SUPERB ACTRESS 真野恵里菜

SUPERB ACTRESS 真野恵里菜

PHOTO=小澤太一 HAIR&MAKE=太田年哉(maroonbrand)
STYLING=八杉直美 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「覆面系ノイズ」でヒロインのライバル
歌手経験を活かしつつ恋の葛藤も見せる

 
 

――「覆面系ノイズ」では真野さんの十八番のヒロインのライバル役ですね。

「そういう役どころが定着しつつあるなと思いつつ、今までやってきたライバルポジションの中でも胸キュン要素が多かったですね」。

――高校生バンドの恋愛模様が描かれていて。

「私は撮っていたときは25歳での高校生役で、三木(康一郎)監督に『高校時代を思い出して』と言われても『だいぶ前だから思い出せないよ』というのはありましたけど(笑)、こんなにキラキラしてキュンキュンする作品に深く携われたことはなかったですから、ガッツリ青春させていただきました(笑)。現場では学生組では最年長で、監督から『頑張れ25歳!』とか年齢イジリはありましたけど(笑)、『これも愛だな』と思って場を盛り上げようとしました」。

――高校生という部分で、演じるうえで意識したことはあります?

「今回の深桜(ミオウ)に関しては、黒髪ショートでウィッグを用意してくださって、それで制服を着たら、いつもの自分とまるっきり違うし、撮影場所も学校とかだったから、行けばもう『覆面系ノイズ』の世界。自分で高校生になろうとしなくても、周りの環境がそうさせてくれました」。


――役に入れば、自然に高校生らしい振る舞いに?

「そうですね。でも、しゃべり方とか動きとか、監督から『20代半ばの落ち着きが出ちゃっているから、もっと弾けて』とは言われました。深桜は歌が好きで『もっと上に行きたい!』というすごく野心的な子なので、『ハツラツとしなきゃ』というのも心掛けました」。

――最近では28歳の元教師や女性刑事も演じていますが、そうした大人の役とどっちが入りやすいとか、ありますか?

「やっぱり若いほうが難しくなってきましたね。落ち着いた芝居のほうが無理なくできます。高校生や恋する女の子のキラキラした感じを出すには、ちょっといつもと違うスイッチを入れないと(笑)」。

――近年演じた中で、等身大の自分に一番近かった役というと?

「どの辺だろう? 『君100(君と100回目の恋)』の里奈はしゃべり方とかも普段の私っぽかったですね。でも、ハロー!プロジェクト時代は非現実的な話の中の不思議な役などが多かったのが、最近は実年齢より上から下までいろいろな役をいただくようになって、役者としてすごくやりがいを感じています」。

――ブログでも「役者は見た目年齢」とありましたが、まだ高校生役もできる自身の見た目は得だと?

「そうですね。幼く見えるのがイヤだと思った時期もありましたし、最近は若い役が来るとプレッシャーも感じますけど、『見た目年齢だぞ!』と思っています(笑)」。

――「覆面系ノイズ」でも普通に高校生に見えました。中条あやみさんが演じたニノに歌を教えるために、一緒に海辺を走ったり腹筋をするシーンもありましたが、ああいうところで体力の衰えを感じたりはしませんか?

「まだいけますね。ハロプロにいて良かったと思います。コンサートで2時間1人で歌って踊るということをしていたので、体力では負けません!」。


――今回は、バンドのヴォーカル役ということではやりやすい面もあったと思いますが、深桜は“ずば抜けた歌唱力の持ち主”という設定で。

「作品の世界観は壊せませんし、ボイストレーニングをして、レコーディングにも時間をかけさせていただきました。(劇中バンドの)イノハリみたいなロックは歌ったことがなかったので、勉強にもなりました」。

――劇中の音楽はMAN WITH A MISSIONが監修・プロデュース。

「そうなんです。どういう歌い方をしたらいいか悩みましたし、レコーディングでディレクターさんとも相談しました。ちょっとカッコつける感じで歌って、エフェクトもかけていただきました。映画の冒頭に街中で流れるMVを撮るときも、どうしたらカッコよく見せられるか、立ち姿とか研究しました」。

――MVではどういうことを意識したんですか?

