお話をいただいたときは、やれる限りの努力はしようと思いました」。

――「ミスミソウ」のどこにそこまで惹かれたんですか?

「私は普通に恋愛モノの少女マンガも読みますけど、『ミスミソウ』はちょっと違うじゃないですか。学園モノではあっても、そう呼んでいいのか? 内容が内容なので(笑)。普通の少女マンガとは違った角度で青春を切り取っている感じが面白くて、やってみたかったです」。


――かつ、杏奈さんに合ってるというか、同年代でも杏奈さんにしかできない役というか。そんな自負もありました?

「最近『目力がある』と言っていただくことが多くて、闇がある役、問題を抱えていたり、親と仲が悪かったりする役をいっぱいやらせていただいているので、他の人より表現できるんじゃないか、というのはありました」。

――とはいえ、壮絶な仕打ちに遭ったり、凄惨な復讐をしていく役は、演じていて気持ちが重くなることもありませんでした?

「やっているときは結構楽しんで、血のりを付けたりしていました(笑)。役として気分が重くなることはありましたけど、自分が春花を演じる上での辛さみたいなものは、そこまでなかったですね」。

――冒頭のひどいいじめを受けているところでも?

「春花としてはやっぱり辛いし、『なにくそ』という気持ちにもなりましたけど、水たまりに落とされるところとか、実際にドロドロになっても1周回って楽しかったです(笑)。役としては辛くても、自分自身が泥だらけになった状況は面白いというか。ある意味、辛い題材だからこそ、楽しんでやることは心掛けていました」。

――そういう感覚でしたか……。春花がいじめグループの面々を殺していくとき、“怒り狂って”という感じではなく、冷徹に追い詰めてました。

「すごい怒りは根底にありましたけど、感情を剥き出しにするより、サイボーグのように機械的にバサバサ殺していくイメージのほうが近いのかなと監督と話しました。普段の春花と復讐モードの春花を分けて、人を殺すシーンでは気持ちよりも無機質な怖さが見えることを意識しました」。

――そこで演じ方に悩むことはありませんでした?

「アクションが多くて、そっちのほうが難しくて考えました。事前に教えていただいて、現場にもアクション部の方が来てくださって、転び方とか刺され方とか逐一教わりながらやってました」。


――刺される演技は初めてでしたっけ?

「初めてです。靴に釘を入れられたことはありますけど(笑)。血のりもあそこまで付けたのは初めて。特殊メイクの方が付けてくださって、普通に冷たかったです。写真を撮ってワーッと笑ったり、楽しくなりました」。

――内藤瑛亮監督が杏奈さんについて「一心不乱に殴り殺すアクションは最高でした。惚れ惚れとしました」とコメントしています。

「鉄パイプで殴るところは、単純に楽しんでました(笑)。ストレス発散に近い気持ちでしたね。もっと怒りを出す役だったら、そういう感情になっていたと思いますけど、サイボーグ的なイメージだったので、殴るのが止まらない勢いを心掛けていました」。

――カットがかかって、我に返る感覚でもなく?

「撮り終わったら、ずっと笑ってました(笑)」。

――杏奈さん自身は日常的には怒ったら表に出すほう?

「どうなんですかね? 家族には言ったりしますけど、友だちとケンカしたことはないです。イラッとすることはあっても、それを出さないように気をつけています。『ケンカになったら面倒くさい』という気持ちのほうが上回っちゃうので」。


――その分、狂気や復讐を描く「ミスミソウ」では考えないといけないことも多かったり?

「復讐まで行くことは自分自身にはないですし、やったらいけないことですけど、春花の復讐のきっかけになった家族を焼き殺された苦しみとかは、想像でわかる部分ではありました。まったくゼロではない感情を復讐というところまで大きくしていくイメージで演じました」。

 
 

撮影中はなかった精神的キツさを
完成した作品を観て感じました

 
 

――復讐シーンは全部雪の中でしたが、寒さは厳しかったのでは?

「寒かったですね。『こんな寒い中で春花はよく復讐をするな』と思ってました(笑)。でも演じているときは、それほど寒さは感じなくて、『春花自身もこの寒さを経験しているから』と割り切れていました」。

――さすが。真っ白い雪に血が飛び散るシーンも多くて、そんなに何度も撮り直せない状況でもあったのでは?

「それは意識しました。血が一度飛び散ったらダメだから。でも、周りに雪がいっぱいあるときは、血が付いたところをスタッフさんがまたパーッと埋めて、撮り直したりもしてました」。

――1日撮り終わったら、体力的にも精神的にもヘトヘト?

