PICK UP ACTRESS 古畑星夏
PHOTO=名児耶洋 INTERVIEW=斉藤貴志
「人狼ゲーム」新作で映画初主演
ハードな場面も現場の空気に乗って
――人狼ゲームをやったことはありました?
「今回の映画が決まるまではなくて、みんなで顔合わせの日に初めてやりました。そのときは“恋人”で勝ちましたよ。でも、正直なことを言ってるのに疑われている感じのとき、いかに本当だと信じさせるかが難しかったですね。人間不信になりそうでした(笑)」。
――映画「人狼ゲーム ラヴァーズ」で演じた蘭子は人狼でしたが、クールそうで乱暴なところもあって、すぐ泣いたりもしていて。彼女の人物像をどう捉えました?
「台本を読んで、家族想いでやさしい部分もあるなと思いました。義理のお父さんの借金を返すために、人狼ゲームに参加して賞金をもらおうとする、すごく芯の強い女の子で。信頼している参加者には弱音も吐いて辛いことも乗り越えていくのに、自分が生き残るために人を裏切ってでも勝とうとする。過去にいろいろなことがあったんだろうなと感じました」。
――他の人が処刑されるとき、涙が溢れたりもしていました。
「初めは人が殺されるのを見て涙したり、『うわーっ!』と叫んだりもしていたんですけど、そんな彼女が自分からナイフを持って平気で殺すようになる変化も、見どころじゃないかと思います」。
――叫びながら人を刺すシーンもあって。
「本読みのときはあれだけテンション高く言えなかったので、あの現場の空気だから生まれたものがあったと思います。そういう部分を大切にして、みんなでやっていました。監督も『台本には達成しなきゃいけないこともあるけど、感情のまま出ちゃったものは言って大丈夫』とおっしゃってくださいました。だから、すごく正直な気持ちでできたと思いますね」。
――血のりは初めてでしたっけ?
「あんなにカッツリ、ブワッと付けたのは初めてでした。すごく冷たくて、落とすのが大変で。私は口に入れて吐き出しはしなかったんですけど、そういう子もいて『すごくマズい』と言ってました(笑)」。
――こういう極限状態の映画を撮っていると、精神的にキツくなりませんでした?
「撮影自体はハードで大変だったし、シリアスな演技だからやっているときは辛いんですけど、キャストのみんなが仲良くて和気あいあいとしていて、切り替えはできました。みんなと話す時間が癒しの場になって」。
――それでカメラが回ると、あんな緊迫した空気に?
「スイッチが変わりました。そこは本当に良いチームワークだったと思います。自分たちで切り替えて、お互い高め合いながらできた現場でした」。
――当然ですけど、人を刺したりした経験はないわけですよね。演じるうえではどんな取り組みを?
「そこは悩みました。今までは自分の経験から持ってきて演技に反映させる感じでしたけど、今回は人を殺したりするので。もちろん経験はないから、どうすればいいのかわからなくて。監督に相談したら『たくさん悩んでください』と言われました(笑)」。
――「こうして」というアドバイスがあったわけではなく。
「そうそう。答えはくれなかったんです。ただ『蘭子の性格や背景はちゃんと固めてきて。それができていれば大丈夫だから』と。そう言われても不安なまま、現場に入りました。場の空気も、そこで出てくる感情も、やってみないとわからなかったので。でも、雰囲気にナチュラルに乗っかったら『できた』という感触もあったから、たぶん監督はそういうことをおっしゃっていたんじゃないかと思いました。普通に身を委ねるというか。初めてやった演じ方でしたけど、すごく自然な感じでできて、やりやすかったですね」。
――頭で考えるのでなく、体が動くままに?
「そうですね。はい」。
自分の感情が抑え切れなくて
涙を止めることに必死でした
――さっき出たように、最初は人が殺されると涙していた蘭子が、自分からナイフを持って平然とめった刺しするようになりました。あの辺はどんな心境で?
「その場面からの蘭子は人間味がないというか、イッちゃっている感じだったので、とりあえず無でやりました。『この人を殺さないと自分たちが死ぬから』ぐらいのスタンスで。他のみんなにも『早く殺せよ』みたいになって。そうしないと、自分が勝てないので」。
――何気に恐ろしい発言ですね(笑)。
「あの雰囲気のなかでは、自然にそういうふうになったんです。そこは本当に周りのみんなに感謝しなきゃと思いました」。
――終盤に、蘭子はショッキングな事実を知らされて。
「家族のために人狼ゲームに参加したのに、『私が頑張ってきたことは何?』みたいになっちゃって。そこから蘭子の表情が全然変わりました」。
――涙も自然に溢れた感じですか?
