FRESH ACTRESS 竹内愛紗
PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志
「明日の約束」でドラマデビュー
可憐さが際立つ”奇跡の美少女”
――高校生になって4月から上京したそうですが、福島の実家から、生活必需品以外で持ってきたものはありますか?
「中学を卒業したときに友だちと交換し合った手紙を、箱に詰めて持ってきました。吹奏楽部の後輩や先生方にいただいた手紙も入っていて、こっちで『大変だな……』と思ったときに読んでいます」。
――卒業式も感動的だったんですか?
「大泣きでした(笑)。みんなはそこまで泣いてなかったんですけど、私1人だけ『ハァ! ハァ!』って息も上がるくらいになっていました。歌のときに上京する不安が出たり、今までの思い出がフラッシュバックしたりで、全然歌えないくらい泣いてしまいました」。
――もう東京には慣れました?
「上京したときに比べたら、少しずつ。でも、まだちょっと満員電車や細い道に慣れてないところはあります。電車は乗り遅れても、すぐ次が来ますよね。福島では30分とか1時間待たないといけなかったので、それは驚きました」。
――東京で電車に乗り間違えたことは?
「そうならないように、前日に『何番線だから、こう』って何回も必死に調べて行くので、今のところ大丈夫です。渋谷で地下鉄の乗り換えがわからなくて、グルグルしちゃったことはありました」。
――やっぱり地元とは環境がだいぶ違います?
「東京のほうが人が全然多く感じます。地元では街灯もなくて、夕方の4時や5時にはお母さんに『危ない』と言われてました。東京だと街灯も多いし、夜までお店も開いているので、時間がわからなくなっちゃいます」。
――高校で友だちはすぐできました?
「入学式の日に、クラスの座席表が黒板に貼られていたのを知らなくて、みんなは席についてしゃべっているから『どうしよう……』って、とりあえず教室を1周して、恥ずかしいところを見られちゃいました(笑)。でも、『どこから来たの?』とか話し掛けてもらって、私も人見知りはしないほうなので、すぐ友だちはできました」。
――愛紗さんは見た目おとなしそうなイメージですが……。
「年上に見られることはありますけど、実際は全然おとなしくはないです。学校行事とか、すごくテンション上がりますね。高校に入ってからも、体育祭では応援団みたいになって、男子並みにエールを送っていました」。
――小・中学生時代は吹奏楽部でトロンボーンを担当して、全国大会にも出場したそうですが、特技にはバスケットボールやバレーボールも挙がってます。運動も得意なんですね。
「身長が164㎝と高いほうなので、いつもシュートやアタックをしていました。バスケットだったらゴール前に立って、ドリブルしてきた人からパスを受けてシュートする係で、得点率は高いほうです。リレーの選手も小・中学校とやってました」。
――逆に、苦手なことや弱点はあります?
「あります。階段を上がるとき、すぐ息が上がっちゃうとか(笑)」。
――まだ16歳なのに(笑)。
「『ヨッコイショ!』とか『ドッコイショ!』とか掛け声を言わないと、体が付いてこないときもあります。駅の階段では、心の中でつぶやいてます(笑)」。
――ドジ的なことをしたりも?
「たまに自分の脚が絡まって、段差がないところでもコケることがあります(笑)」。
――脚が長いから?
「いや、たぶん友だちとの話に夢中になって、つい横を向いて歩いていて『アーッ!』となったりしています」。
――スカウトされるまでは芸能界に興味なかったそうですね。将来なりたいものが他にあったんですか?
「それも全然定かではなかったです。トロンボーンをやっていたので『音楽の道に進みたい』というのはあったんですけど『でも、食べていけないし』と思って……」。
――中学生の頃から現実的に考えて。
「それで悩んでいた頃に、スカウトされました」。
――ドラマや映画を普通に観てはいたんですか?
「映画館は電車で5駅くらい行かないとなかったですし、部活を毎日やっていたから観にいけませんでした。ドラマも塾とかで帰りが遅くて、あまり観てないです。スカウトされてから、ちょっと意識して観るようになりました」。
――高畑充希さんが憧れになったとか。
「『とと姉ちゃん』を家族で観ていて、すごく元気や勇気をもらいました。スカウトされて、どうするか悩んでいたんですけど、『自分もあんなふうになれるチャンスがあるなら、やろう!』という気持ちになりました」。
――CMデビューしてすぐ「ヤングジャンプ」の表紙を飾りました。自分でコンビニとかに本が並んでいるのは見ました?
