PICK UP ACTRESS 小芝風花
PHOTO=城方雅孝 INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力=ジョイフル恵利
漫才師やアナウンサーなど多彩に演じて
情報番組のMCも務めて充実の1年に
――今年の風花さんは本当に多彩な役柄を演じました。大変だった役もありましたか?
「全部大変でした(笑)。『トクサツガガガ』のオタク役は楽しく演じさせていただきましたけど、『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』のラップ、『べしゃり暮らし』の漫才、『パラレル東京』のアナウンサーと、事前準備が必要な役ばかりでしたから。漫才師は実力のある役で、ちゃんとプロに見えるようにしたかったし、アナウンサーは緊急報道を行う役。自分の言葉が人の生死にも関わるお仕事として真剣に取り組んで、とても難しかったです」。
――「べしゃり暮らし」では、劇中のコンビでやったネタを繰り返し練習したんですか?
「そうですね。劇団ひとりさんが演出で、芸人のヤマザキモータースさん、小林知之さん(火災報知器)のお2人が漫才監修で入ってくださって。相方役の方と漫才をして、『そこは半間あけて』とか『ここはこういうふうに』と丁寧に教えていただきながら、練習しました。私も大阪生まれで、お笑いは好きですけど、漫才は観るのとやるのは大違い。2分という短い時間にお客さんの心を掴むのは、すごく難しいと感じました」。
――特にどういったことが壁でした?
「漫才の台本を読むだけだと、どこがボケか気づかないんです。掛け合いをしてみて、『ここだったんだ!』という。私はボケとツッコミを両方やらせていただきましたけど、ツッコミのほうが一辺倒になりがちで難しかったです。あと、私が演じたのがボーイッシュな女の子だったこともあって、男性芸人さんみたいな口調になってしまうのも違和感がありました。漫才稽古のときに撮っていただいたムービーを観て、女性芸人ならではの良さを出すために、台詞を崩したりもしました」。
――それは自分の判断で?
「はい。指導してくださった芸人さんが男性で、私がマネをしようとしたら、余計に違和感が出てしまったので、いろいろな女性芸人さんのネタを見て研究しました」。
――「パラレル東京」のアナウンサー役は「本職のよう」と評判でした。自分でも向いている気はしませんでした?
「いえいえ、こちらも本当に難しかったです。夏ごろからNHKアナウンサーの中川緑さんとマンツーマンで、実際に新人アナウンサーの方が受けるレッスンをしていただいたんですけど、最初は全然できませんでした。ただ原稿を読むだけでなく、何を一番伝えたいのかを把握していないといけない。句読点の位置によって、伝わり方も強調される部分も全然違うんです。『こういうふうに読んだら、ここが強調される』と瞬時にわからないといけないし、それによって声の出し方や響かせ方もまったく変わってくる。イントネーションや声の高さは揃えないといけないし、すごく大変でした」。
――風花さんは真面目な性格で、役作りにしっかり取り組むタイプですよね? その上でそうした技術的なことも身に付けるのは、相当な労力だったでしょうね。
「でも、やらないと不安なんです。そのお仕事のプロの方が観たときに『何だよ、これ』となるのがすごく嫌で……」。
――一般視聴者には気にならないレベルのことでも?
「そうです。たとえば方言も地元の方はすごく気になるじゃないですか。私も大阪出身なので、エセ関西弁には敏感になっちゃいます。だから、方言があったり特殊な職業の役なら、地元の方やその道のプロの方にも愛される作品にしたいんです」。
――なるほど。寝る時間を削って取り組んでいた感じですか?
「時間というより、精神的なプレッシャーや不安で、寝てもすぐ目が覚めてしまいました。漫才師のときもアナウンサーのときも気が張っちゃって、『これでいいのかな? できるかな?』って、夜に寝られなくなるんです」。
――でも、そうした努力は実を結んで、どの役も本当に好評でした。
「やっぱり良い評価をいただけると『頑張って良かった』と思うので、これからも手を抜かずにやっていきたいと思います」。
ギターが新たな趣味になって
家族でキャンプにも行ってます
――演技に対する考え方や取り組み方が変わった部分もありました?
「基本的には変わらず、ちゃんと台本を読んで、自分の中で深めていきます。その中で、昨年ある先輩から『ただ自分の台詞を言うだけでなく、相手の台詞を聞いて受けることが大事』と教えていただいて……。事前に台本は読んでも、自分の中で固めすぎず、現場に行って他の役者さんやセットを確認して、柔軟に対応できるように心掛けています」。
――性格的には、事前に固めておきたいところもあるんでしょうけど。
「そうなんです。でも実際、台本を読んで頭でイメージしていたものと、現場に行って出てくるものが全然違うことはよくあるんです。その変化を楽しんで受け入れられるようになった年だったと思います」。
――女優としての活躍の一方で、今年は「オスカル!はなきんリサーチ」のメインMCも務めました。トークも得意分野ですか?
