PICK UP ACTRESS 美沙玲奈
PHOTO=草刈雅之 INTERVIEW=斉藤貴志
「イタズラなKiss」映画版でヒロイン
琴子役にピッタリな元気と明るさを発揮
――「イタズラなKiss THE MOVIE」の琴子役は、監督が美沙さんの写真を見て決めたそうですが、どう受け止めました?
「急だったので『あっ、私ですか?』みたいになりました。もともと『イタキス』を知らなかったんですけど、周りの知り合いや友だちは『琴子に似てる』『ピッタリ』と言ってくれる人が多くて。琴子ちゃんが愛されていることも、少しずつ実感しました」。
――話が来た時点では、作品の大きさはわからなくて。
「ピンと来ませんでした。『本当に私がヒロインでいいのかな?』というのはあったんですけど。それから原作を全巻集めて家でずーっと読んだり、アニメやドラマもひと通り観て、徐々に『イタキス』を知っていくうちに、うれしさがこみ上げてきた感じです」。
――「琴子に似てる」という点は、自分では?
「よく笑うところは、私と同じものを感じました。私も普段、ああいうふうに明るいので。琴子ちゃんが負けず嫌いなのも、私と同じだなと思います」。
――琴子は入江くんに何度冷たくされてもアタックし続けますが、そういうふうにめげないで頑張ったことは美沙さんにも?
「私は小学校の低学年から8年ぐらい空手を習っていて、男の子が多かったけど負けたくなくて。人並み以上に努力して、試合で相手が男の子でも『絶対負けない!』とか、そういうのはありました」。
――負けてトイレで泣いたりもしながら?
「悔しくても絶対泣かなかったんですよ。泣いたら負けだ……と思って」。
――その辺が恋愛における琴子とカブると。
「何があっても、どんなことを言われても、諦めないところは一緒です」。
――そういうベースがありつつ、琴子らしさを出すために意識したことはありました?
「撮影が始まる前にボイトレをやりました。琴子ちゃんは元気いっぱいで、大きい声でバーッと言うことも多いから。私は声が細かったので、遠くに大きく届くように3ヵ月間猛特訓しました」。
――ボイトレというと歌の練習をイメージしますが、大きい声を出すためにやったんですね。
「一回ノドを潰しました。とにかく大声を出していたら、声が出なくなって。そんなふうにしながら、少しずつノドを強くした感じです。あと、普段から道でスキップしちゃうぐらいのテンションを保ち続けて、毎日笑顔でいました。琴子ちゃんがすごくポジティブな子なので、私もポジティブに生きるようになりました」。
――「スキップしちゃう」というのは気持ち的なことですか? 実際に道でスキップを?
「本当にスキップしました。鼻歌しながら歩いてみたり。へンな目で見られても、常にルンルンで(笑)。子どもに戻った気分でした。私服も琴子ちゃんが着そうなのを買って、髪形も近づけて」。
――それも3ヵ月前から?
「撮影が去年の夏で、4月か5月からずーっと。いつどこで見られても琴子になれるように。現場でも撮影してない合間も琴子に見えるように、テンションは常に上げてやっていましたね」。
――そこまで役に入り込むのは女優らしいと思いますが、24時間そうしていたら、相当エネルギーが要りますよね?
「部屋に帰って1人になったらスイッチをオフにしましたけど、全然苦ではなかったです。琴子ちゃんになると、私自身も元気になれるので」。
――原作を知らないところから累計発行部数3500万部の人気作と知ると、プレッシャーも大きくなりませんでした?
「もちろんプレッシャーもありました。ドラマ版と比べられたり、批判もあったんですけど、それも聞き入れて私も愛される琴子ちゃんになろうと。押し潰されそうなときもそれをバネにして、これまで以上に『イタキス』への愛情がどんどん深くなっていったので、頑張りました」。
――クランクインしたあとは、培ってきた琴子らしさを発揮するのみ?