「体力面のほうが辛かったです。ひたすら雪の中に倒れたり、やっているときは痛みとかあまり気にならないんですけど、あとになってアザができてました。脚とか腰とかヘンなところに(笑)。筋肉痛にもなってました」。

――でも、演じている最中は気にならないものなんですね。

「他に考えないといけないことが多かったので。台詞とか“この位置に倒れる”とか、そういうほうを気にしていて、痛さまで頭が回りませんでした」。


――繰り返しになりますが、重苦しい役柄ではありつつも、演じていて精神的に疲弊する感じではなかったと。

「そうですね。ただ、最後のシーンは春花としてすごく辛いだろうと思ったし、私自身も演じていて辛くなりました。前の日に改めて台本を読んでいたときから『イヤだな……』って思いました。そこは精神的にキツかったです」。

――春花とシンクロした、ということでもあって?

「気持ちが一番わかるな、とは思いました」。

――いじめグループの女王的な存在で、自分で直接手をくだすわけではない小黒妙子に対する春花の想いは、理解できました?

「半分くらいしか理解できなかったです。でも、春花がもともと持つやさしさや、転校してきた当時に妙ちゃんと築いた信頼関係が大きいのかな。男子から向けられた好意に気づいていた部分もある春花と、全然気づいてなかった妙ちゃんと……。そこに対する申し訳なさが、春花にはあったのかもしれません」。

――やっぱり春花は本質的にはやさしい子、という捉え方で。

「そうですね。そうだと思います」。

――この映画は杏奈さんの初主演作でもありますが、今までの現場でやらなかったことはしました?

「『主演だから何かしないといけないかな?』とは思っていたんですけど、最後までよくわからず、皆さんに助けられてばかりで、ずっと『こんなことで良いのかな?』というのがありました。でも、作品全体のことを気にするようにはしていて、あとは初めてスタッフさんの名前を全員覚えるようにしました」。


――覚えたことによって、何か変わりました?

「私の気持ち的に『すいません』とかではなくて『○○さん』と呼べること自体で、安心して現場にいられました。だから今は他の現場でも、スタッフさんの名前を覚えるようにしています」。

――そんな初主演作の「ミスミソウ」を試写で観て、どんな想いがよぎりました?

「撮っていたときは精神的なキツさや場面のグロさとかはあまり気にしなかったんです。でも、やっぱり映像になって観たら、『キツイな……』と思うものがありました」。

――ですよね? それで繰り返し「キツくなかったですか?」と聞いてしまいましたが、完成して初めて、そう思いましたか(笑)。

「そうなんです。観た日はずっと『ああ、しんどい映画だな……』と思って、辛い気分になってました。でも、映像自体はすごくきれいだとも感じました。春花の衣裳が赤くて、飛び散る血も赤。雪の中に赤がポツン、ポツンとあったりしたので」。


――最後に、杏奈さんは笑わない役のイメージが強いですが、普段は普通に大笑いすることもあります(笑)?

「あります、あります(笑)。学校にいるときはすごく楽しくて、友だちとふざけたりしています。インスタに動画を逆回しに再生できるのがあるんですけど、それで廊下の向こうからこっちまで走ってくる映像を撮って遊んでました(笑)」。

――すごく楽しそうに話しますね(笑)。

「そういう部分もあるから、お仕事が頑張れるのかなと思います。友だちに話を聞いてもらったりするのは、すごく大きいといつも感じてます」。

 


 
 

山田杏奈(やまだ・あんな)

生年月日:2001年1月8日(17歳)
出身地:埼玉県
血液型:A型
 
【CHECK IT】
「ちゃおガール2011☆オーディション」でグランプリを受賞。2016年に「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」で実写映画に初出演。これまでの主な出演作は、ドラマ「北斗-ある殺人者の回心-」(WOWOW)、「アキラとあきら」(WOWOW)、「先に生まれただけの僕」(日本テレビ系)、映画「咲-Saki-」、「あゝ、荒野」、「野球部員、演劇の舞台に立つ!」など。初主演映画「ミスミソウ」が4月7日(土)より新宿バルト9ほか全国公開。ドラマ「わたしに××しなさい!」(MBS/日曜24:50~、TBS/火曜25:28~)に出演中。同名の映画が6月23日(土)より公開。
詳しい情報は公式HP
 
 

「ミスミソウ」

「ミスミソウ」公式HP
 

 

 

 

(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
 

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