PICK UP ACTRESS 桜田ひより
PHOTO＝城方雅孝 INTERVIEW＝斉藤貴志
「ホクサイと飯さえあれば」で
学生服の少年役がハマって話題に
――「ホクサイと飯さえあれば」で、詰襟学生服で片目が髪で隠れた謎の少年・凪の役が話題ですが、テレビで観ていると、凪はひよりさんだとわかっていても「誰？ 男の子？」という感覚になります。
「自分で観ていると、いつもと違う感覚はあまりないんですけど、ちょっと不思議な感じはしますね」。
――ひよりさん自身は普段は典型的な女の子タイプ？
「うちはお兄ちゃんがいて、小さいときからずっと一緒に外で遊んでいたので、あまり女の子らしいタイプではないと思います」。
――凪の「オレ」とか「～じゃねえだろう」みたいな台詞も、演じていると自然に口をついて出ました？
「そういう言葉は言ったことがなかったので、結構難しかったですね。しゃべり方も、学校で見ていると男の子は女の子と全然違っていて。男の子はしゃべりながら、相手の顔をあまり見ない気がしました。女の子は1対1で話すときは目線を合わせているけど、男の子同士だとどちらかが相手を見ていたら、相手は違うところを見ていたり」。
――そういう男子の観察も、学校で役作りとしてやっていたそうですね。
「さり気なく盗み見していました(笑)。歩き方も男の子はガニ股っぽくて、腕をあまり振らずポケットに入れていて、座り方も女の子は脚を揃えるけど、男の子は股をガッと開いていて」。
――よく見ていたんですね(笑)。それを役に活かして。
「家でもあぐらとか練習してました。現場で『男の子にしか見えない』と言われたので、頑張って良かったです」。
――でも凪って、男の子が演じても難しい役かと思いますが。
「(主人公の)ブンちゃんとすごく近い距離で話したりするので、男の人だと、ちょっと恥ずかしいんじゃないかと思いました。ブンちゃん役の上白石萌音さんは現場では私のお姉ちゃんみたいだったので、凪は私にしかできないなって(笑)」。
――キャラクター的にも生意気なだけでなく、かわいいところや子どもっぽさを見せたり、そもそもどこからブンの部屋に来ているのか謎だし。
「凪はツンデレなんですけど、そこはすごく意識したわけではないです。謎の少年でも本当に普通の男の子なので、あまり頭で考えず、演じながら冒険できて楽しかったです」。
――5話では凪がブンを怒らせて、どう謝るか練習までして思案していましたが、ひよりさんはああいう経験は？
「ないですね。自分が悪いと思ったら、すぐ素直に謝ります」。
――立派ですよね～。では、特に印象的だったシーンは？
「凪が初めてブンちゃんと会ったとき、一緒にミートボールスパゲッティを作るために、肉団子を丸めながら台詞を言っていたんですね。でも、しゃべっていたら、どうしても手が止まっちゃって。『終わった』という台詞を言ったのに、全然作り終わってませんでした(笑)。あと、出来上がったスパゲティをお皿から食べるときも、どうやったらおいしそうに取れるか難しかったです」。
――そういうところまで気を配っていたんですか。で、どうすればおいしそうになりました？
「ゆっくりと下からスパゲッティを持ち上げるようにして。このドラマは食べる直前でカットがかかるんですけど、おいしそうな香りがすぐ近くまで漂ってくるので、『たまらない』という表情は自然に出ていました」。
――劇中に出てくる料理は、撮り終わったあとに食べられたんですか？
「だいたい食べさせていただきました。全部すごくおいしかったです。ミートボールスパゲッティも、おでんも、ロールキャベツも」。
――ミートボールスパゲッティは自分でも家で作ったそうで。
「はい。オンエアされたのを観て作って、おいしくできました」。
――普段から料理をしていて？
「普段は全然しないです。ミートボールスパゲッティはおいしそうだったから作ってみようと思ったんですけど、お母さんに指示をしてもらいながら作ったので。1人だったら、できなかったと思います」。
――今まで料理で失敗したことがあったとか？
「一度リンゴの皮むきをしていたら、自分の指を切っちゃいました。そこまで血が出たわけではなくて、『あっ、切っちゃった』と思った瞬間は大丈夫だったんですけど、お母さんに『結構深く刺さっているよ』と言われて、急に怖くなってしまって。たぶん、自分のなかで相当ショックだったんでしょうね。それが小学5年か6年のときで、そこから料理しなくなっちゃったんです」。
――リンゴの皮くらいむけないと、マズくないですか(笑)？
「そうなんですよね。それで最近、またリンゴの皮むきをしたら、うまくいってホッとしました。女子力を磨きたいので(笑)、料理もちょっとやってみようかと思っています」。
――学校の家庭科の授業ではやっているんですよね？