「見ましたけど、『これ、私なのかな?』と思いました。『私の顔ってこんな感じだったっけ?』とか、第三者として見る感覚になって、信じられない気持ちが強かったです」。
――地元では大騒ぎになっていたでしょうね。
「家族や親戚も買ってくれて、お母さんは買うときに恥ずかしかったそうです(笑)。でも、中の写真は『自然な感じで写っている』と言ってくれました」。
――演技は最初にやったのが……。
「来年公開になる『犬猿』です。その頃はまだ福島のなまりがあって、自分ではどこがなまっているのかもわからず直すのも難しくて、大変でした。台詞を言うだけで精いっぱい。演技の先生に見てもらって、だんだん直していきました」。
――今はこう話していても、全然なまりは出ません。
「まだどうしてもなまりが抜けない言葉もありますけど、『ほとんど直った』と言われます。必死に練習したので。言葉が全然違うわけではなく、微妙にイントネーションが違うところがかえって難しかったです」。
台詞が少なくても表情から何かが
滲み出てくるように演じたいです
――放送中のドラマ「明日の約束」では、自殺した男子生徒の妹の吉岡英美里を演じていますが、何を考えているのかわからない子ですね。
「そうですね。感情を見せなくて暗さがあって、『あの子、何かあったのかな?』と観ている方に思われるような表情や目つきをすごく考えています。私はわりとハッチャケるタイプで正反対ですけど、台詞が少なくても表情から何かが滲み出てくるように……と心掛けて演じています」。
――2話で友だちと「学校休む」「お兄ちゃんが死んだから」とLINEしていたシーンも、台詞はありませんでしたが……。
「『ああ、お兄ちゃんが死んじゃった……』って暗くなりすぎるのではなく、淡々としているというか、お兄ちゃんの死を受け止めつつ……みたいな複雑な感じを出せたらと思いました」。
――英美里はお兄さんやお母さんのことはどう思っているんですかね?
「お母さんはごはんを作ってくれずにお金だけ渡したり、お兄ちゃんのことばかり見てましたけど、必死に『お母さん、こっちを見て!』というより、もう冷めちゃった感じを出しています。お兄ちゃんに対しても同じで、嫉妬するより冷めていたというか……」。
――監督からのアドバイスもありました?
「『うん』とか『さあ』とかの受け答えが多いんですけど、『ひと言でもひとつひとつ変えないと』と言われました。自分なりに考えたつもりでも、どうしても同じに聞こえてしまったりするので、相槌だけでも『ここはこういう気持ちだから』というのを考え直してやっています」。
――新人ながら、レベルの高い心掛けをしているんですね。
「現場に行くと皆さんの演技がすごいので、それを見て学んでいます」。
――お母さん役が仲間由紀恵さん。
「役とは全然違って、すごくやさしいです(笑)。本当のお母さんみたいに、たぶん緊張している私に気を使って、話し掛けてくださいます」。
――やっぱり現場で緊張はします?
「あまり表に出ないタイプですけど、心臓はドキドキです」。
――吹奏楽部で全国大会の舞台に立って度胸はついたかと思いますが、そういうこととは全然違う感じですか?
「部活だと仲間が同じ舞台にいますし、『みんなであんなに練習してきたから大丈夫』という想いがありましたけど、ドラマの現場は初めてなこともあって、すごく緊張しました。今はもうスタッフさんにもほぐしていただいて、だいぶ慣れましたけど、最初は顔も体もガチガチで固まってました(笑)」。
――オンエアで英美里を自分で見ると、どう感じます?
「『自分もこの世界に仲間入りしたんだな』という気持ちになりますけど、まだ恥ずかしさもあります。『こういう表情をしているんだ』というのは勉強になって、声は自分が思っていたのと全然違っていてビックリしました。よく『声が低い』と言われて、自分でもそう思っていたら、テレビの音声ではちょっと高めなのが発見でした」。
――12月公開の映画「リベンジgirl」では事務所の先輩の桐谷美玲さんの妹役ですが、台詞は多いんですか?
