PICK UP ACTRESS 百田夏菜子

PICK UP ACTRESS 百田夏菜子

PHOTO=古賀良郎 INTERVIEW=左藤 豊

NHK朝ドラ「べっぴんさん」で初のドラマ単独出演中
ムードメーカー役を演じるのは難しい?

――5月の「連続テレビ小説『べっぴんさん』」出演発表会見の時は「ここにいることが不思議」とおっしゃっていましたが、撮影も進み、今はどのような気持ちでしょうか?

「撮影の現場にいる時は不思議な感覚はありませんが、ふと我に返って不思議な気持ちになることはあります。周囲にいらっしゃるのは普段のももクロ(ももいろクローバーZ)での活動ではあまりお会いする機会のない方々ばかりですし。カメラもたくさんあって…。やっぱり今でも不思議ですね」。

――「べっぴんさん」の撮影に挑む上で、気を付けたり意識していることは?

「『べっぴんさん』の仕事をしている時は別の仕事を一切やらないように意識していて、逆にももクロの仕事をしている時は『べっぴんさん』のことから離れるようにしています。“やらない時はやらない”と決めないと、どっちがどっちだったか分からなくなってしまいそうなので、区別はしっかりつけようと意識しています」。


――百田さんが演じる多田良子は“ムードメーカー的存在”の役なので、ご自身と共通する部分も多いのではないですか?

「その“ムードメーカー”の表現が難しかったんです。学校のムードメーカーではなく、『“手芸倶楽部”の中だったらちょっと明るいかな?』程度で、良子ちゃんは基本的に地味なんです。明るく振舞いすぎて『(素が)出ちゃっているよ』と指摘されたことも何度かありました(笑)」。

――百田さんと良子はそこまで似てはいないと。

「似ている部分ももちろんあります。たとえば、良子ちゃんは少女雑誌が好きですぐ胸がときめいてしまうのですが、私も中学時代に恋愛小説をたくさん読んでいたので、そこは通じる部分があるかな、と。ただ、良子ちゃんのセリフに『どうしてそういう言い方をしちゃうのかな?』と感じることもあるし、すぐに現実を見てしまう性格などは似ていないと思います。私はいつも夢を見ていたいタイプなので」。


――となると、良子の心情を理解するのも苦労されたのではないですか?

「はい。良子ちゃんの気持ちを探るのは、とても難しいです。“明るい性格”とか表面的な部分は分かりやすいのですが、『心の底ではどう思ってるんだろう?』と考えると難しくて。テンションのアップダウンも激しいし、テンションが高いからといって気持ちまで高まっているわけでもないんですよ。なので、良子ちゃんが心の奥に隠しているものを探りながら演じています」。

――その難しい部分は演出の方と相談しながら演じているのでしょうか?

「聞く時もあります。できる限り自分で考えて心情を突き止めたいのですが、まったく分からないこともあるので、その時は助けを求めています」。

――また、内面的な難しさだけでなく、戦前~戦後という時代背景も現代とはまったく違いますし、そこで結婚して出産して母になるという演技も難しかったのでは?

「子どものいる母親の気持ちは、分かっているつもりでもきっと全然違うんだろうなと思って、お母さんに『私が生まれた時、どんな感じだった? 私はどんな子だった?』と聞きました。あと、撮影が始まる前にチーフ演出の方から『戦争を体験した人たちから話を聞いてきてください』という宿題が出たので、おばあちゃんとおじいちゃんに話を聞きに行きました。おばあちゃんと良子ちゃんがちょうど同じくらいの年代に生まれているので、当時の話を聞いてとても参考になりました。『おばあちゃんとおじいちゃんはどうやって結婚したの?』と聞くと、今とはまったく違う考え方で結婚をしていたんです。だから、台本に書いてあることも、その当時はごく当たり前のことだったんだと思いました」。

――結婚という点では、百田さんの夫役を田中要次さんが演じますが、実年齢が30歳差ということで発表された時も話題になりました。

「私もびっくりしました! 『私で大丈夫かな…』と思っていたのですが、いろんな方から『向こう(田中)のほうが気にしてるよ』と聞いていて、お互い最初はよそよそしかったんです。ただ、撮影が進むうちにだんだん親しくなることができて、『ほほ笑ましいね』と言っていただけるようにもなってきたので、うれしいですね」。


――打ち解けて夫婦っぽくなってきたと。

「現場で田中要次さんといると、とても落ち着くんですよ。楽しくお話もさせていただいていて、徐々にいい夫婦に近付けているのかなと思います」。

――そのほか、関西ことばや手芸なども苦労されたと聞いています。

「関西ことばは想像以上に難しかったです。イメージで関西ことばをしゃべっても全然違うものになってしまうので、いまだに苦戦しています。手芸に関しては、良子ちゃんは得意という設定なのに私は全然したことがなかったので、最初は『ヤバい!』と思っていたのですが(笑)、お稽古を重ねて今では楽しめるようになってきました。今も手芸セットを持ち歩いていて、移動時間などに練習をしています。そのほかに難しかった点は、利き手が逆なところですね(百田は左利きだが、良子は右利き)」。

――普段から右手を使うように練習を?