「苦手です! 本当に苦手(笑)。一緒に出演している岡田結実ちゃんとか、ゲストで出演してくださる井森美幸さんや安藤なつさんなど、周りの方に支えられて何とか……という感じです」。
――バラエティでもドラマと同じように準備は入念にしていくんですか?
「いえ、私はお芝居以外のことは、何をしていいかわからなくて。『オスカル』に関しては『出てきたものをおいしそうに食べてくれたらいいです。進行とか良いことを言おうとか気にせずに楽しんでください』とスタッフさんが言ってくださるので成立しているだけで、たぶん他の番組だったら何もできないと思います(笑)」。
――グルメ系のネタが多いですよね。
「『もうちょっとロケに行って、みんなでワチャワチャ食べ歩きをしたいね』みたいな話はしています。町中華のめちゃくちゃニンニクが効いたチャーハンがスタジオに出て、すごくおいしかったので、あれはもう1回食べてみたいです」。
――今年は仕事以外では、大きいことはありましたか?
「大きいことでもないですけど、新たな趣味としてギターを始めました。仕事とはまったく関係なく、動画を観ながら練習して、ちょっとずつ弾けるようになるのがすごく嬉しくて……。弾いていると何も考えずに没頭できます」。
――始めるきっかけは何かあったんですか?
「2~3年前に妹が母に買ってもらったギターが家にあって、全然使われてなかったんですね。それでちょっと弾かせてもらったら、すごく楽しかったんです。もちろん全然弾けてなくて、指は痛いし音もきれいに出てなかったんですけど、『これは没頭できるかも』と思って、妹に譲ってもらって、自分のものになりました」。
――どんな曲を弾いているんですか?
「最初は母に、大塚愛さんの『さくらんぼ』を弾いてほしいと言われて、コードも簡単だったので練習しました。今は長渕剛さんの『巡恋歌』や『素顔』もちょっとずつ弾けるようになりました。でも、アルペジオが全然できなくて……。弾けたらカッコイイので、練習しています」。
――いずれも人前で披露しようと?
「全然。母に聴いてもらっているだけです(笑)。歌いながら弾くんですけど、手のほうに必死で、歌はつられて変な感じになっちゃいます(笑)」。
――遠出したりする時間はありませんでした?
「今年の下半期から、家族でキャンプに行き始めました。もともと小さい頃はよく行っていたんです。東京に来てからは全然行けてなかったんですけど、母がアウトドアを大好きなのと、私が『パラレル東京』に出てテントとかが防災グッズにもなるということで、そういうものを買い集めたんです。それでまた、キャンプに行くようになりました」。
――どういった場所でキャンプをしたんですか?
「川辺だったり、富士山が見えるところでもやりました。夏場は虫が気になったりはしますけど、すごく楽しいです。火を起こしたりするのも好きなんです」。
――本格的ですね。
「面倒くさくて着火剤を使っちゃうときもありますけど(笑)。野外で食べるごはんもすごくおいしいです」。
――お正月はどう過ごしますか?
「たぶん家族でのんびりします。初詣は我が家は元日に行ったりしますけど、混みすぎていて断念して、ごはんだけ食べて帰ることが多いんですね(笑)。今回は何とか、ちゃんと元日にお参りできたらいいなと思います」。
――願掛けしたいことはあるんですか?
「とりあえずケガや病気をせずに、楽しくお仕事ができますようにと。あと、今年は映画の作品がなかったので、来年はご縁があればいいなと思っています」。
小芝風花(こしば・ふうか)
生年月日:1997年4月16日(22歳)
出身地:大阪府
血液型:A型
【CHECK IT】
「ガールズオーディション2011」でグランプリを受賞。2012年にドラマ「息もできない夏」(フジテレビ系)で女優デビュー。2014年公開の「魔女の宅急便」で映画デビューにして主演し、第57回ブルーリボン賞の新人賞を受賞。その他の主な出演作は、ドラマ「あさが来た」(NHK)、「マッサージ探偵ジョー」(テレビ東京系)、「トクサツガガガ」(NHK)、「べしゃり暮らし」(テレビ朝日系)、「歪んだ波紋」(NHK-BSプレミアム)、映画「ガールズ・ステップ」、「天使のいる図書館」、「文福茶釜」、舞台「オーランドー」ほか。「オスカル!はなきんリサーチ」(テレビ朝日/金曜25:20~)に出演中。
詳しい情報は公式HPへ
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