「思い切りやったほうがいいんだなと思いました。衣裳はスカートがボリュームあったり、片目は眼帯で髪も長いツインテールで動きにくさはありましたけど、だからこそダイナミックに動いたほうがメリハリができますから。スタンドマイクも普段使わないので、どうさばいたらいいかわからなくて難しかったんですけど、あのMVシーンの撮影は楽しかったです」。

――ロックのスタイルになってました。

「ハロプロでの活動があったからこういう役をいただけたんだと思いますし、全部がつながっているように感じました」。

――深桜がニノに教えていたロングトーンや腹式呼吸の練習は、実際にハロプロでもやっていたこと?

「そうですね。現場でも助監督から『実際のボイストレーニングはどういうふうにやっていたの?』と聞かれて、『こういうふうにやっていました』とお話しました。経験がちょっと活きましたね」。

――11月始めには瀧川ありささんとの合同イベントがありましたが、今は日常的には歌とあまり関わってないんですよね?

「お仕事で歌う機会はほとんどありませんが、この半年ぐらいで、カラオケにはよく行くようになりました。ハロプロにいた頃は、カラオケで『歌って』『踊って』と言われると、ちょっとテレがあってできなかったんですけど、今はドラマの打ち上げでスタッフさんと(モーニング娘。の)『恋愛レボリューション21』を一緒に踊ったり、自分の曲も喜んで歌っています」。

――歌への気持ちは今でも自分の中にあったり?

「はい。シンガーソングライターさんとか、いろいろな方の音楽を聴くのも好きですし、歌わせていただける場があるなら、まだまだやりたいです。だから、こういうふうに歌う役を演じさせていただくことはすごくうれしいです」。


 
 

今までの役になかった高校生らしい
胸キュンのシーンを観てほしいです

 
 

――今回の深桜はライバルポジションではありつつ、切ない立場ですね。

「切ないです。ユズのことが好きなのに、ユズは幼い頃に一度会ったニノのことをずっと想っていて、そのニノが現れちゃって……という」。

――しかも、そのニノに自分が歌を教えるという。

「だから、私は深桜ってカッコイイと思うんです。私だったら、ニノに歌は教えません(笑)。だって、辛いじゃないですか。自分が好きな人の想っている相手に、彼に聴かせるための歌を教えてあげるなんて」。

――ライバルを助ける形になって。

「深桜だって本当はイヤなはずなのに、ニノに『教えてください』と言われたら、ちゃんと教えてあげる。自分も歌い手として成長したいから、教えることを選んだのがカッコイイし、不器用でもあると思うんです。ユズに好きだという気持ちをうまく伝えられず、ちょっと違う方向から言って聞き流されちゃったり、自分のことを好きだというハルヨシ先輩にはちゃんと向き合ったり……。不器用ながらも一生懸命生きている女の子のかわいらしさを大事にしようと思って演じました」。


――深桜が結局、ユズのバンドのニノハリを抜けて、ライバルバンドのヴォーカルになった気持ちはわかります?

「わかります。そこは私でも『自分は1人でやれるんだ』と見せつけたくなると思います。深桜は根性があるんですよね。ブレないというか、自分がこうだと思ったら、ちゃんと貫く。人と出会って考え方はいろいろ変わっていくけど、『歌手としてデビューしたい』という気持ちが、たぶん一番大きいんだろうなと思います」。

――他に撮影の中でよく覚えているようなことはありますか?