「やります。この前は佐世保風ハンバーガーを作ったんですけど、あまりおいしくなかったです(笑)。たぶんハンバーグの味付けができてなかったんだと思います。塩コショウとか全然足りなかったみたいで、味がまったくしませんでした(笑)」。
台本を覚えるのは早いけど
勉強には活かせてません(笑)
――食べるのはどんな系の料理が好きなんですか？
「ハンバーグ、ポテトサラダ、パスタ、お母さんの作った肉じゃが……。苦手な卵が入ってなければ、基本的には何でも好きです」。
――そのなかでも、忘れられないほどおいしかったものはあります？
「何だろう？ この前、お母さんが作ってくれたバーニャカウダは忘れられないですね。2回ぐらいしか食べたことがないんですけど、本当においしいです。温野菜の甘みとバーニャカウダのクセになるしょっぱさが、すごくマッチしてました」。
――お母さんがそれを作られるのは、何かのお祝いとかスペシャルなときですか？
「この前は急に作って、普通に夜ごはんに出してくれました(笑)。絶対お店にも出せるくらい、おいしいです」。
――お母さん、料理上手なんですね。学んでおいたほうがいいかも？
「ちょっとずつ教えてもらおうかと思っています。『ホクサイ』で食べたなかでは、ロールキャベツも作ってみたいので」。
――あのドラマを観ていると深夜にお腹が鳴りますが(笑)、ストーリー的にも面白いです。
「私の初めての男の子役なので、仕草とか表情とか細かいところにも注目してもらいたいです。ブンちゃんも最初は『料理は1人で食べるほうがおいしい』と言ってましたけど、いろいろな人との関わりが深まって、『やっぱりみんなで食べるほうがおいしい』となってきて。その変化も見てもらいたいです」。
――凪が最初にブンのその考え方を変えましたよね。それから、「嫌われる勇気」では主人公の刑事・庵堂蘭子（香里奈）の少女時代を演じていて。誘拐された回想シーンは物語のカギになっています。
「手を縛られて猿ぐつわをされたことはあったんですけど、脚も縛られて目隠しもされたのは今回が初めてでした(笑)。もちろん監禁されていて怖かったんですけど、その怖さがテレビでも伝わったらいいなと思います」。
――そういう撮影の間を縫って、学校の試験勉強もしていたんですよね。ひよりさんは小さい頃からこの仕事をしていて、両立のために短い時間で勉強するコツとかあるんですか？
「いやー、台本を覚えるのは早いほうですけど、まったく勉強に活かせていません(笑)。あまり攻略法はないですね。ひたすら重要なところをオレンジや赤で書いて、赤いシートで隠して覚えたりしています」。
――4月からは中学3年生。
「受験生になるので頑張ります。特に数学を頑張らないといけなくて。計算が苦手なので」。
――仕事も忙しいでしょうけど、中学生活も充実させられたらいいですよね。
「はい！ 2年生の最後に遠足に行くのが、今は楽しみです。決められた範囲のなかなら、自由に行動できるので。私はみんなに任せてますけど(笑)」。
――クラス替えはドキドキですか？
「ドキドキもしますけど、仲の良い子たちと離れちゃうのが寂しい気持ちもあります」。
――新しい友だちはすぐできそう？
「人見知りで、あまり自分から話し掛けられないので、ちょっと心配です。今の仲の良い子は向こうから話し掛けてくれたので良かったんですけど。今度は自分から行こうかな(笑)」。
――ちなみに、去年の春の取材では「ヤドカリを飼いたい」とのことでしたが、その後どうなりました？
「今のところ、まだ飼えてないです。お母さんに話したら『世話できないから、やめておきなさい』と言われました。でも、今も自分が飼いたい動物のトップは、ヤドカリさんで変わりません(笑)」。
――ヤドカリの何にそこまで惹かれるんですか？
「ヤドカリって、いつも命がけなんです。成長したら次の甲羅貝を探さないといけないし、脱皮の間は敵に襲われたら大変だし。毎日戦っていて、すごくカッコイイ動物だなと思います。」
――そういうヤドカリ知識は、どこから得ているんですか？
「ネットさんです。いろいろ調べたり、他の動物とかの動画も『かわいいなぁ』と思って観ています(笑)」。
桜田ひより（さくらだ・ひより）
生年月日：2002年12月19日（14歳）
出身地：千葉県
血液型：A型
【CHECK IT】
小学6年生のときにドラマ「明日、ママがいない」（日本テレビ系）で注目されて、「ワイルドヒーローズ」（日本テレビ系）ではヒロインを演じる。他の主な出演作は、ドラマ「沈まぬ太陽」「希望ヶ丘の人びと」（WOWOW）、映画「さいはてにて－やさしい香りと待ちながら－」、「脳内ポイズンベリー」、「にがくてあまい」など。「ホクサイと飯さえあれば」（MBS／日曜24:50～・TBS／火曜25:28～。NETFLIXでも配信中）、「嫌われる勇気」（フジテレビ系／木曜22:00～）に出演中。
詳しい情報は公式HPへ
