PICK UP ACTRESS 浅川梨奈
PHOTO=mika INTERVIEW=斉藤貴志
「人狼ゲーム マッドランド」で長編映画初主演
生死のかかった役で演技の面白さに開眼
――映画「咲-Saki-」の取材では「需要があれば何の仕事でも」とのお話でしたが、映画やドラマ出演が続いて、女優業への意欲が高まっていませんか?
「演技がすっごく楽しくなりました! 『人狼ゲーム マッドランド』を撮ってから、『ずっとお芝居をしていたい』と思うぐらいになりました。もちろんそれまでの作品も楽しかったけど、『人狼ゲーム』でいろいろなことを考えさせられて、『学んだことをもっと活かしたい』という意欲が強くなったんです」。
――生死のかかった極限状態の役を演じたから?
「はい。それに加えて、初めての長編映画の主演だったので。とは言っても私が誰より演技経験が少ないし、できないことが多い人間なので、この現場で同世代の共演者の皆さんから学べることがすごく大きいと思ったんです。撮影に入る前から、『少しでも盗んでやろう』と意気込んでいました。実際に現場に入ったら想像以上に刺激があって、すごく大変でもあったし、苦しいシーンを撮る前は『イヤだー!』となったりもしましたけど、やっぱり演技は楽しいと教えてもらえました」。
――非日常の世界を経験できて?
「そうですね。女優さんのお仕事って、自分の人生とは交わることのない道に進めて得だと思うんです。特に今回の『人狼ゲーム』は実際にはない話で、あったらとんでもないですけど(笑)、過去のシリーズも好きだったから光栄でした」。
――梨奈さん自身は、生きるか死ぬかの体験はないですよね?
「生死をさまよったことはないですね。ずっとのうのうと生きてます(笑)」。
――「死ぬかも」と思ったこともなく?
「寝坊したときくらいですね(笑)。集合時間に起きたりしたら『ごめんなさい!!』となって、むしろ一瞬、死にたくなります(笑)。そういう意味では生死をさまよいました」。
――「人狼ゲーム」で特に刺激になったのは、やっぱり人を殺す場面ですか?
「それも含めて、何よりもみんな、気持ちの持っていき方がうまいところです。自分のクライマックスに向けて感情を上げて、表情や動きのひとつひとつで『この人はこれがあるから、こう行動したんだ』というのが伝わりました。アドリブでもしっかり的確なことを言っていて……。そういう部分で勉強することが多かったです」。
――それを受けて、梨奈さんは小池萌をどう演じようと?
「萌には実は自分から人狼ゲームに参加したという設定があります。生きることに疲れていて、人狼ゲームの情報をネットで知って、興味本位で参加した感じです。実際にそこで起きることに不安や怖さがあったんですけど、味方ができたことで強くなって、『生きたい』とも思うようになった……。そういうふうに変わっていく女の子として演じました」。
――オドオドしたところも、強気な面や冷静さも見せてましたね。
「はい。最初のほうはネットの情報を話すくらいであまり前に出ない子だったのが、佐藤彩乃という子と味方同士になって、『この子と一緒に生きたい。脱出したい』と思うようになったんです。そこから、しっかりした面が出ました。私もそうですけど、1人なのと仲間がいるのでは、心の持ちようがすごく違うじゃないですか。それで萌は強くなりました」。
――ただ、「あそこでたまたま会っただけの相手にそこまで?」とも、ちょっと思いました。
「萌ちゃんはすごく孤独だったと思うんです。イチかバチかで彩乃が味方だと気づいて、いろいろあった末に彩乃も認めてくれて、怖いなかで彼女の存在がすごく心強かった。2人で生き残ろうとするなかで、『この子を守りたい』という想いが強くなったんでしょうね。ただ、彩乃は本当に味方なのか敵なのか、要所要所でわからなくなります」。
――途中で呼び名が「佐藤さん」から「彩乃」に変わりました。
「私も普段、気づいたら呼び捨てになっていることはあります。距離が縮まったり、友だちだと思えたら呼び方が自然に変わって、敬語からタメ口になっていたりします。萌のなかでは、あの危機的状況で彩乃を信じて、たった1人の友だちと思ったので、呼び方が変わったんじゃないですかね。あそこのシーンは、わりと好きです」。
――梨奈さんも、たとえばSUPER☆GiRLSの同期メンバーの呼び方は変わりました?
「(渡邉)幸愛のことは最初はずっと“幸愛ちゃん”と呼んでました。(内村)莉彩のことは“莉彩ぴょん”。やっぱり気がついたら変わってました。何でだろう?」。
その場の感情のまま演じたら
叫び声が自然に出ていました
――劇中で唯が叫びながら人を刺すシーンを撮る前は、緊張しました?
「(処刑する人を決める)投票シーンの前はいつも緊張したし苦しくて、現場の空気もガラッと変わりました。自分が刺すところはすごく辛くて、『撮影に行きたくない』と思いました。でも実際にあの世界にいたら、みんな『投票に行きたくない』と思いますよね。だから、その気持ちのまま現場に行きました。誰かを標的にしないと自分が殺されるかもしれないし、彩乃が狙われるかもしれない。だから自分がやるしかない……という想いでしたけど、カメラのセッティング中とか、刺す相手の顔が見られなくて、ずーっと下を向いてました」。
――演技とはいえ、人を刺したりするのは辛いと。
「もう苦しくて。誰もやりたくてやるわけではない。ただ自分が生き残りたいから……。そういう気持ちになりました」。
――絶叫は自然に出たんですか?