「私が今までお芝居をやらせていただいてきた中で珍しかったシーンは、放課後の教室でハルヨシが深桜にもう一度『好きだ』と言って、抱き寄せるところです。行こうとする深桜の腕をハルヨシが引っ張って、自分の胸に持っていくというのが、杉野(遥亮)くんがうまくできなくて、私もどうしたらいいのかわからなくて、なかなか噛み合わなかったんですね。それで監督がやって見せてくれたんですけど、私を相手にしてやるところなのに、監督にテレがあったのか、杉野くんの腕を引っ張って自分の懐に引き寄せたんです(笑)」。


――女優さんに対して遠慮されたのかと。

「杉野くんは何が起こっているのかわからなかったみたいで、監督に『ねっ、こうだよ』と言われて、されるがまま。自分がどうすればいいかは見られないから(笑)、面白かったですね。でも出来上がった映画で観たら、そこはすごく良い夕日も出ていて、杉野くんと私の身長差もあって、胸キュンシーンになっていました。私は今まで、こういう役はなかったので、新しい一面を観てもらいたいと思います」。

――ライバル役を演じながら「印象を残してやろう」みたいなことも考えるものですか?

「ポジティブに考えると、ライバル役がいるからこそヒロインの恋が実ったりもするので、『ライバル役は欠かせないんだ』と、演じるたびに思います。もちろんキュンキュンする恋愛映画のヒロインもやりたいですけど、絶対欠かせないライバル役はこれからもやっていきたいです」。

――今は女優生活が本当に充実しているようですね。

「ハロプロを卒業して4年になりますけど、当時思い描いていたより幅広く活動させていただいてます。出会った方々に感謝ですし、ハロプロ時代から変わらずお仕事させていただいてる方や応援してくださる方もいるのがうれしいです。ハロプロを出て『行ってらっしゃい』となると寂しさがあるので、変わらず見てくださる方に『大きくなったね』と言っていただきたい気持ちが、頑張る糧になっています」。

――最初に見た目年齢が女優としてプラスという話が出ましたが、イチ女性としては、より大人になっていきたい気持ちはあります?

「それはあります。友だちがどんどん結婚したり、2人目の子どもができたりしていて、私はそういうことに関してはまだ全然わかりませんから」。

――10代の頃と大きく変わった面もあるでしょうけど。

「自分に余裕ができました。ハロプロ時代は常に何かしてないと気が済まなくて、お休みの日も自主練してましたけど、最近はお休みはお休みとして、家事をしたり、ちょっと外に出て友だちと会って気分転換するのも大事だなと感じます。仕事を頑張るためには充電が必要だと思って、オン・オフの切り替えができるようになりました」。

――お酒のCMにも出演してますが、たしなむことも?

「ありますね。おいしいごはんと共に」。

――結構イケるんですか?

「そのときによります。楽しくなるとイケちゃいますし、『明日早いから』ってほどほどにセーブもちゃんとできます」。

――やっぱり大人ですね。この冬には何かやりたいことはあります?

「ウインタースポーツにすごく興味あるんですけど、昔からケガをしやすいから『あまりやったらダメ』と事務所から言われてました(笑)。でも去年、ドラマ『カッコウの卵は誰のもの』でスキーをやらせていただいたので、また勢いに任せてやりに行きたいです」。


 
 


 
 

真野恵里菜(まの・えりな)

生年月日:1991年4月11日(26歳)
出身地:神奈川県
血液型:B型

 
【CHECK IT】
2009年にハロー!プロジェクトからソロ歌手としてメジャーデビュー。2013年にハロプロを卒業し、本格的に女優に転身。近年の主な出演作は映画「orange-オレンジ-」、「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」、「君と100回目の恋」、ドラマ「とと姉ちゃん」(NHK)、「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)、「この世にたやすい仕事はない」(NHK BSプレミアム)など。映画「覆面系ノイズ」は11月25日(土)より全国公開。2018年公開の映画「不能犯」、「坂道のアポロン」に出演。
詳しい情報は公式HP
 
 

「覆面系ノイズ」

詳しい情報は公式HP


 

 

 

(C)2017映画「覆面系ノイズ」製作委員会
 
 

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