「はい。食事をする時も右手でお箸を使って食べるようにしています。ただ、なかなか思うように進まなくて、いつも15分くらいでつい左手を使ってしまいますが(笑)。もっと上達して、ドラマが終わる頃には両利きになっているのが理想ですね」。


 
 

良子は宇宙に行くかもしれない!?
答えを知らずにお芝居をするのは新鮮です

 
 

――そして、良子は母として子育ても行います。

「息子役の子とは、撮影の現場で超たわむれています! 本当に好き過ぎて、毎日その子の動画を見て『よし、今日も頑張ろう!』と気合を入れています(笑)」。

――溺愛していますね(笑)。

「本当にかわいくて、いとおしくて…お母さんになったらこういう気持ちになるのかなと思いました。しかも、私の本当の子どもではないのにここまでいとおしく感じるということは、もし本当の自分の子どもだったら…食べちゃうんじゃないかな?」。

――(笑)。さて、これまでももいろクローバーZとしてはドラマや映画の出演もありましたが、百田さん単独でのテレビドラマ出演は初となります。やはりこれまでと心持ちは違いますか?

「普段は5人で活動しているので1人の心細さはあったんですが、こちらでも新しい仲間ができたので、うれしいし心強く感じています」。

――“手芸倶楽部”のメンバー役の3人(百田、芳根京子、土村芳)は、普段もとても仲がいいそうですね。

「はい、楽しいです。いつも私ときょんちゃん(芳根)でタッグを組んで、きみちゃん(土村)をイジっています! あと、きょんちゃんが面白くないギャグをよく言うので、『全然面白くないよ』とツッコミを入れたり(笑)」。

――芳根さんは、百田さんと「しょ~もないことばかりしている」と言っていました。

「本当にしょ~もないことしかしていないです(笑)。取材で『普段どんな話をされていますか?』と聞かれても、いい回答が思い浮かばないくらいしょ~もないことばっかりなんです!」。

――たとえば、どんなエピソードがありますか?

「私は誕生日を撮影中に迎えたのですが、その時に“がまぐち”を22個プレゼントしてもらいました」。


――えっ、22個も…!?

「以前手芸のお稽古中に、それぞれ何かを作って誰かにプレゼントするという課題があったんです。私にはきみちゃんががまぐちのポーチを作ってくれたのですが、その時に『えっ、がまぐちが好きなこと知ってたの!?』と私が言ったのをきょんちゃんが聞いていて。きょんちゃんが主導で、きみちゃんやスタッフさんたちが買い集めた22個のがまぐちを、私の誕生日に贈ってくれたんです。…さすがにその発想は『ないんじゃないの?』とちょっと思いましたが(笑)、愛はものすごく感じました」。

――あははは! さすがに22個はびっくりしますよね。

「おかげで、バッグの中ががまぐちだらけになってしまったんですよ! ももクロのメンバーにも見つかって、『ねぇ、このがまぐちには何が入ってるの? じゃあそっちのがまぐちには?』と質問攻めに遭いました。しかもきょんちゃんは、自分がプレゼントしたのに、私のことを『がまぐち女』って呼んでくるんです(笑)」。

――では最後に、百田さん演じる良子の今後の展開を、可能な範囲で教えてください。

「それが、私もまだ知らないんです。朝ドラは撮影と平行して先の台本を作っているそうなので、本当に今後どうなるのか分からない。でも、答えを知らないままお芝居をするというのはとても新鮮で面白いです」。

――百田さん自身も、今後良子がどうなっていくのかが楽しみということですね。

「はい! でも、もし自分だけ全然違うところに行ってしまったらどうしよう…? そういう可能性もありますよね? 急に『良子は宇宙に行きます』なんて展開になるかもしれない(笑)」。

――宇宙!! まぁ「べっぴんさん」はフィクションのオリジナル作品ですから、絶対にないとは言い切れませんけど…。

「ですよね!? そんな部分も楽しみながら、良子ちゃんを演じていこうと思います!」。


 


 
 

百田夏菜子(ももた・かなこ)

生年月日:1994年7月12日(22歳)
出身地:静岡県
血液型:AB型

 

【CHECK IT】
2009年、5人組ガールズユニット「ももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)」のメンバーとしてCDデビュー。「NHK紅白歌合戦」出場や国立競技場でのコンサート開催などを果たした。今年9月7日にニューシングル『ザ・ゴールデン・ヒストリー』をリリースし、11月にはアメリカツアー「アメリカ横断ウルトラライブ」も控えている。女優としての主な出演作は映画「幕が上がる」(2015年・主演)など。百田単独でのドラマ出演は今回が初となる。
 

詳しい情報はももいろクローバーZ公式HPへ

 
 

■番組紹介
連続テレビ小説「べっぴんさん」
NHK総合 毎週月曜日~土曜日午前8:00~8:15ほか

詳しい情報はべっぴんさん公式HPへ

 
 

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