「そうです。作るのではなく、できるだけ自然に琴子になれるようにしました」。
――琴子と同じ経験はないにせよ、美沙さんも高校時代に覚えのある気持ちも描かれていました?
「私は女子校だったので、共学がどんな雰囲気かもわからなかったんですけど、撮影中にみんなでいると本当に高校に通っている気持ちになって、『共学にいたらこんな感じだったんだろうな』というのはありました。斗南高校のいち生徒として生活できたというか」。
――入江くんにおんぶやお姫様抱っこをされたのは、やっぱり女子としては夢ですか?
「夢ですよ~(笑)。ドキドキしたし、されながらキュンキュンもしました。その反面、『重い』と言われないかに気が行っちゃいました(笑)。実際、入江くん役の佐藤(寛太)さんに『あれ? 今日はちょっと重い』とか言われたし(笑)」。
――他にも胸キュンシーンはありました?
「いっぱいありました。台詞のない、ふとしたところでも。佐藤さんも役に入っているときは入江くんなので、何気ない接し方にドキッとしたり。たとえば、並んでいても私がまっすぐ歩けなくて、どんどん斜めに行っちゃうことがあるんですけど、そこで佐藤さんがグッと引っ張って戻してくれて。そういうときに一番ドキッとしました」。
――でも、なんでまっすぐ歩けないんですか(笑)?
「わかりませんけど(笑)、曲がっていっちゃうんですよ。一緒に歩いていたはずが、だんだん私が離れちゃって」。
――琴子でなく美沙玲奈さんから見ても、入江くんには惹かれます?
「惹かれますね。入江くんは誰でも絶対好きになると思います。冷たいところはありつつ、普通の人にないやさしさというか、本物のやさしさというか、そういうものを感じます。見てない振りをして、実はちゃんと見ていたり、女の子のことをわかっているなと思います」。
今までで台詞も一番多かったけど
作品が好きだから入り込めました
――落ちこぼれクラスの琴子が学年100位内に入ろうと猛勉強する展開もありますが、美沙さんも何かのために勉強を頑張った経験はありますか?
「あります。先生に認められたくて、学校では勉強してない振りをしながら、陰で猛勉強して良い点数を取りました。私、よく先生に注意されていたんですね。自分ではちゃんとしていたのに『何で?』と思って。だったら、学力で認めてもらおうと思ったんです」。
――寝ないで勉強したり?
「そうです。塾にも通ったり、入江くんのような頭の良い人に教えてもらったり。結果、英語とかで80点以上取りました。先生もまさか私がそんな点数を取ると思ってなかったから、テストを返されたときに『今までごめんなさいね。よく頑張ったね』と誉められました」。
――そんなドラマみたいなことを、本当にしていたんですね。今回の映画の撮影は1年以上前になりますが、今でもよく覚えていることはありますか?
「体育祭のシーンを8月の炎天下で撮ったんですけど、撮影した高校の全校生徒さんが夏休みだったのにエキストラで来てくれたんです。暑いなか、一緒に頑張ってくれました。私も入江くんもキンちゃん(大倉士門)も、本当にリレーする勢いで何度も何度も走らされて大変でしたけど、生徒さんたちが本物の体育祭のように応援してくれたのがうれしくて、とても感謝しています」。
――それにしても、炎天下でそんなに走ったのはキツかったでしょうね。
「最後は立てなくなりました(笑)。私は足が遅いので何10回も走らされて、座り込んじゃって。翌日も全身筋肉痛で、階段も上がれなくて。ここまで頑張ったのは初めてじゃないかと思うほどでした。みんなも待機室で気を失ったかのようにグッタリ。キンちゃんの横で入江くんが2人揃ってきれいに寝ていたのが、面白かったです(笑)。あと印象深いのは、理美(山口乃々華)とじんこ(灯敦生)との3人娘のことです」。
――琴子の友だち役の。
「理美は私たちの3歳下ですけど、同い年みたいな感じでした。ロケ地の福岡では3人でラーメンを食べたり、岩盤浴に行ったり、アイスを食べたり。『きっと琴子と理美とじんこって、土・日にこうやって遊んでいるよね』と言いながら。3人だと『理美だったらこうだよね』『じんこだったら』という会話が多くなりました」。
――そういうところでも役に入り込んで。
「クランクアップ後も琴子ちゃんが抜けませんでした。プライベートでも2人と遊んだり、ごはんを食べますけど、会うと琴子になっちゃって。普段の自分より声も2トーンぐらい上がります(笑)」。
――スキップも?