「お姉ちゃんと妹でのやりとりが結構あります。お姉ちゃんの写真を撮ったりしながら、家の中でワチャワチャしていたり。台詞は必死に覚えるというより、練習してたら入っていた感じです」。
――それだけ台本を読み込んだからでは?
「緊張すると全部頭から抜けちゃうタイプなので、『これだけやった』と自信になるくらい、練習はしてました」。
――お姉さんが自己中心的で妹は冷静沈着、という姉妹だとか。
「お姉ちゃんはそういうタイプとはいえ、家ではオフな感じなので、妹としての対応やリアルな姉妹感が出るように頑張りました」。
――そのために、どんなことをしました?
「桐谷さんは大先輩ですけど、緊張したらオーバーなリアクションもできなくなるので、『お姉ちゃんなんだ』と自分に言い聞かせて大胆にやりました。あと、私には兄がいるので、『兄と私だったらこういう感じかな?』というのも考えました」。
――冷静なところは、愛紗さんとも重なるのでは?
「そうかもしれないです。でも、逆に『真面目になりすぎちゃっているよ』と、監督さんに言われるときもありました。かしこまっちゃうというか。そこは気をつけました」。
――演技をする上で気をつけていることは、他にもありますか?
「体を動かしながら台詞も言うので、ひとつひとつ、『今はこういう気持ちだから、こう動く。そのときにこう言う』と全部同時に考えていて、もうフル回転ですね」。
――初演技だった「犬猿」では、劇中の青春映画に出ている高校生カップルの役。
「キラッキラのど真ん中の青春映画です(笑)。でも、パラレルワールドに行っちゃったり、ちょっと不思議なところもあります」。
――いずれ本当に青春恋愛映画に出ることもあるでしょうね。
「そういうアニメやマンガは好きで、『これを実写化したら面白いかな?』と思ったりはします」。
――そっち系で好きな作品というと?
「『響け!ユーフォニアム』は吹奏楽部の話で自分と重なる部分も多いし、恋愛ばかりではなく部活での青春も描かれていて面白いです」。
――恋愛的なシーンを「いいな」と思うことも?
「DVDで観た長澤まさみさんの『世界の中心で、愛をさけぶ』で、自転車の二人乗りのシーンは憧れました。後ろで立って風でヒューッとなるのが楽しそうだなと思います」。
――女優デビューしたばかりですが、ずっとやっていきたい気持ちになってます?
「そうですね。自分ではない自分を演じる。スタッフさんやみんなでひとつの作品を作り上げる。正解がない演技を追求していく。いろいろな人と出会える。すべてを含めて、今すごく楽しいです」。
――差し当たって課題にしていることは?
「まだ映像に自分が映ることに慣れていないので、もうちょっとカメラを意識した表情をできるようになりたいと思います」。
――最初から映り方にも意識が行ってるんですね。日常生活の中でも、演技力向上のためにしていることはありますか?
「電車の中や帰り道で、人間観察をよくします。『見た目はこんな感じだけど、実際はどうなのかな?』とか『ああいう仕草はクセなのかな?』とか見たり、心理的なことを考えるのが好きなので、それをもっと掘り下げるようにしています」。
――本当に意識が高いですね。まだ16歳になったばかりですが、夢はいろいろ広がっている感じですか?
「10年後の自分とか想像できなくて、どう成長できているのかはわからないです。でも、たくさんの人に愛される女優になっていたらいいなと思います」。
――期待してます! ところで、年末年始は帰省するんですか?
「はい。お正月は親戚もみんな集まって、毎年写真を撮ってアルバムに貼っています。みんなの顔が変わっていたり、自分の成長も感じられるので、見ていくのが楽しいです。私が生まれたときからずーっと撮っているので、その伝統は続けていきたいですね」。
――東京でどんどん活躍していくことにはなると思いますが……。
「帰れるときは地元にも帰りたいと思います」。
竹内愛紗(たけうち・あいさ)
生年月日:2001年10月31日(16歳)
出身地:福島県
血液型:AB型
【CHECK IT】
2017年3月に「Y!mobile」のCMでデビュー。現在、ドラマデビュー作となる「明日の約束」(関西テレビ・フジテレビ系/火曜21:00~)に出演中。映画「リベンジgirl」が12月23日(土)より公開。「犬猿」が2018年2月10日(土)より公開。
詳しい情報は公式HP
「明日の約束」
詳しい情報は公式HP