「人を殺すところや投票したあとにどうするかは、アドリブが多かったんです。掴みかかるのもアドリブだったし、叫んだのもそのときの感情でやらせてもらいました。普段は叫ぶことなんてありませんけど、出ちゃいましたね」。
――この「人狼ゲーム」シリーズの主演女優さんに話を聞くと、撮影期間中は「撮ってないときもずっと追い込まれた気持ちになっていた」と言う人と「撮ってないところではリラックスして切り替えた」と言う人がいましたが、梨奈さんはどっちでした?
「もちろん投票とかシリアスなシーンの合間はひと言もしゃべらなかったし、みんな近くにいても誰も言葉を発しない状態でした。でも、その他はみんなでしゃべることも多くて、笑顔も出てましたね。そういう時間は癒されましたけど、やっぱり1人になると、その日に撮ったシーンや次の投票のことを考えちゃって……」。
――寝る前とかに?
「翌日に撮るシーンの台本を読みながら『今日は誰が殺された。誰を殺した』とか浮かんじゃって、ドキドキした状態で寝てました」。
――寝つきが悪かったような?
「すっごいスッキリ寝ました(笑)。でも、起きたらずっと『人狼ゲーム』の世界。撮影したのと同じ建物に泊まっていたので、本当にあの世界にいるようでした」。
――やっぱり常に重い気分ではあったと。
「1人になるとダメでしたね。みんなと話したり、しゃべらなくても隣りに彩乃役の(松永)有紗ちゃんがいてくれただけで、リラックスできました。本当に萌みたいな状態。彩乃がどう思っていたかは関係なくて」。
――普段、普通に人狼ゲームはやりますか?
「よくスパガのメンバーでやりますよ」。
――梨奈さんは強そうですね。「咲-Saki-」でも麻雀がガチで強かったそうですが。
「私は人をダマすのはうまくて(笑)、張り切ってやり始めるんですけど、そういう人はたいてい最初に殺されるんですよ。基本、私やみやり(宮崎理奈)さんが最初に殺されます。でも、この映画をやって以来、つい思い出しちゃうから『人狼ゲームをやろう』という言葉が怖くなって、『私はいい』と言っちゃいます。ゲームでも、そんな安易に『わーっ、○○が死んだー』とか言えなくなっちゃいました」。
――それぐらい没頭していたんですね。梨奈さんは今グラビアに引っ張りダコで、スパガの活動もあって、女優の仕事も増えて、休むヒマはありますか?
「合間合間でうまく休んでいます。休むというより、誰かと会うのが自分にとっての休息の時間です。ドラマで仲良くなった岡本杏理ちゃんや加弥乃ちゃん、ベビレ(ベイビーレイズJAPAN)の高見奈央ちゃん……。そういう人と会うのが、寝るとか休むより自分にとって大事なんです」。
――夏はプライベートでも水着を着るんですか?
「仕事でいっぱい着てるから、ほとんど着ないですね。着るとしても、焼けるから、なるべく肌は出さないです。でも、奈央ちゃんとは『海に行きたいね』という話はしていて、杏理ちゃんや加弥乃ちゃんとは『旅行したいね』とよく言ってます。『箱根に行きたい』とか『富士急(ハイランド)に』とか……」。
――富士急で絶叫系に乗ろうと?
「私は乗れないので『イヤだ』と言ってますけど、2人と一緒には行きたいから、本当に行ったら、たぶんムリヤリ乗せられます(笑)」。
浅川梨奈(あさかわ・なな)
生年月日:1999年4月3日(18歳)
出身地:埼玉県
血液型:B型
【CHECK IT】
「avexアイドルオーディション2012」に合格し、iDOL Streetストリート生の3期生に。2014年2月よりSUPER☆GiRLSに“第2章”メンバーとして加入。グループでの活動の傍ら、水着グラビアで数々の雑誌の表紙・巻頭を飾り、“1000年に一度の童顔巨乳”と話題になる。2017年に「第3回 カバーガール大賞」コミック部門賞を受賞。女優として映画&ドラマ「咲-Saki-」、映画「14の夜」などに出演。主演映画「人狼ゲーム マッドランド」が7月15日(土)よりシネマート新宿ほかで公開。ドラマ「ファイブ」(フジテレビ/月曜26:40~)に出演中。今秋公開の映画「恋と嘘」に出演。
詳しい情報はSUPER☆GiRLS 公式HPへ
「人狼ゲーム マッドランド」
ヨーロッパ発祥のパーティーゲーム「人狼ゲーム」を題材に、桜庭ななみ、土屋太鳳らがヒロインを務めてきた映画シリーズ第6弾。ある建物で目を覚ました10人の高校生。首には見慣れない器具が取り付けられていて、小池萌(浅川梨奈)はそこが噂になっている「人狼ゲーム」の会場と知る。10人は否応なく、それぞれカードを引くことに。村人側が圧倒的不利なルールのなか、生き残りをかけてゲームが始まる……。
詳しい情報は公式HPへ
初日に新宿シネマートにて舞台挨拶。
http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/topics/20170627_14386.html
(C)2017「人狼ゲーム マッドランド」製作委員会