「しちゃいます。外でもお構いなしに飛び跳ねてます(笑)」。
――初ヒロイン映画は順調な撮影だったわけですね?
「まあ、悩んだこともありますけど、そういうときはいつも佐藤さんが『琴子と玲ちゃんは似てるから、深く考えずに玲ちゃんらしくすればいいんだよ』と言ってくれて。『そうだな』となる感じでした。彼について行ったと言っても過言ではないぐらい、引っ張ってくれました」。
――単純に台詞の量はかなり多かったと思いますが。
「今までで一番の多さでしたね。でも、クランクイン前に佐藤さんと監督と3人で、何回も何回もリハーサルをしたので、わりとスムーズに飲み込んでいけました。作品が好きだからこそ、入り込めたのもあります」。
――ところで、美沙さんはしばらく前にツイッターで「AAAさんにハマった」と書いていましたが、音楽はよく聴くんですか?
「24時間聴いているぐらい、常に音楽と共に生きていますね。携帯で聴いて、家でもコンポを鳴らして。AAAさんもですけど、L’Arc~en~CielさんやUVERworldさんのライブDVDをずっと流していたり、福山雅治さんを聴いたり。いろんなジャンルを聴きます」。
――主にJ-POP?
「そうですね。外では洋楽を聴くことも多いですけど。リズムに乗りながら歩いちゃうんです。気づいたらイヤホンしながら鼻歌を歌っていて、周りからは『あの子どうしたのかな?』と思われるかもしれませんけど(笑)、いつも完全に自分の世界に入ってます。部屋ではノリノリで踊っていたり。見られたら恥ずかしいぐらい本気で(笑)」。
――毎年、冬になるとやることはありますか?
「私、冬の海に行くのが好きなんです。寒いなかでホットコーヒーを飲みながら海を眺めて、いろいろ考えたり、1年を振り返ったりして浸ります(笑)。あと、雪が好き。降るとテンション上がります。積もったら雪合戦をしちゃいます。今でも(笑)」。
――「イタズラなKiss THE MOVIE」はシリーズ化されて、「キャンパス編」も撮影済みだそうですが、この作品をきっかけに美沙さんがスター街道を歩いて行くイメージはありますか?
「どうですかね? なれればいいですね。なれるように頑張るしかないです。もっともっといろいろな人に私を知ってもらいたいし、見てもらうのが夢です。それで振り返ったとき、私は『イタキス』から始まったという代表作になっていると思います」。
美沙玲奈(びさ・れいな)
生年月日:1994年7月25日(22歳)
出身地:福岡県
血液型:A型
【CHECK IT】
2014年にドラマ「博多ステイハングリー」(テレビ西日本)で女優デビュー。これまでにドラマ「新・乾杯戦士アフターV」(テレ玉ほか)、映画「コープスパーティー」、舞台「熱血戦隊!!ハートレンジャー」などに出演。初ヒロインの相原琴子役を務めた映画「イタズラなKiss THE MOVIE ハイスクール編」は11月25日(金)より全国ロードショー。
詳しい情報は公式サイト
「イタズラなKiss THE MOVIE ハイスクール編」公式
詳しい情報はイタズラなKiss THE MOVIE ハイスクール編 公式サイト