「そうですね。仲間だったひなたが掛けてくれる言葉にもグッときて、周りの人に感情を引っ張ってもらったところもすごくあって。むしろ、涙を止めるのに必死でした。最後のシーンも隠さないといけないことがあるのに、自分の感情が入ってくると、どうしても涙が抑えきれなくて。監督に『ここは蘭子が強くしてなきゃいけないから、泣かないで』と言われて3回ぐらい撮り直したんです。感情を殺すのに必死で、すごく苦労しました」。
――星夏さん自身、こういう“生きるか死ぬか”に最も近い経験というと、何かありますか?
「小学生のとき、ブランコに乗っていたら落ちて、頭から血を流したことがあるんですけど、そのときは死ぬかと思いました。ブランコが宙に上がって、戻ってきた瞬間、私の頭をガーッと打ったんです。小さい傷だったんですけど、めちゃめちゃ血が出ました。頭を割る経験って、わりとみんなありますよね?」。
――どうですかね(笑)?
「それからブランコに乗るのが怖くなりました。本当に死ぬかと思ったので」。
――劇中では言い争いをして「うるさい!」「黙れ!」とか怒鳴ったりもしていましたが、ああいう言葉も普段は使いませんよね?
「えっ? 言いますよ(笑)。妹とケンカするときとか。小さいときなんか、姉妹のケンカとは思えないぐらい取っ組み合ったり髪の毛をつかんだりしていたので、全然言ってました」。
――ちなみに、そういう激しいケンカの原因は?
「本当にしょーもないことです。自分のものを取ったとか食べたとか。『そっちが先に叩いてきたんでしょう!』とか。そういうケンカは今回、男の子とつかみ合ったりした場面に、生きたかもしれません(笑)」。
――映画初主演ということで、現場で気配りしたことも?
「『座長だからこうしなきゃ』というより、みんな仲良く明るい現場にできればいいなと。でも、みんなが1人1人、そういう空気を出してくれたので、本当にありがたかったです」。
――それと、去年は「Going!Sports&News」の日曜お天気キャスターも始めて、生活はだいぶ変わったのでは?
「1週間がすごく速くなりました。日曜は番組が夜遅く終わることもあって、次の日に撮影が入っていたらハードですけど、生活リズムが変わって、自分でコントロールするようになりました。やっぱり眠いときもあるし、ニキビが出てきたりもするので、そのケアも大変。でも、いろいろ充実して、1年があっという間でした」。
――女優の仕事も増えて忙しいなかで、息抜きのために何かしたりは?
「最近は外に出てアクティブに遊ぶことが多いですね。前は家でゴロゴロして動画や映画を観るのが好きだったんですけど、最近は1人で買い物に行ったり、友だちとごはんを食べに行くことが息抜きです」。
――忙しいから休みの日はゆっくり……という感じではなく。
「むしろ『1日を無駄にしたくない』というのがあって。おとなしく家にいるより、休みの日こそ自分が楽しいことをして外で遊びたくなりました」。
――今年も女優ほか幅広く活動していきますか?
「去年はモデルに女優にバラエティやキャスターといろいろチャレンジして、良いことも悪いこともあったんですけど、今年はその経験を
生かして、自分の強みをもっと増やしていけたらいいなと思います」。
古畑星夏(ふるはた・せいか)
生年月日:1996年7月8日(20歳)
出身地:東京都
血液型:B型
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2009年に第13回ニコラモデルオーディションでグランプリを獲得し、「nicola」(新潮社)の専属モデルとして約4年間活動。2013年8月からは「Seventeen」(集英社)の専属モデルに。女優としても映画「近キョリ恋愛」やドラマ「きょうは会社休みます。」(日本テレビ系)、「ラーメン大好き小泉さん」(フジテレビ系)などに出演。2016年4月から「Going!Sports&News」(日本テレビ系/土・日曜23:55~)に日曜お天気キャスターとして出演中。初主演映画「人狼ゲーム ラヴァーズ」は1月28日(土)より公開。2月3日(金)公開の「咲-Saki-」、2月18日(土)公開の「一週間フレンズ。」にも出演。
詳しい情報は公式HPへ
詳しい情報は映画「人狼ゲーム ラヴァーズ」公式HPへ