PICK UP ACTRESS 岡本夏美
PHOTO=厚地健太郎 INTERVIEW=田中裕幸
映画『女流闘牌伝 aki-アキ-』で
演じる主人公と重ね合わせた『GTO』の頃の自分
――主演映画『女流闘牌伝 aki-アキ-』が6月3日に公開。今回主演ということでのプレッシャーはやはりありましたか?
「それはあまりなかったです。他の作品で主演をやらせていただいた時には、共演者に同世代の子がわりと多くて、『よし頑張っていこう!』と気合が入っていたんですけど、今回の作品ではみなさん年上で、大ベテランの方もいらっしゃるので、しっかり支えられている感じでした。監督さんはフレンドリーな方で、スタッフさんが監督の学生時代のお友達だったり、他の現場に比べて若くて、いい意味で学生ノリの自主制作映画のような空気感がありました。みんなで面白いものを作ろうと」。
――元祖アイドル麻雀プロ・二階堂亜樹さん原案の本作で、岡本さん演じる亜樹は最初は淡々とした表情が多いですね。
「原作の漫画でもそうなんですけど、いろんな人と出会っていく中で成長していくお話ということで、出会う中で感じることや、出会った人によっても表情が違うし、そういうことを意識して演じました。でも、まったく意識しないところで、『あ、こんな表情していたんだ』と、私自身驚いたこともありました」。
――今まで演じた役で出せなかった顔も出せた?
「それはありました。こんなに一人の人物の成長過程みたいなものをやらせていただいたことがなかったので。冒頭の顔と最後の顔ではちょっと違うし、途中で挫折したり失敗したときの顔も違う、いろんな表情のバリエーションが出ています」。
――二階堂さんにも会いました?
「はい。クランクイン前にお会いしました。お会いして、いただいたインスピレーションやイメージはお芝居に反映させていただきました。亜樹さんは思っていた以上に強い女性に見えてそこが魅力的でしたし、それは幼少の時から根本にあるもので変わらないと思いますし、彼女の強い意志みたいなものは出していければと思いました。すごく壮絶な生活をされているので、覚悟をもって演じさせていただきました。15歳から一人で生活している亜樹さんの強さは私にはないと思ったので、どうやって近づけようかな? どう嘘っぽくなくできるかな? と思いながら頑張りました」。
――そもそも生い立ちというか、生まれ育ってきた過程は全然違いますからね。
「でも育った環境は違えど、思うことは似ているところがあって……。大人に対する気持ちとか、人に助けを求められないところとか……。本当は求めたいけど、ちょっと反発して、『じゃあ一人で生きていきます』という態度をとったりするところなど、その内面はリンクさせながら演じていました」。
――岡本さんも壁にぶつかっても簡単に人に相談するのではなく、自分で頑張っちゃうほう?
「はい。相談したことはないかもしれません。それで、いっぱいいっぱいになってしまう。それは短所でもあるんです。だからその辺りは亜樹ちゃんに通じるものがあるので、素直になれないところとか、そこは繊細にナチュラルに演じました」。
――頑張りすぎて、潰れちゃうこともあるんだ?
「必死になっちゃうことがすごく多くて、助けてくれるその手を見逃してしまうこともあります。2014年の連ドラ『GTO』のときもそうでした」。
――岡本さんの主役回もあったり、女優として飛躍となった作品ですね。
「もう当時は撮影に追われていっぱいいっぱい。本当に今回の映画の亜樹ちゃんみたいに、『大人大ッキライ!』という感じでした。『もう来ないで、自分で今やってるの』って。マネージャーさんも手を差し伸べてくれていたんですけど、それにもなかなかうまく応えられずに反抗してしまったり、今思えば申し訳ないことをしたなと思っています」。
――そんな頑張りもあって、岡本さんの主役回もいい作品になりました。そして女優として多くの人に知られるようになったり……。
「はい。ツイッターのフォロワーさんも一気に6万人くらい増えて、うれしかったです! 今回の映画でも、亜樹ちゃんが小島プロと公園で出会うターニングポイントのシーンがあるのですが、亜樹ちゃんが変わるところで、大人の助け、後押しって大切なものなんだなと気づきます」。
――作品を通じて、岡本さん自身の仕事に対する姿勢に影響を受けた部分もあるのかも……。
「すごくありました。今回は特に。私、中学生の頃からお仕事しているんですけど、最初はあまり失敗も知らないし、怖いものもなくただがむしゃらに頑張れたんです。でもそれから失敗も経験して、怖くなって、なかなか前に進むことができないというか、丸く収めちゃうところがあったんです。亜樹ちゃんは怖さのない、若い凄まじいパワーを持っていて、失敗してもそれが違う考え方に変わったり、いい方向に向かうということを、この作品で亜樹ちゃんを演じて思ったので、『いいんだな、失敗しても。挑戦してみることが大事だな』ということを思いました。すごく救われました」。
――ところで、岡本さんはこの間、高校を卒業したばかりなんですよね。
「はい!」。
――今までは芝居でも制服姿の役が多かったし、バラエティ番組では“女子高生の代表”というような立ち位置で出ることが多かったと思います。
「そうですね。本当に女子高生ブランドがなくなってしまったというのは、もう絶大な損失です(笑)。やっぱり高校生としてお仕事をいただいていたことが多かったので、『ワイドナショー』もそうですし、その時にしかできないものでご縁や環境があってのこと。いい経験ができてよかったな、恵まれた高校生活を送れたなと思います。お芝居をやっていても、その現場で最年少ということが多くて、自分が現役高校生で、同じ高校生役をやっているのに、他は年上の方ということが多かったので、そうではなくなって、年下がいる環境になってくんだなと思うと、また現場での居方も変わるのかなと思います」。
――現役高校生じゃないからこそ、プラスアルファの部分として身につけていきたいことはありますか?
「私、中学生の頃から『年齢の割に結構大人びているね』と言われることが多くて、実年齢や内面が追いついていなかったんですけど、それがいい感じに差がなくなってきたというか、むしろ今こそ等身大の自分でいけたらなと思います。意識して大人ぶろうと思うこともなく、子どもと大人の狭間に今いますから。そこでしか味わえない複雑な感情もありますし、ありのままで、そういう感情もお芝居で生かしていければと思います!」。
岡本夏美(おかもと・なつみ)
生年月日:1998年7月1日(18歳)
出身地:神奈川県
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2011年、『ラブベリーモデル・オーディション』でグランプリを受賞したことをきっかけにデビュー。同年から雑誌『ラブベリー』専属モデルを務め、2012年から『nicola』専属モデル、2015年から『Seventeen』専属モデルに。女優としては、ドラマ『GTO』(2014年)、映画『仮面ライダー1号』(2016年)、ドラマ&映画『咲-Saki-』(2017年)などに出演。
主演映画『女流闘牌伝 aki-アキ-』が6月3日(土)に全国公開。公開初日に舞台挨拶開催が決定。
「女流闘牌伝 aki-アキ-」
原作は、元祖アイドル麻雀プロ・二階堂亜樹が原案をつとめたコミックス『aki』。雀荘で生まれ育った少女・亜樹は15歳の冬、ボストンバッグひとつで東京にやってきた。彼女が求めたのは、自分の力だけで勝ち取る“本物の人生”だった。大都会の厳しさに打ちひしがれながらも、自身が持つ唯一の武器「麻雀」によって生きることを決意する亜樹。しかし、その前に立ち塞がる汚い大人たちと大都会の現実。だが、少女雀士・ひまわりと、ミスター麻雀・小島武夫との出会いが、彼女の人生と麻雀を大きく変えていくこととなる……。